新たなる戦い、もう一つの時空管理局


第1話 始まりは静かになの




「んーっ…どうやら、今日も無事に終わりそうだな」
そう言って黒髪の青年は身体を伸ばす
「そうだね、こういう日はのんびりお風呂に入りたいねぇ」
青年の言葉に一段下のところに座っている女性が相槌を打つ
時空管理局巡洋艦アースラの艦長クロノ・ハラオウンと
その補佐官、エイミィ・リミエッタの両名だ
「それじゃ、スパラグーア?だったか、そこにいくか」
「あ、いいねぇ♪、あそこいろんなお風呂があって楽しいんだよ」
と、すでに休日モードで二人が話しこんでいると突然警報が鳴り響いた

「どうした?!」
「次元震です!おそらく何者かがワープアウトしてくると思われます」
「馬鹿な?!そんな報告は聞いていないぞ!」
クロノがそう言うのも、本来ワープアウト、空間転移と呼ばれるものは
時空管理局の許可なく行うことは出来ない。
理由は犯罪を未然に防ぐため、そしてもし何かしらの事故があった場合早急に対処できるようにするためだ
しかし、今日はそういった報告は受けていない…つまり
「質量は?それと、転移先を割り出せ!早急にだ」
「了解!」
クロノの言葉にオペレーターたちはコンソールを操作する
程なくして解析が終了した
「質量は戦艦クラス!おそらく我が艦と同等と思われます」
「転移先は…?!」
「どうした?転移先は割り出せなかったのか?」
「い、いえ…転移先は、海鳴市近郊です」
「なに?!」


そのころ、なのは達は下校途中に喫茶店に立ち寄っていた
「それにしても、三人ともすごいわね。時空管理局?だっけ、の仕事もしてるんでしょ」
「そんな大したことはしてないよ」
アリサの言葉になのはそう返す
「そういうのはなのはだけだと思う」
「そやねぇ、アレはちときついわ…」
しかし、なのはとは違いフェイトとはやてはうんざりした顔になる
「えっと…そんなに辛いの?」
「辛い、というかハードなんだ」
「そうなんよ、さすがに中学生に徹夜はきついわ…」
「だから、授業中寝てたんだね」
「うん、だめだとは分かってるだけど…」
「さすがに、な…」
と、そこで三人はある気配に気づく
「フェイトちゃん、はやてちゃん、これって」
「うん、魔法の力」
「それも半端やない、複数いるんか?」


そのころ時空管理局が感知した物体は海鳴市の山奥に現れた
そのフォルムは驚くほど”アースラ”に似ていた

その艦のブリッジに一人の男が倒れていた
「…くっ…何が起きた?……」
そう言って男は立ち上がろうとする、だが頭に鈍い痛みを覚えひざをつく
「…うっ…コンソールにでもぶつけたか」
「…だが、まずは状況を把握することが先だ」
そう言って男はコンソールを操作する
「ひどいな…管制系統はほぼ全滅…武器関係もだな……救いは生命維持関係が生きていることか…」
「だが、航行はおろか動くこともできないとなると…少々厄介だな」
と、そこで船内に続く扉が開き、一人の少女が入ってきた
「クロウ君、大丈夫?」
「すみれ、ああ、問題ない」
クロウ、と呼ばれた黒髪の青年はブリッジに入ってきた少女
すみれにそう応えた
「…って、血!クロウ君額から血が出てるよ」
「ん?かすり傷だ、ほっておいてもじき治る」
「だめだよ!そういう油断が大事になるんだから」
「いや、しかし…」
「だめ。ほら、クロウ君も医務室」
そう言ってすみれはさっさとクロウを引きずっていった

「あ、クロウ君や…って、どないしたん?うちらよりひどいで」
「だ、大丈夫なの?お兄ちゃん」
「ああ、ただのかすり傷だ」
そう言ってクロウは二人の少女に笑いかけた
「そか、ならええけど。あまり我慢するんはよくないで」
と、少し頬をふくらませて少女、神楽つばめは子供に言い聞かすように言う
「努力する」
「お願いだから、無理しないでね?何かあったら私がすぐ飛んでいくから」
「ああ…だが、兄がそう義妹に頼るのもな」
「もぉ、変なところで意地っ張りなんだから」
そう言って少女、ラピス・ピジョンは頬を膨らませつつ救急箱を手にする
「そういえば、他のみんなは?」
「ああ、あの娘らなら問題ない言うて外見に行ったよ」
「そうか」


そのころのアースラ
「すぐに解析に回せ!どういったものか分からない以上本局にも連絡を」
「了解」
「クロノくん、ワープアウトした物体の近辺に魔力反応、数は四」
「魔導師か?」
「そうみたい……ただ」
「ただ、なんだ?」
「酷似してるんだよ、シグナムたちと」
「魔力波長がか?」
「うん、何度かやってみたんだけど結果はみんな同じで」
エイミィの言葉にクロノは少し考える
それというのも、魔力波長とは指紋と同じで同一のものは存在しない
この魔力波長によって本人かどうかを判断し、念話やその他のサポートなどを行う
まれに同じ波長のものもいるが、大抵は双子だったり特殊な条件がそろった場合だ
「どうする?同じ波長なら会話はできると思うけど…」
「……いや、やめておこう。相手がどういった目的で動いているか分からないうちは、極力接触は避けたほうがいいだろう」
「そうだね、じゃあこれも解析結果に入れとくね」
「ああ」
(しかし、どういうことだ?まさかあの……いや、確証はない、今は様子見か)
なにやら渋い顔でクロノはモニターを眺めていた


「…どうやら、我々の世界とそう大差はないようだ」
「フレイルはここが別次元の世界だと思ってるの?」
「ああ、ここは我々の世界と似ているが、多少風が違う」
「んだよ、風が違うってわけわかんねぇ」
「ヴィロー、お前はもう少し感性を養え」
「はん、必要ないね」
「…お前たち、少しは仲良くできんのか」
「あいにくだな、ヴァルス。ヴィローが勝手に突っかかってくるだけだ」
「んだと?フレイルがわけわかんねぇことばっか言うからだろうが」
「ふん、それはお前に教養がないのだろう?」
「カチン…それはあたしがバカだって言いたいのか?!」
「ふ、違うのか?」
「フレイルなんか乳にばかり栄養がいってんじゃねぇのか?」
「んなっ?!そ、それは関係ないだろう」

「…どうやら今しばらくかかるようだ」
「そうね、じゃあ私たちは中に入っていましょう」


「なのは」
「うん、もしかしたら、また…」
「大丈夫?三人とも」
「…大丈夫、なのはもはやても、それにクロノたちもいるから」
「そやね、まぁちゃっちゃと終わらせてまたお話しよ♪」
「…絶対だからね」
「アリサちゃん…」
「…うん、絶対…約束」


こうして、静かに新たな戦いが始まろうとしていた

新たな来訪者は何を求めるのか……

なのは達は何を思い、戦いに赴くのか……

そして…その結末は……

すべては、これから………


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あとがき
 というわけで、オリジナル連載ss第1話”始まりは静かになの”です
まず、名前については適当です(笑)
あと、魔力波長などというのも勝手につけたものです…
名前については日記のほうでもう少し詳しく書きますんで、よければそちらもどうぞ(笑)




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