あまあまデート♪

  

その日、ヴァイスは公園前にいた
グリーンのランニングシャツに、紺のジーパン
首もとには羽をモチーフにしたネックレス
普段の服装に比べると、若干おしゃれをしているように見える
それというのも、今日は彼にとって一大イベント…

「す、すいませ〜ん、遅れましたー」
「い、いや、大丈夫、今来たとこだから」
「はぁ…よかった」
そう言って、笑顔を浮かべたのはシャーリー
こちらもいつもと違い、薄い青色のシャツに、桃色のカーディガン
白いスカートというかなり女の子らしい格好
そして、待ち合わせ…お分かりだろう、二人はこれからデートするのだ

「そ、それじゃあ、いくか?」
「あ、はい」
ヴァイスの言葉に、シャーリーは笑顔でうなずく
そして、一瞬時が止まるヴァイス
「…」
「?どうしました」
「…!あ、い、いえ、なんでも」
(笑顔がかわいくて見とれた、なんて言えるわけねぇ)

その後、二人は電車を乗り継ぎ目的地の動物園に来ていた

「でも、ほんとによかったんですか?ここで」
「ん?なにが」
「男の人からすれば、こういうところは楽しくないでしょう?」
「まぁ、確かにどっちかといえば、さして楽しいわけでもないけど…」
「じゃあ、どうしてここがいい、って言ったとき断らなかったんですか?」
「んなことできないって、シャーリーが行きたいっていったんだから、それを断れるわけないよ」
「…ヴァイスさん」
「ほ、ほら、いこう」
照れ隠しなのか、そっぽを向きつつシャーリーの手をとるヴァイス
そして、二人は園内へと…

「わぁ、大きいですね」
「まぁ、それがうりだからな」
二人が見ているのは象
定番、といえばそれまでだが
普段、あまりこういう場所に縁のないシャーリーにとっては
十分、新鮮だった
「ヴァイスさんは、こういうとこ来たことあります?」
「ん?ガキのころに一度な…まぁ、大して楽しんではいなかったけど」
「どうしてですか?」
「…そのころからさ、俺ヘリとかそっち系が好きで
 あんまり行きたかった、っていう感じじゃなかったんだ」
「へぇ…そのころから好きだったんですか」
「ああ、男のロマンだよ、ありゃ♪」
「…ふふ♪」
「ん?どうした」
「いえ、なんか子供みたいでかわいいな、って♪」
「な?!」
シャーリーの言葉にヴァイスの顔は真っ赤になった
「と、とにかく、今は俺の話はいいから、動物見るんだろ?」
「そうですね♪」
「…」
何かふに落ちないヴァイスだったが、不思議と心が温かくなるような感じがした

その後も、二人は園内の動物を見て回った

「カバ…って、確かキャベツとか丸ごと食べちゃうんですよね」
「マジか?」
「ええ…ほら」
「…うわっ、すご」
シャーリーの指差すほう、そこではちょうど食事の時間なのか
大きな口を開けるカバの姿、そしてその口に飼育員が野菜くずなどを放り込んでいく
「あれだけ大きいと、一口で私たちの一食分くらい食べられちゃいそうですね」
「二人分くらいいくんじゃないか?」

「ライオンって、もっと威張ってるイメージあるんですけど」
「そうでもないらしいぜ、雌のライオンのほうが上みたいだし」
「え?そうなんですか」
「ああ、狩なんかも基本的に雌のほうが上手いらしい」
「へぇ〜…」

「お猿さんです♪なんかかわいいですね」
「そうか?なんか微妙な感じもするんだけど…」
「なんか赤ちゃんみたいじゃないですか」
「ああ、そういやお猿さんみたい、ってよく言うな」
「それって失礼なんですよ」
「そ、そうなの?」
「ええ、あんなにかわいいのに♪」
「はぁ…」

「見てください見てください、レッサーパンダですよ♪」
「すごいはしゃぎようだな」
「だって、レッサーパンダですよ?…ああ、かわいい♪」
文字通り目を輝かせるシャーリーに呆れながらも
かわいい、とも思うヴァイスだった


「ふぅ、かわいかったですね♪」
「そうだな…」
あの後、キリン、ぺんぎん、ラッコ、ete…
と、見て回り、そろそろお昼時ということで
二人は園内にある軽食店で休んでいた
「それにしても、えらくはしゃいでたけど、大丈夫か?」
「ええ、すっごく楽しいです♪」
「…なら良かった」
心から楽しそうな笑顔のシャーリーに
ヴァイスはそう言って微笑んだ
「…」
「ん?どうした」
「いえ、なんかいい顔だなぁ…って」
「は?!」
「なんていうのか…ほっとする、というか、その…うれしいんですよ」
「うれしい?」
「私に対してそういう顔してくれるのが…こう、独り占めしてる、って感じで♪」
「?!!!」
そんなとんでもないことを笑顔で言うシャーリーに
ヴァイスは顔を真っ赤にした
「ふふ♪そういう顔も普段見れませんし、ね」
「…意外にいい性格してたんだな」
「あなたの前でだけですよ…ちゅ♪」
「…」
と、今度は笑顔で投げキッスをするシャーリー
つくづく、彼女には敵わない…と、そう思うヴァイスだった


その後も、二人は散々動物たちを見て回り
気づくと閉園時間になっていた

「んーっ…はぁ…楽しかったですね♪」
「そうだな」
「…そういえば、これで終わり、ですよね?」
「そうなるか…まぁ、時間もいい頃合だし」
「…じゃあ、最後にひとついいですか?」
「ん?ああ、まぁ…」
「それじゃあ…ん」
「…」
しばらくヴァイスは固まっていた
なにせ、シャーリーが目を閉じ顔を上に向けていたから
こういうときにどうするか…答えはひとつ
ヴァイスはシャーリーの肩をつかみ…そして

静かに、二人の影は重なった


ちなみに…

「う〜ん、まさかこの二人がな」
「ヴァイス君ってこういう顔もするんだね」
「シャーリーって意外に大胆なんだ…」
「ま、とりあえず帰ってきたらからかったろ♪」
「ほどほどにね、はやてちゃん」
「…そういえば、この中で私だけ…ぶつぶつ」

しっかりと、隊長陣に見守られ(覗かれ)ていた



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あとがき
 はい、というわけでヴァイス×シャーリーでした
個人的にヴァイスとはティア、なんですが…これはこれでいいですね♪
そうそう、ライオンの云々ってのはそういう風に聞いた…って程度なんで
あまり鵜呑みにせぬよう…
あ、それと若干リクと変わっちまったとこがあるんですが
まぁ、仕様ということでご勘弁を(_ _)

      
 
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