不器用な二人


  



「はぁ…」
その日、アルフは悩んでいた
それというのも…
「何であんなこと言っちまったんだろ…」

『いつもそうだ、どうしてそうなんだよ、あんたは!』
『…何を言っているんだ?』
『!うっさい、もういいさ…どうせ、あんたにとっちゃあたしなんて、どうでもいいんだろ』
『…だから、何だ?全く話しが見えん』
『うっさい!この唐変木!』
『と?!』
『ふん!』

と、いったやり取りがあったのが二日ほど前
「…別にザフィーラは悪くないのに…はぁ」
何度目かのため息をつくアルフ
「ダメだなぁ、あたし」
「なにが?」
「?!」
気付くと、側にフェイトが立っていた
「フェイト、どうして?」
「ん?…ちょっと用があってね…で、なんか落ち込んでるアルフを見かけたから声をかけたの」
と、笑顔で言うフェイト
「…なんでもないさ、フェイトが気にするようなことじゃないよ」
「…忘れてない?アルフ」
「え?」
「私達、繋がってること」
「…」
そう、使い魔はその命を繋ぐため、主である魔導士から魔力の供給を受ける
そのためその間には少なからず意識の共有、つまり相手の考えや気持ちが流れる、ということがあるのだ
「だから、大低の隠し事はわかるんだよ」
「フェイト…」
「ね?話してみたら楽になるかもよ?」
「…敵わないね、フェイトには」
そう言って、アルフは事の顛末を話す

「…ようは、仕事と私どっちが、って事?」
「…うん」
「まぁ、確かに判らなくはないね」
「そりゃ、あたしの言ってることが必ずしも正しいとは思ってないけどさ」
「うん」
「こう、なんか不安になんだよ、ホントにあたしのこと考えてくれてるのか…」
「アルフ…」
「…はは、ごめんフェイト。つまんないこと聞かせて」
「…ううん、そんなことないよ、大丈夫」
そう言って、フェイトはアルフを抱きしめる
「フェイト?」
「不安になったらいつでも言って?私でよければ愚痴でも何でも聞くから」
「…強くなったね、フェイト」
「はは、みんなにいろいろ教えてもらったからね♪」
「そっか…」
「…それに、アルフの考えは大間違いだから♪」
「…え?」

その後、意味深な笑みを浮かべるフェイトにいいから行ってこい、と言われ
不思議に思いつつも、ザフィーラの元へ

「…って、どんな顔して会えばいいんだよ」
「?…アルフか?」
「?!」
やっぱり帰ろう、と思い踵を返したところで呼び止められた
「…あ、はは…えっと…」
「ちょうどよかった…ほら」
「え?」
そういって、ザフィーラは小さな箱をアルフに渡す
「…これは?」
「大したものではないがな…まぁ、開けてみろ」
「?…ああ」
よく判らないが、言われたとおり箱を開けてみる
中には三日月を象ったイヤリングが入っていた
「…」
「…おめでとう、アルフ」
「……は?」
その言葉に、アルフは呆けた顔をする
「テスタロッサに聞いてな…今日がアルフが使い魔としてともに過ごすようになった日だと」
「…あ、ああ…確かに」
ようやく合点がいったという感じで頷くアルフ
「…まぁ、そのせいで少し忙しくてな」
「…え?じゃあ、これを買うために?」
「ああ…」
照れ臭そうに頬をかきながらそう言う
「…そういうことか」
フェイトが大間違いだ、といった意味が理解できた
「…すまなかったな」
「え?なにが?」
「…不器用だからな、俺は。あまりいろいろはできん…そのせいで、いらぬ不快感を与えてしまった」
「…あ」
それが何を指しているかは言わずもがな、だ
「すまんな、唐変木で」
「…なんか、責められてる?」
「ふ、冗談だ」
「…質の悪い冗談だねぇ」
と、言いつつもアルフは笑みを浮かべている
「…なら、あたしもお礼をしなきゃね」
「礼などいらん…もともと祝い事なのだから」
「ま、礼っていうより謝罪かね」
「謝罪?何に対して」
「信じきれなかったことに対して、さ…ちゅ♪」
「?!」
「大好きだよ、ザフィーラ♪」

笑みを浮かべるアルフに、顔を赤くしつつ
改めて惚れているな、と思うザフィーラだった…



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あとがき
 はい、と言うわけでザフィアルでした
まぁ、なんとなく甘さが足りない気もしますが
バレンタインでとことんやったんだから、これくらいでちょうどいいんですよ(笑)


      
 
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