ドクターのお相手は?


その日、スカリエッティのラボでは壮絶な戦いが繰り広げられていた

「私はドクターの秘書です、供にいるのが当たり前です!」
「ふん、そんなこと関係ない」
「そうだそうだ!」
「セインの言うとおりっす、こういうのは平等に権利があるっす!」
「たまにはいいこと言うな、そのとおりだ」
と、いう感じで
ウーノ、チンク、セイン、ウェンディ、ノーヴェの五人は言い争っていた
いったい、何にそんなにむきになっているかといえば…
「とにかく、ドクターの看病は私がやります」
「だから、どうしてそうなるんだ?」
「さっき言ったとおりです」
そう、スカリエッティが風邪をひいてしまい、その看病を誰がするか、ということで言い争っていたのだ
ちなみに、他の妹たちは買出しやら何やらがあって出かけている

「大体、ウーノ姉はいつもドクターと一緒じゃん」
「そうっす、たまには私たちに代わってほしいっす」
「だから、私はドクターの秘書として…」
「ああ、もう埒明かないから勝負しようぜ?」
「勝負?」
「そ、一人づつドクターの看病して、誰が一番よかったかドクターに決めてもらうんだ」
「…いいでしょう、そのほうがはっきりわかりますから」
「ふん、いい気になっていられるのも今のうちだ」
「誠心誠意看病するぞ♪」
「一番になるっす♪」
「ぜってぇ、負けねぇ」

こうして、スカリエッティの知らないところで
とんでもないバトルの幕が切って落とされた…

スカリエッティ自室

「けほっ…ふぅ、風邪などいつ以来か」
と、ボーっと考えているとノックの音
「ん?誰だ」
『ウーノです、入ってもよろしいでしょうか?』
「ああ、かまわない」
「失礼します」
そう言って、ウーノは部屋の中へ
「お体は大丈夫ですか?」
「ああ、だるい感じはあるが問題ない」
「そうですか…あ、おかゆを作ってきたのですがいかがです?」
「もらおうか、少し小腹がすいた」
そう言って、スカリエッティは起き上がろうとする
しかし…
「ドクター、無理して起き上がってはいけません」
「…しかし、それでは」
と、抗議をしようとしたスカリエッティの前にレンゲが差し出される
「…」
「私が食べさせて差し上げます♪」
「なに?!」
驚くスカリエッティ…それもそうだ、いわゆる”あ〜ん”をするというのだから
「いや、さすがにそれは!?」
「ご遠慮なさらず…さ、あ〜ん♪」
「……」

「…おいしかったよ」
「それはよかったです♪」
結局、断ることはできずスカリエッティはおかゆをすべて平らげた
「では、私はこれで」
「ああ、すまない手間をかけて」
「いいえ」
そう言って、ウーノは笑顔で部屋を後にした

その20分後
再度、扉を叩く音

「ん?ウーノか」
『いえ、チンクです』
「?どうしたんだ、チンク」
『その、入ってもよろしいですか?』
「ああ、大丈夫だ」
「失礼します」
「チンクまでどうした?」
「はい、汗、掻いていませんか?」
「ん…確かに、少し掻いているかな」
「では、お拭きします♪」
「へ?」
笑顔で言うチンクに、スカリエッティは間抜けな声を上げた
「さ、脱いでください」
「い、いやいや?!それこそ自分でできる!」
「病人は大人しくする、間違ってますか?」
「ぐ…」
正論を言うチンクに、渋々ながらも服を脱ぐスカリエッティだった

「どうです?強くないですか?」
「ああ、ちょうどいいよ」
なんだかんだ言いつつも、こういうのは嫌ではないスカリエッティは上機嫌
「はい、終わりました…次は下ですね」
「ああ…あ?」
またも間抜けな声を出す、だがそんなのはお構いなしに
チンクはズボンに手をかける
「ちょ、待ちなさい?!そこはいいから!」
「しかし、ここが一番蒸れると…」
「どこで、誰に聞いた?!」
とんでもないことを言うチンクに、普段の冷静な判断ができなくなってきていた
「とにかく、後は自分でできるから出て行きなさい」
「しかし…」
「しかしもかかしもない!…いや、気持ちはありがたいが十分だ」
「…なら、仕方ないですね」
そう言って、渋々といった感じだったがチンクは素直に部屋を後にした

さらに20分後

「ドクター」
「うおわっ?!」
スカリエッティは驚いて飛び跳ねる
そりゃそうだろう、いきなり地面から生首が生えれば…
「はぁ…セイン、君は私に恨みでもあるのかい?」
「とんでもない、そんなのありませんよ」
「なら、今後ISでの登場はしないように」
「は〜い」
そういうセインは、すでに完全に部屋の中
「それで、何か用でもあったのか?」
「看病です♪」
「…」
スカリエッティのほほに冷たい汗が浮かぶ
今日はなぜかウーノとチンクが世話に来ている
ならば…
「風邪は人に移すと治るって言ってたから、私に移してください♪」
「だぁ?!予想通りか!」
目をつぶり迫ってくるセインにスカリエッティはそう叫んだ
「そんなのは迷信、それに移したらセインが苦しくなるだけだ!」
「そのときはドクターが看病してくれるよ♪」
「なぜ、決定事項?!」
「ささ、遠慮せずに♪」
「いろんな意味でやばいから却下だー!」
その後、約10分間のドタバタ劇の後

「うぅ…もうお婿にいけない」
「大丈夫、そのときは私がもらってあげますから♪…と言うわけで、お大事に〜♪」
そう言って、笑顔で部屋を出て行く…ちなみに、ちゃんとドアから、だ

さらに…以下略

「次はウェンディか…」
「そんないやそうな顔しないでほしいっす」
「いや、気持ちはありがたいのだが、いかんせんこれまでが…な」
「大丈夫っす、ちゃんと風邪の治し方を勉強してきたっすから♪」
そう言ってウェンディが取り出したのは…ネギ
「…なんとなく、予想できるのだが…それをどうする気だ?」
「お尻の穴にさすっす♪」
「やっぱりか!?というか笑顔で言うな!!」
「バカにしたらだめっす、おばあちゃんの知恵袋っすよ?」
「それこそ迷信だ!というか、逆に危ないんだぞ?!」
「大丈夫っす、ちゃんと試験済みっす♪」
「誰で?!」

「……」
「どうした、ルーテシア?お尻をさすって」
「…ウェンディが風邪を治す方法を試したいって…ネギ入れられた」
「…それは、災難だったな」

「というわけっす♪」
「君は関係ないルーテシアに何をしとるんだ!!」
「だから大丈夫っす♪さ、ぶすっと♪」
「いぃやぁだぁぁぁぁぁ?!!」

はらり…

「それじゃあお大事にっす〜♪」
そう言って、部屋を出て行くウェンディ
部屋には無残な姿を晒すスカリエッティがいた…

そのさらに…以下略

『ドクター』
「?!次はノーヴェか!もう騙されんぞ!そっとしておいてくれ!!」
『ドクター?どうしたんですか』
「どうしたもこうしたもない!お前たちは次から次へと!」
『…とりあえず、入っていいですか?』
「断る!!」
『…じゃあ、仕方ない』
ドゴォォォォン!!
その言葉と同時に、扉が壊される
「せっかく人が看病にきたのに、締め出さないでほしいな」
「何が看病だ?!あと、扉壊すな!」
「ちゃんと直しますって…それより、氷枕もってきましたよ」
「なに?」
「風邪を引いたときは汗を掻いて、あと首を冷やすと治りやすいみたいですよ」
「…そうか?」
「まぁ、本で読んだだけなんでどれくらい効果あるかは知りませんけど」
そういいつつ、ノーヴェはスカリエッティのもとへ
「とにかく、安静にするのが一番らしいですから、横になってください」
「う、うむ」
普段とは違う雰囲気のノーヴェに、スカリエッティは素直に従う
「…確かに、これはいいかもしれない」
「よかった…えっと、あと何か必要なものってあります?」
「いや、これといってはないな」
「なら…しばらく休んでてください、一日ゆっくりしとけば治ると思うし」
「…それだけか?」
「?他に必要なものはないんですよね?」
「ああ…まぁ」
「なら、ゆっくり休むためにもいないほうがいいでしょ?」
「…」
「どうしたんですか?」
「いや、ノーヴェってかなり優しい娘だったんだな」
「な?!な、ななななに言ってんですか?!べ、別にそそそそんなことは!」
スカリエッティの言葉に、ノーヴェは顔を真っ赤にして手をぶんぶんと振る
「と、ととととにかく、ゆっくり休んでください!」
それだけいい、ノーヴェは脱兎のごとく部屋を後にした

後日

「ノーヴェ」
「あ、ドクター…?!」
「いやぁ、探したよ…実はプレゼントがあるんだが」
「い、いいいりません?!」
「絶対似合うから♪」
「似合うわけないじゃないですか!そんなフリルのついたやつ?!」
「大丈夫、ノーヴェは優しい娘だから♪」
「答えになってなーい!!」

こうして、別名”ドクターの相手は誰だ?!”バトルはノーヴェの勝利となった
ちなみに、しっかりとノーヴェはフリルのついたドレスを着せられたとさ…めでたしめでたし


「めでたくねー!!」
「かわいいよ、ノーヴェ♪」
「ひ〜ん?!」

ちゃんちゃん…


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あとがき
 はい、なんかいろんな意味でツッコミどこ満載ですが
まぁ、そこはスルーの方向で(笑)
とりあえずナンバーズのやつを書きたい、と思ってたらweb拍手のほうにも
そんなんがあったんで、では書きましょう…と
あ、ちなみに本編とは性格等違いますがそこはご愛嬌、ということで(笑)


      
 
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