新しい生活






「ただいま」
その日の仕事を終え、大地は帰宅した。
「おかえりー♪」
ここ数日ですっかり馴染みとなった挨拶
「お帰り、大ちゃんお疲れさま」
「うん、ただいまスバる…ん」
「?」
そして、迎えてくれたのは最愛の人、スバル
しかし、その姿を見た大地は停止
スバルは首を傾げる
しばしの沈黙

そして、先に声を発したのはスバルだった
「あ、そっか…お帰りなさい、ご飯にする?お風呂にする?
 それとも…わ・た・し♪」
「もちろん、スバル・・・ではなくて!その格好は」
「うん、裸エプロン。男の人ってこういうの好きなんだよね?」
「いや、確かに好きというかロマンだけど」
そういって、大地はスバルの姿を見る
エプロンだけを着ているため、健康的な太ももや
綺麗な肌が見えている。
正直、目のやり場に困ってしまう
「…どこ見てるの、大ちゃん?」
「いや、あの、別に…?」
「もう…見たいなら、いいよ?」
「え?」
「大ちゃんなら…その、いいよ」
そういいながら、スバルはエプロンの裾に手をかける
「いや、俺はそんな…」
「見たくない?」
「…見たいです」
「ふふ、正直だね…じゃあ、はい」
「……え?」
「えへへ♪さすがに、それはちょっとね」
そう言って、照れ笑いを浮かべる
「えっと、水着?」
「うん」
そして、エプロンを外すスバル
そこには、あられもない恰好ではなく
水着を着たスバルの姿
夏に海水浴に行った際に来ていた青色のビキニだ
「えへへ、ごめんね。さすがに裸にはまだ恥ずかしくて」
「いや、当然だよ…うん、全然残念じゃないよ」
「ごめん、その代わり夕ご飯は腕によりをかけてるから」
「それは楽しみだ…別に残念に思ってるからじゃないから」
と、大地は念を押しつつリビングへ

「はぁ、美味しかった。ご馳走様」
「お粗末さま…きれいに食べたね」
「お腹が空いてたこともあるけど、スバルんのご飯はほんとに美味しいから」
「そう言ってくれると、頑張った甲斐もあったかな」
「でも、早いね。もうあれから三か月か」
「あ、うん。最初は勝手がわからなくて右往左往してたけど」
「はは、確かに」
「あと、ごめんね、お父さん時々頑固だから」
「はは、親ってのはああいうものだと思うよ」
そう言って笑う大地
思い出すのは、二人で一緒に住むと決め
ゲンヤとギンガに報告に行った日のこと


「…悪い、もう一度言ってくれるか」
「だから、これから大ちゃんと一緒に住むから」
「…なぁ、ギンガ。俺もついにボケたか?今大地と一緒に住むと聞こえたんだが」
「確かにそう言ったわよ、お父さん」
「そうか、よかったボケるにゃ早いからな。はっはっは…」
そして、一呼吸

「ふざけるな、若僧!」

大声で凄むゲンヤに、大地たちはあっけにとられる
「いいか、百歩譲ってスバルとの仲は認めてやる
 だが、それとこれとは話が別だ。同棲など絶対に認めん!!」
「ちょっと、お父さん。二人とももう子供じゃないんだし」
「俺から見りゃ、まだ子供だ。大体、同棲なんてこと認めたら
 何するかわかりゃしねぇ」
「大丈夫だよ、大ちゃんヘタレだし」
「ちょ、待って?!別にヘタレじゃないから」
「そりゃ、わかってるがな」
「ゲンヤさんも!おれだってそれくらいの甲斐性は…」
「あ?!何か、んじゃ手ぇ出したとでもいうのか」
「あ、いえ…それは、まだです、はい」
般若の様相をしたゲンヤに、大地はそう言うしかなかった
「まぁ、大地君がヘタレかどうかは別として。
 お父さんも、大地君がいい加減な気持ちでスバルといるわけじゃないのはわかってるでしょ?」
「いや、それは…だがな、それとこれとは」
「そりゃ、スバルを取られたくない気持ちはわかるけど。あまり言うと、後が怖いわよ?」
「ふん、この年で怖いものなんてあるか、んなことより…」
と、話を続けようとしたゲンヤの背後から、凄まじいオーラが立ち上った
「…この感じ、覚えがあるぜ」
「お父さん、あまりわがままを言って、スバルたちを困らせるのは感心しませんよ?」
そう言って、笑顔でゲンヤの肩に手を置くギンガ
「そういったとこまであいつに似るか、おめぇは」
「とにかく、二人のことを思えば、ここは素直に頷いておくのが、親ってものじゃありません?」
「…このプレッシャー、あいつのお気に入りの服を汚しちまった時以上だ」
「お父さん?」
「……わーったよ、俺の負けだ」
そう言って、肩をすくめるゲンヤ
「ただし、家の手配とかはこっちでやらせてもらう、それが最低条件だ」
「ありがと、お父さん」
「はい、ありがとうございますゲンヤさん」
「…ふん」


「そのおかげで、こんなとこに住めるんだし」
「うん、結構いいとこだよね」
ゲンヤが用意したのは高層マンションの一室
オートロック付き、液晶付きのインターフォン
4LDKで、家具付きという好条件だった
「でも、なんだかんだでよくしてもらってるよね」
「うん、だってお父さんもギン姉も大ちゃんのこと好きだから」
「え?でもゲンヤさんは」
「照れ隠し、お父さん不器用だから」
そう言って、笑みを浮かべるスバルだった

明日も仕事があるということで、二人は軽く談笑して床についた

「そういえば、あれから結構経ったよね」
「ん?」
「大ちゃんとこういう関係になってから」
「あぁ、そういえば」
「でも、最初会ったときはこうなるなんて想像もしてなかった」
「確かに。人生何があるか分からないな」
「うん・・・でも、今はすごく良かったって思う
 だって、こんなに胸が暖かくなるから」
そう言って、スバルは大地に身体を寄せる
「うん、俺も。こうやって一緒にいるだけで
 とても気持ちが安らぐ」
そして、大地はスバルの頭を優しく撫でた
「大ちゃん・・・」
「ありがとう、一緒にいてくれて」
「私の方こそ、ありがと。これからもよろしくね♪」
「こちらこそ、よろしくスバルん」

そして、優しく口づけを交わすのだった




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大変遅くなってしまい、本当にすみません(_ _)
いろいろあって書くのに時間が掛かってしまいましたが
その分マトモになってる・・・はずですので
楽しんでいただければ幸いです。
あ、大地がヘタレとかってのはネタです。
ほんとのとこは知りません(笑)







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