Dream World


  



その日、なのは、フェイト、はやての三人は
シャーリーに呼ばれ、アースラのある一室にいた

「シャーリーどうしたの?こんなとこに呼び出して」
「いや、なのはさんたちは日ごろ大変でしょう?だから、少しでも癒しを、と思いまして」
「癒し?」
「それなら、こんなとこやなくて南国のリゾートにでも行きたいな」
「ふふ、そんなところよりよっぽどここのほうがいいですよ?」
はやての言葉に、シャーリーは笑みを浮かべながら意味深なことを言う
「…どういうことや?」
「説明は後、まずは見ていただきましょう!」
そう言って、シャーリーは手に持っていたボタンを押す
すると、大きな音が響き、シャーリーの後ろの壁がスライドする
そこには…

「なに?これ」
「見た目は…マッサージチェア?」
「せやけど、なんかいろいろなもんがついとるで?」
なにやら物騒な装置を前に、三人はそれぞれ感想を述べる
そんな三人に、シャーリーが説明する
「これは夢を見る機械、"dream happy"です♪」
「夢を見る機械?」
「でも、別に夢くらい寝てるときに見るよね?」
「甘いです、フェイトさん!これはなんと、自分の見たい夢が見れるのです!」
フェイトの言葉に、シャーリーは大きく手を広げて言う
「自分の見たい夢って…できるんか?」
「はい…皆さん、人の脳には記憶野、という記憶をつかさどる部分があるのはご存知ですよね?
 そこには、今まで経験したことや、見聞きしたものを記憶しています
 そして、夢とはその経験したことや見聞きしたものを整理する際に見られるもの、とされているんです。
 そのため、夢は記憶にあるもの以外を見ることはありません…例えば宇宙で浮かんでいる、という
 のは普通なら死んでしまうし、体験することなんてありません…ですから、夢で見ることはありません。
 ただ、例外としてその人の願望、欲望など、強く願ったりしたことは夢に見ることはあるといいます。
 これは、記憶の整理をする際
 そこに強い意志…例えるなら湖に石を投げる、という行為ですね。そうすると、当然湖に波紋が起こります
 それと同じで、記憶の整理している最中にそれが流れ込んでくる事があるんです。
 そして、この機械はその”湖に石を投げる”という行為を行います…つまり」
「だぁー!ストップや!」
「はい?」
突然、はやてが大声を出したので、シャーリーは説明を中断した
「そない難しいこと言われても私らには理解できん」
「そうですか?」
シャーリーは不思議そうな顔をしているが
実際、なのはは話についていけずぽかんとしているし
フェイトは多少理解できるようだが、それでも小首をかしげている
「つまり、どういうことや?簡単に言ってほしいんやけど」
「そうですね…自分の見たい夢を強く願えば、機械がそれを見せてくれる、といったところでしょうか」
「そんだけかい?!」
実に、単純明快な説明にはやてはつい突っ込んだ
「そんだけ、って実際はとんでもなく深いんですよ?」
「それは解る。せやけど癒し、とか言うときながら知恵熱出させる気か?」
「そ、そうでしたね」
もっともな言葉に、シャーリーもさすがに悪い気がしてくる
「ま、まぁとりあえず使ってみてください。すべてはそれからです」
ということで、三人はシャーリーに言われるとおり機械に座る

「では、起動させます、見たい夢のイメージをしっかり浮かべてください」
シャーリーの言葉に、三人は目を閉じ、集中
「"dream happy"起動…ぽちっとな」
なにやら、不可思議な声を最後に
なのはたちの意識は闇に落ちていった…


なのは

「ん…あれ?私たしか…」
「おはよう、なのは」
「え?ユーノ…君?」
横を向くとユーノの姿、ちなみになぜか裸
「ユーノ君?!…って、私も?!」
「どうしたの?」
驚くなのはに、冷静なユーノ
「だ、だって、え?これって…ええ?!」
「はは、かわいいねなのは♪」
「え?ええ?!…もぅ、からかわないでよ」
「からかってないよ…それより、どうしたの?いつもはそんなこと言わないのに」
「…あれ?どうしてだろ、いつもの朝なのに…あれ?」
「まだ早いからね、寝ぼけてるんじゃない?」
「そう…かな?」
不思議に思いつつも、ユーノの言うとおりまだ6時、確かにいつもより
早い時間だから、寝ぼけていても不思議はない
「今日はご飯僕が作るよ」
「え?だめだよ」
「でも、なのはもう少し休んだほうがいいよ?」
「大丈夫!それに、大好きな人にはちゃんとした食事をさせてあげたいの」
「…ありがと、なのは」
「えへへ♪」
何気ない一言、だがその一言が嬉しいのだ

「なのは、今日は早く帰れる?」
「んっと…特に何もなければ、大丈夫」
「じゃあ、今日は外に食事に行こうか?ちょうどいいところを見つけたんだ」
「え?ほんとに」
「うん…あ、もちろん食事代は僕が持つから」
「それはだめ」
ユーノの言葉を、なのはは即座に否定する
「え?どうして」
「私はユーノ君といろんな意味でのパートナーになりたいの
 だから、こういうのも対等、ね♪」
「…敵わないな、なのはには」
そう言って肩をすくめるユーノ
しかし、顔には笑みが浮かんでいた

「すごいね、高いんじゃないの?」
「そうでもないよ、この景色を売りにしてるから」
そう言って、ユーノは外を見る
そこには百万ドルの夜景…とまではいかないが、十分すぎるほど綺麗な夜景が見える
「と、いう訳だから心配はいらないよ」
「まぁ、二人で、だしね」
「はは、たしかに」
二人で笑いあい、そして運ばれてきた料理を食べながらの談笑
そして、時間もいい頃合になったころ
「…なのは」
「ん?何、ユーノ君」
「ここさ、ホテルもあるんだ」
「へぇ、そうなんだ…?」
「それで、さ…実は部屋、とってあるんだけどね」
「……」
しばしの沈黙、そしてその意味を理解したなのはは
頬を赤く染めながら呟く
「…そういう、事?」
「なのはが、嫌じゃなければ」
「それは…ないよ」
「じゃあ…」
「…うん」
こうして、二人は熱い夜を過ごした…


フェイト

「ん…あれ?ここは」
目を覚ましたフェイトは見慣れない天井に首をかしげる
「あ、起きた?フェイト」
「…ユーノ?」
「ん?どうかした、もしかして寝ぼけてる?」
「う、ううん…でも、どうして」
「どうしたもこうしたもないでしょ…」
そう言って、ユーノはフェイトに近づき、キス
「…………」
「おはよう、フェイト♪」
しばしの沈黙…そして

「うわきゃわぁぁぁぁ?!」

フェイトはわけのわからない奇声を上げた
「わ?!ど、どうしたの」
「キ、キキキキキキス?!キスした?!今?!」
「したよ?朝の挨拶」
「あ、あああ挨拶って?!」
「決めたじゃないか、朝起きたらおはようのキス、って」
「え?!そ、そんなこと決めたっけ?」
「うん…どうしたの?もしかして、嫌だった?」
「え?」
「いや、僕が多少強引にそうしたい、とかいったからさ、それで断りづらくなったのか、とかね」
「う、ううん?!そんなことないよ!…び、びっくりはしたけど、嫌じゃ…なかったし」
「そう?」
「う、うん」
「ならよかった」
そう言って、心底安堵したようにユーノは微笑む
「…ご、ごめん、私のせいで」
「ちょっと、そういうのはなしだよ?フェイトは何も悪くないんだから」
「…でも」
「う〜ん…そういうなら、今日ちょっと付き合ってもらえるかな?」
「うん、それくらいならいくらでも」
「よし、じゃあまずご飯食べちゃおう」
「うん♪」

ショッピング街

「ここ?」
「うん」
ユーノが連れてきた場所はショッピング街の一角
いわゆる女性物の服を扱っているお店
しかも、雑誌などでよく取り上げられる有名なところだ
「どうしてここ…はっ?!まさか、ユーノって女顔だと思ってたけど?!」
「違う!!というか、何を言うんだよフェイト?!」
「いや、おにいちゃ…クロノから女装した事があるって聞いたから」
「…あいつとは、やっぱり白黒はっきりさせなきゃいけないか」
なにやら黒いオーラを発するユーノ
「ちょっと、仮にもお兄ちゃんだから、ほどほどにね?」
「…いや、フェイト。確かにあいつのことは気に食わないけど、仮に、ってのはひどいだろ?」
「そうかな?ユーノに無理難題な仕事を押し付けてるって聞いたけど?」
「…あながち、嘘じゃない、けどね」
そういうユーノの顔は一気に老けたように見える
「…話それたね、で、ここで何するの?」
「あ、そうそう…買い物だよ」
「買い物?」
「うん、フェイトの」
「私の?」
「当たり前だろ、まさか僕が着るとでも?」
「引きずるね…」
「はは、まぁ冗談だけど…とりあえず入ろう?」

「いらっしゃいませ♪」
中に入ると、元気な声で挨拶される
「彼女に合う服を見繕ってもらいたいんだけど?」
「ちょ、ユーノ!」
「かしこまりました、少々お待ちください」
そう言って、店員は奥へ
「もぅ、強引だよ」
「それくらいしないと遠慮するだろ?」
「う…」
確かに、ユーノの言うとおりだ
フェイトは何かと言うと悪いから、とか似合わない、といって
受け取ろうとしなかった
「ま、そういう意味も込めて今日は誘ったわけ」
「…ふぅ、敵わないな」
「はは、それは光栄だね♪」
そう、笑顔で言うユーノに、フェイトも自然と笑みが浮かぶ
「お待たせしました♪」
そう言って、店員が数着の服を持ってやってくる
そしてお着替えタイム…

「えっと、これ変じゃないかな?」
そういいつつ、フェイトは試着室のカーテンを開ける
「そんなことないよ、すごく似合ってる」
「そ、そう?…ありがと」
そう言って、ほほを染めるフェイト
今、フェイトが着ているのは黒のカクテルドレス
胸元にビーズの薔薇があしらってあるのが、ワンポイントで結構人気のあるドレスだ
「でも、これは普段着には…」
「そうだね…じゃあ、次着てみようか」
「う、うん…」

その後、約一時間かけて決めたのは
淡いブルーのワンピースとスミレの花の装飾が付いたミュールだった

「ありがと、ユーノ♪」
「いやいや…でも、ほんとにそれだけでよかったの?二三着くらいは大丈夫だったのに」
「うん、十分…だって、ユーノが買ってくれたものだもん」
「フェイト…」
「えへへ、だから十分嬉しい♪」
そう言って微笑むフェイトに、ユーノは静かに口付けた
「…」
「…もぅ、また」
「あはは、ごめん」
「ううん…ちゅ…いやじゃないよ♪」
「…それはどうも」
「あはは♪」
夕陽が照らす中、二人して笑いあった

はやて

「ん…もぅ朝か」
そう言って、はやてはゆっくりとベッドから降りる
「さて、朝ご飯つくらな…?なんや、ええ匂いがするな」
なにやら、台所のほうから食欲を誘う香りがしてくる
「あ、おはようはやて」
「ユーノ君?!何しとんの」
「見てのとおり朝ご飯の仕度…もうすぐできるから、ちょっと待ってて」
「いや、いろいろ突っ込みたいんやけど、何から突っ込めばええか?」
「あ、料理なら心配いらないよ、これでも人並みにはできるから」
「そうか?…って、ちゃうちゃう、そうやなくて」
そう言って、はやては台所へ
「そういうのは私の仕事、ユーノ君は座っとき」
「でも…」
「古いかもしれんけど、家事は女の仕事、や♪」
「…ありがと、はやて…ちゅ」
「…………………………」
「?はやて」
「……あのな、別に嫌っていうわけではないよ?でも、こういうのはなのはちゃんにしたげな」
「どうして、そこでなのはがでてくるの?」
「なんでって…そうやね、なんでやろ?」
そう言って首をかしげるはやて
「…悪い、なんや寝ぼけとったみたいや」
「珍しいね、はやてが寝ぼけるなんて?」
「まぁ、私も人の子やからそういうときもあるて…さ、朝ご飯作ってまわな♪」

「いただきます」
「はい、召し上がれ」
「ぱく…ん、やっぱり美味いね♪」
「まぁ、これでも約十年やっとるからな♪」
「はは、そうだったね…そういえば、はやて今日予定は?」
「ん?…んく…特にはないよ」
「なら、海にでも行かない?」
「海かぁ、ええな♪」
「じゃあ、決まり、でいいかな?」
「異存なし♪」

その後、準備をして二人は海へ

「う〜ん…潮風が気持ちいい♪」
「あまり人もいないし、いい時間帯にこれたかな」
「はは、せやね♪」
そこで会話は途切れ、二人はなんともなしに海を眺める
「…ねぇ、はやて」
「ん、なんや?」
「…キスしたい」
「ぶっ?!」
唐突な、そしてとんでもない発言に
はやては転びそうになる
「だ、大丈夫?!」
「誰のせいや!」
「すいません、僕です!」
鋭い突っ込みに、つい返してしまうユーノ
「まったく…」
「えっと…それで?」
「……しゃあないな」
顔を赤くしつつ、はやてはそう言って目を閉じる
「はやて…」
「ん…」
触れ合うだけの簡単なキス
「…はは、やっぱり照れるね」
「…そう思うなら、すな」
照れ笑いを浮かべるユーノに、真っ赤な顔ではやては突っ込んだ



「!」×3
「あ、お目覚めですか?」
「…」
「…」
「…」
「?どうしました」
「!な、ななななんでもないよ?!」
「!う、うん、なんでもないなんでもない!」
「せやせや、別に心配することなんてなんもないで!」
「は、はぁ…あ、それでどうでした?見たい夢、見れました」
「え?!」
「え?…って、見たんでしょ?」
「な、ななななにを?!」
「なにを?…って、だから夢」
「ゆ、夢ってのは、その、さっきのか?!」
「それしかないと思いますけど…」
おかしなことを言う、という感じで
シャーリーは返事をする
「い、いいじゃない、そんな細かいことは」
「そ、そうだよ、夢なんてすぐ忘れるし」
「せや、大体人に言うもんやないやろ?」
「まぁ、確かにそうですね…」
いまいち納得いかない、という感じのシャーリー
「じゃ、じゃあ私たちいくから」
「あ、ありがと、いい気分転換になったよ」
「ほなな、シャーリー」
そう言って、三人は足早に部屋を後にした

(うぅ、いくらなんでもあんな夢見ちゃうなんて)
(どうしよう、なのはになんて言えば…それより、私ってもしかして…)
(くぅ、なんやさっきのは。あれが私の願望いうんか?!)
(で、でも、興味がない…わけじゃないし)
(…でも、ユーノって結構かっこいいとこあるし…!ち、違う違う!!)
(せやけど、不思議と心地よかった…!ちゃう、気の迷いや!!)
(いずれ、ああなる…きゃー?!私、なに考えてるんだろ?!)
(…でも、ちょっと、よかったよね)
(…でも、ああいう関係も)

(ああ、どうしたらいいの?!)×3

と、いう感じで
その後しばらく、三人の間には不思議な空気が漂っていた…


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あとがき
  はい、というわけでどうでしたか妄想大爆発は(笑)
いや、もう書きたかったから書いた、それだけです。
こういうCPもありではないか?というif的な感じの内容ですが
まぁ、ちょっとしたお遊びですね(笑)
あ、ちなみに記憶野云々はテレビで見ただけなんで
詳細なメカニズムは一切知りません、あしからず…

      
 
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