温泉宿で一戦


  




後編





それからバリアジャケットを装備したクロノとヴィータは
宿の主から聞いた怪物が出現するという沖合いへやってきた

「ヴィータ、噂に踊らされては・・・・」
「噂かもしれねぇけど、そうじゃねぇかもしれねぇだろ」
「・・・なんてポジティブな」
と、クロノがため息混じりにつぶやくと同時に魔力反応を感知した
「・・へ、どうやら噂じゃなかったようだぜ」
「・・・らしいな」
そして現れたものは・・・・
「イカ!?」
「そうだとすれば・・・厄介だな」
「厄介だろうがなんだろうが、あいつをぶっ倒す!そのためにきたんだからな」
「だが、気をつけろ。やつの能力は未知数だ」
「わかってるって、グラーフアイゼン!」
ヴィータはそう言ってイカの化け物に向かっていった


後方支援のため警戒を怠らないように気を配っていたクロノは少しの違和感を感じていた
(なんだ?いくらなんでも攻撃が単調すぎる・・・・素体がイカだから?)
(それとも・・・・)


クロノが考えをめぐらせている間もヴィータは絶えず攻撃を続けていた
「グラーフアイゼン!!」
『Ja!』
その言葉とともにヴィータの手には3つの鉄の玉が現れる
それを放り投げ、グラーフアイゼンで叩く
「いっけぇー!」
鉄の玉は弾丸のような速さで化け物へ叩き込まれる
しかし、化け物は特に気にした様子はない
「なに!?効いてねぇのか?」
「・・・なら、こいつで」
『Rakete nform』
それを合図に形状が変化していく
さながら小さなロケットのような形状へ
「うぉぉぉぉぉ!」
そしてヴィータは自らを軸に回転する
「砕けろー!」
渾身の一撃を放つ


しかし、それは化け物には届かなかった
「?!バリアまで張れるのか」
クロノは驚いている、しかしヴィータは違った
「こんなん、なのはのやつに比べたら紙だ。グラーフアイゼン!」
『Ja!』
その言葉とともに再び火が点る
ゼロ距離からの加速、これによってなのはのバリアも一度破られている
「くらえー!!」
そしてバリアは砕け、その一撃は化け物へと突き刺さる
だが・・・
「なに?!貫けねぇ」
ヴィータの攻撃は確かに直撃した
しかし、化け物の身体はその攻撃の威力を殺すかのように
ぐにゃり、と変化していた
そして、その一瞬の驚きがあだとなった
「ヴィータ!後ろだ」
「え?・・ぐぁっ!」
無防備だったヴィータの背中に化け物の触手が叩きつけられた
「く・・・うぅ・・」
「ヴィータ、無事か?」
「う・・・平気だ・・・この・・程度」
駆けつけたクロノにヴィータはそう言うが、明らかにダメージは大きい
「なるほど、軟体動物だから攻撃は効かないと分かっていたのか、多少は頭を使えるようだ」
「なんだ、それ・・」
「骨のない動物のことさ、打撃形はほとんど効かない」
「マジ?んなやつがいんのかよ」
「原生生物にも似たようなやつがいたはずだが?」
「んなやつとやったことなんてねぇよ」
と、そんなことを言っている間に怪物はすでに二人に狙いを定めていた
「くっ?!飛ぶぞ!」
「ああ!」
ビシュッ!!
そう言って二人が飛んだ直後、二人のいた場所を横なぎに触手が通過した
「・・・仕方ない、僕があいつを凍らせる。そこにありったけをぶつけろ」
「分かった」
ヴィータが頷いたのを合図に二人は左右に飛んだ


「デュランダル、セット!」
『OK, Boss』
そしてクロノの周りに青白い光のつぶてが舞い
辺りの気温が急激に下がる
「凍てつけ!」
その言葉とともにクロノはデュランダルを化け物に向ける
『Eternal Coffin』
そして、化け物は一瞬で凍りつく


「グラーフアイゼン、カートリッジロード!」
『Ja!』
そして、それを合図にヴィータはグラーフアイゼンを掲げる
『Gigant form』
それにあわせグラーフアイゼンの形状が変化する、巨大な大槌へと
「轟天爆砕!」
ヴィータはそう言って回転する、それに伴って魔力の奔流が巻き起こる
「ギガント・・シュラークッ!」
そして、凍りついた化け物へと振り下ろされる



「へんっ!ざまぁみやがれ」
見事に化け物は砕け散った、文字通り”粉々”に
「いや、ギガントシュラークはやりすぎだろう」
「それくらいやんねぇとおさまんねぇよ」
クロノの言葉にヴィータはそう言った
「・・・そうか、何はともあれ、これで解決かな?」
「ああ、早速宿に戻ろうぜ」



そして、それを聞いた宿の主が早速漁師に話し
速攻で材料を仕入れてきてもらった
「うめぇ♪、さすがだぜ」
「ああ、もうヴィータ。そないに急がんでもなくならんて」
「でも、ホントおいしいね♪」
「うん、歌い文句にするだけあるね」
「あたしはもうちょっとシンプルなほうがいいかな」
「もう、アリサちゃんったら」
そう言って少女たちは多少騒ぎながら、楽しく食事をしていた


そのころ、少し離れたところでクロノはシグナムと一杯やっていた
「ふぅ、なんかやっと落ち着けたな」
「・・・すまなかったな、提督」
「ん?どうした、シグナム」
「いや、ヴィータのやつが・・・な」
申し訳なさそうにシグナムはそう言った
「ああ、別に気にしてないよ。大体ああいったことは今に始まったことじゃないからな」
「面目ない」
「謝る必要もないよ、それにこちらとしても嫌ではない」
「そう言ってもらえると助かる」
「・・・それに、みんな喜んでるみたいだしな」
そう言ってクロノは少女たちのほうを見る
そこでは楽しみながら、少々度の過ぎるような気もするが、騒いでいた
「別に年というわけではないんだが、ああいった顔を見れるならいいかと思うんだ」
「・・それは、なんとなく分かるな」
「こんなこと言うと変かもしれないが、彼女たちは本来もっと違った道を歩んだのではないかと思うんだ」
「違う道?」
「ああ、特になのははそうだと思ってる。彼女はまったく魔法とは無縁だった」
「・・・」
「だから、本来なら平凡な日々をすごしていたはずなんだ、なに不自由なく、な」
「だが出会ってしまった、いや、出会うべきだったのではないか?」
「?どういうことだ」
「確かに、提督の言うとおりかもしれん。だが、彼女がいなければテスタロッサも、わが主・・・我々もここにいなかったろう」
「・・・・」
「だから、結果的に丸く収まった、ということではないか?」
そう言ってシグナムは微笑んだ
「・・・・・そうだな、確かになのはがいなければここでこうしてはいられないか」
そう言ってクロノも微笑んだ
「何はともあれ、今日は付き合うぞ、提督」
「・・・そうか、じゃあ付き合ってもらうか」
そう言って二人は杯を交わした



次の日、飲みすぎでクロノとシグナムは帰りの電車で文字通りぶっ倒れていた



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あとがき
 つーわけでGW用に温泉旅行にいったお話です。
後編の英語の部分はとりあえず調べて書いたんで間違ってはないでしょうが
用法は多少違ってるかも(笑)
今回アリサとすずかを少し出したのは今までのssでこの二人をまともに出していなかったので
そろそろ出してやらないと、って感じで登場させました。




 
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