ありがとうの気持ちを込めて







「はぁ〜」
その日、なのはは何度目か分からないため息を吐いた
最近のなのははずっとこんな調子だ
それをそばで見ていたフェイトは
「なのは、何かあったの?最近ずっとそんな調子だよ」
「にゃはは、なんでもないよフェイトちゃん」
「嘘は駄目だよ、なのは」
「嘘じゃ…」
「なのは」
「…んと、大したことじゃないんだけど」
「だったらそんなにため息吐かないと思う」
「あう」
そう言われ、なのはは事の顛末を話した

「つまり、ユーノとヴィヴィオが何か隠してる、って事?」
「うん、別に素っ気なくなったとかじゃなくて
 何か考えてる、って感じ」
「なるほどね」
話を聞いたフェイトは考える
なのはに内緒にすること、もしくは言ってはいけないことを
「う〜ん、何か言えないことがあるのかな?」
「言えないこと…!もしかして」
「なのは、何か思い当たることでも?」
「きっと愛想尽かされたんだ…」
「……はい?」
なのはの言葉に、フェイトはなにを言ってるの?
という顔をする
「だって、任務とか教導やらで一緒に居れる時間少ないし
 ユーノ君にはいっぱい迷惑かけてるし
 ヴィヴィオには母親らしいことあまりしてあげてないし」
「…」
「どうしよう、フェイトちゃん?!」
「いや、どうもこうもそれは天変地異が起きてもないから」
なのはの言葉にフェイトはそう断言した。
「どうして?そんなこと分からないよ」
「いや、二人にとってそれはあり得ないんだって」
「?やっぱり分かんないよ」
「簡単なことだよ、恩人のことを嫌いになることはないし、
 何より愛想尽かされるなんて、どちらかと言えば
 愛想尽かされるか気にするのは二人のほうだよ」
「恩人?私何もしてないよ?」
「したよ、命を助けてくれて、居場所を作ってくれた」
そう、フェイトは微笑みつつなのはを見た
「ユーノは傷ついたところを助けられて、そのあともいろいろ手伝ってもらって
 今はなのは、ヴィヴィオと一緒に過ごせてる」
「…」
「ヴィヴィオは無理やり器にされて、そんなヴィヴィオをなのはは救い出して
 そして、娘ってかたちで居場所を用意してあげた
 …充分過ぎることをしたんだよ?」
「でも、それは私が好きでやったことだし」
「なのははそうでも、二人にとってはそれ以上の意味があったんだよ」
「でも…」
「同じ境遇の私がそう思ってるんだから、間違いないと思う」
「フェイトちゃんも?」
「うん、友達になりたいって言ってくれた。
 そして、私の事を知っても変わらずにそう言ってくれた…なのはにとって
 それは何でもないことなのかも知れない。だけど、私は救われたんだ
 だから二人も同じだと思う」
「フェイトちゃん…」
「だから心配ないよ、なのはの考えてることは大ハズレ間違いなし♪」
そう笑顔で言うフェイトに、なのはは自然と笑みを浮かべた
「ありがと、フェイトちゃん。ちょっと楽になったかも」
「気にしないで…友達、だからね」
「にゃはは、うん♪」

フェイトとしばらく談笑したなのはは、少し不安を抱えながらも帰宅した。
そして、そんななのはを迎えたのは

「お帰り、なのは」
「お帰りなさい、なのはママ」
笑顔で出迎えるユーノとヴィヴィオ、そして・・・
「これ、もしかして二人が?」
目の前のテーブルには唐揚げや玉子焼きを始め
パスタやサラダ、そして、少し不格好なケーキまで
パーティーでもあるのかという品揃えだ
「ま、慣れてないからなのはみたいにはできなかったけど」
「ヴィヴィオも頑張ったよ♪」
「そうなんだ…でも、言ってくれたら私も手伝ったのに」
「いや、それじゃあ意味がないから」
「?」
ユーノの言葉になのは首を傾げる
「ヴィヴィオ、いい?」
「うん」
「じゃあ、せーの」
「お疲れ様、いつもありがとう♪」
「え?」
「ありがとう、なのは。昔のこともだけど
 今こうして一緒に居てくれて」
「ありがとうなのはママ、忙しくてもヴィヴィオの為に
 時間作ったりしてくれて、大好き♪」
「ユーノ君、ヴィヴィオ…」
そう言う二人になのはは目頭が熱くなるのを感じた
「私のほうこそ、ありがとユーノ君、ヴィヴィオ」
「うん」
「えへへ」

そして、夕食は終始笑みの絶えない時間になった…


夕食後ー

台所では洗い物をする音が響いていた
洗い物をしているのはユーノとなのはだ
「ごめん、なのは。手伝わせちゃって」
「気にしないで…それにこれ一人で洗ってたら明日になっちゃうよ」
そう言って、なのはは次の食器を手に取る
そこには鍋やらフライパンやら全て使ったのかという位
沢山の調理器具+食器が
「やっぱり慣れないことするものじゃないね
 逆にこうして手伝わせちゃってるから」
「ううん、すごく嬉しかったよ。
 それにこういうのも楽しいし♪」
「こういうの?」
「うん、こうやって一緒に何かをする、っていうの」
「あ…」
「何だかんだで一緒に何かするって、あんまりないでしょ?
 だから、今日は本当にいい日♪」
そう言って、なのはは笑みを浮かべた
「ありがと、なのは」
「にゃ?なにが」
「全部、いろいろね」
「よく分かんないけど、ユーノ君がいいなら、いいや」
「はは、うん」
そして、二人は仲良く後片付けを続けた




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あとがき
 と言うことで、家族水入らず、な感じです
 たまにはこういう日常的な、バカップルのいない
 そんなのもいいんじゃねぇか?と思って書きました(笑
 


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