ティアとカモ


  

「……」
「すぴー…」
「きゃわあぁぁぁぁぁ?!」
「うわっ?!…ティア?どうしたの」
「これ、これこれこれ?!」
そう言って、ティアはベッドの枕元を指差す
「ん?…動物?」
そこには白い動物…おそらくオコジョだろう、が寝ていた
「ティア、確かオコジョってこんなとこにはいないはずだけど?」
「それ以前に、私のベッドにいることのほうが不思議よ?!」
「わ、わかったからティア、落ち着いて」
「これが落ち着いてられますか!例えるなら知らない男と寝てるようなもんよ?!」
「え?、え?」
それは違うのでは、と思うがこれ以上こじらせるわけにもいかないので
スバルは話を変える
「と、とりあえずそのオコジョ起こそうよ?そうしたほうが早いし」
「そ、そうね…起きなさい!」
どすっ!
「びぎぇっ?!」
「ちょ、ティア?!」
オコジョのみぞおち…になるのか?にティアの正拳がめり込む
「げはっ?!がはっ?!…な、なんだなんだ?」
「それはこっちのセリフよ、なんでここにいるの?」
「…なんだ、姐さん。もうちっと優しく起こしてくれよ」
「誰が姐さんか?!」
「ぐふぉっ?!」
容赦なく、二発めの正拳が突き刺さる
「がはっ?!…なんか、やけに殺意を覚える殴り方だ」
「ここで消してあげてもいいのよ?」
「ちょ、ティア?!…というより、オコジョが喋ってるよ?」
「は?使い魔かなんかでしょ、どこの誰のか知らないけど」
「あ、そっか。オコジョでも使い魔にできるんだ」
「ん?姐さん、そっちの嬢ちゃんは誰なんすか?」
「は?」
「というより、ネギの兄貴とこのか嬢ちゃんは?」
「ネギ?このか?」
「…」
「…」
「…」
どうやら、話がかみ合っていないようだ
「はぁ、とりあえずなのはさんたちに報告しましょ」
「そうだね」

と、言うわけで…

ある一室を借り、なのは、フェイト、はやて、スバル、ティア…そしてオコジョ
計五人と一匹の会議?が始まった

「つまり、起きたら隣にこのオコジョがいた、と?」
「誰の使い魔だろ?」
「うちもよう知らんな、というか使い魔は基本的に登録されとるはずやろ?」
「ええ、試しに調べた結果、オコジョの使い魔は登録されていませんでした」
「誰かのペット、ということもないようです」
と、それまで黙っていたオコジョが口を開く
「つーことはだ、ここは別の世界ということっすか?」
「え?あ、うんそうなる、かな」
「そいじゃあ、とりあえず自己紹介しといたほうがいいっすね」
「え?うん、そうしてくれるとありがたいけど」
「おれっちの名前はカモミール・アルベール…ネギの兄貴たちはカモって呼んでます」
「カモ…」
「いやぁ、それにしてもこんな美人さんがたに囲まれるなんて、幸せだ♪」
「あ、ありがとう」
「どうだい?おれっちと甘い夜すごさねぇか?」
「遠慮しときます」
どうやら、このカモと言うオコジョは饒舌らしい…それもいやな方面で
そして、カモを見ている皆が一人の人物を思い浮かべた

「はっくしょん!!」
「どうしたユーノ?風邪か?」
「…いや、誰かが噂でもしてるんじゃないかな」
「もてもてだね、ユーノ♪」
「良い噂とは限らないよ」
「ま、そらそうか」

「とにかく、理由はわからないけど帰り方は知ってるの?」
「予測はついてるんすけど、今の段階じゃちょっと無理っぽいっすね」
「じゃあ、その間はここで預かる、ってことになるのかな?」
「それがええやろね、ちょうどなついとる娘もいるようやし」
そう言って、はやてはティアを見る
「…は?私?!」
「聞いた話じゃ、ベッドで一緒に寝とったらしいやん♪」
「誤解です?!こいつが勝手にもぐりこんできてたんです!」
「照れるなよ、姐さん」
「だから、誰が姐さんか?!」
「ほら、息もぴったり♪」
「ぬぐぐ…」
その後、ティアはいろいろと言葉を並べ立てるも
はやての巧みな話術で渋々承諾した

「はぁ、なんでこんなことに」
「まぁ、そう気を落とすなって」
「あんたのせいでしょうが?!」
そう言って、ティアはカモの首を絞める
「ぐえぇぇぇ?!しまっ?!絞まって…?!」
「いい?変なことしたらただじゃおかないからね!」
「わ、わかった…から…」
「わかればいいのよ」
そう言って、ティアはぱっと手を離す
無論、重力に従ってカモは落下
「ぷぎゃっ?!」
「…あ、そろそろ訓練の時間だわ…いい?大人しくしてるのよ」
そう言って、ティアはさっさと訓練所に向かった
「…にやっ」

「だはは♪せっかくのチャンスだ、じっとなんてしてられるかって♪」
そう言いながらカモは疾走
目指すは…

「はぁ、気持ちいい♪」
「やっぱり、訓練の後のお風呂はいいね♪」
「うん、疲れがとれるね」
と、朗らかに談笑していると
「いやぁ、そうっすねぇ♪」
「だよねぇ♪」
「うん…うん?」
「どうしたい、フェイトの姐さん」
「プラズマサンダー!」
「しびびびび?!」
問答無用の電撃がカモを襲う
無論、空中で…
「い、いきなりはひどい」
「なにがひどいよ!というよりなに勝手に入ってきてるの?!」
「いやぁ、せっかく置いていただけるんだから何か恩返しを、と」
「恩を仇で返すって?」
とんでもなく冷たい視線をカモに浴びせる
「うおぉぉ?!寒い!あったかいはずなのに寒い?!」
「ま、まぁフェイトちゃん、落ち着いて」
「なのはは落ち着きすぎだよ?!」
「いやだって…正体は人間の男の子、じゃないでしょ…」
「あ…」
いまさら?…と言うなかれ
幼かったとはいえ、家族以外の男に裸などもろもろ見られたのだ
それをなかったことに、など出来ようはずもない
「…なんか、いやに暗くなった気が…とにかく、おれっちが背中を流させていただきます」
「え?いいよ」
「というか、断固拒否!」
「フェイトちゃん…」
「なら目隠しして、ってことならどうです?」
「…まぁ、それなら多少は…でも、変なことしたら即刻たたき出すよ?!」
「わかってますって♪」
(くくっ…うまくいったぜ、こうすれば目が見えない、ってことで触り放題♪)

「じゃあ、まずフェイトの姐さんから」
「う、うん…」
渋々、といった感じでフェイトは湯船から上がる
「いい?絶対変なとこ触らないでよ」
「わかってますよ」
「…あ、でもちょっといいかも」
ごしごし、と
オコジョにしては結構うまい
まぁ、サイズ的に時間はかかるが…
「どうっすか?」
「うん、ちょっといい♪」
(よし、そろそろいいな♪)
「きゃうっ?!」
「フェイトちゃん?」
「ちょ、どこ洗ってるの?!」
「え?背中っすよ」
「違う!もっと上!!」
「おっと、失礼…目が見えないんでちとずれました」
「…もぅ」
ごしごし…ふにゅ
「みゃう?!」
「おっと、また手が…」
「…」
無言のプレッシャー
(これ以上は、やめといたほうがいいな)
さすがにこれ以上は危険と判断したか
カモは普通にフェイトの背中を洗う
「終わりっす」
「まぁ、途中は問題あったけど…気持ちよかったし、チャラにしてあげる」
「そりゃどうも…じゃあ、次はなのはの姐さん」
「にゃはは、照れるね」
そう言って、なのはもフェイトと同じように湯船から上がる
「じゃあ、はじめるっす」
ごしごし…
「あ、ほんと…結構いいかも」
(ふふ、こういう娘は多少無茶しても大丈夫なんだよなぁ♪)
するっ…
「きゃうん?!」
「なのは?!」
「ちょ、そこ違うよ?!」
「おっと、すんません目が見えないもんで」
「…」
そして、再開
ごしごし…ふにゅ
「にゃう?!」
「すんません、手が滑ってしまって」
その後も…
「きゃう、あ、ちょっと…あはは♪くすぐったい」
「じゃあ、こっちはどうですかい?」
「あ、だめだって…ひゃうぅ?!」
「じゃあ、こっち♪」
「にゃー?!だめだよぅ」
「よーし、じゃあ♪……?」
と、ふとそこでカモは手を止める
なにやらとてつもなく背中が冷たいのだ
「…何、やってるの?」
「びくっ?!」
カモは振り返る、その拍子に目隠しも取れる
「おお♪ぜっ………」
「♪」
カモは言葉をとめ、フェイトは笑顔…そして
「いっぺん逝ってこい!!!」
「ありがとうございまじたーーー?!」
キラーン
「はぁ…はぁ…」
「なのは、大丈夫?」
「う、うん、ちょっとふわふわするけど…」

「…ひどい…目に…あった…」
通路を歩くカモ、その身体は包帯だらけ、そして歩き方もぎこちない
「ま、まぁ堪能させてもらったし…次行くか♪」
どうやら、彼に学習能力というものはないようだ

はやて自室

「んー!…はぁ、疲れたな」
「そういうことならおれっちにお任せ♪」
「うわっ?!…びっくりしたな、どこから出てくるん?」
「まぁ、これくらい朝飯前さ…それより、疲れてるっつうんならマッサージなんてどうだい?」
「マッサージか…」
「おれっち、これでもそれなりに上手いっすよ」
「へぇ…ほならお願いしよか」
「合点」

「じゃあ、はじめるぜ」
ぐいっ、ぐいっ
「おお、なんや確かにええな♪」
「つーより、かなりのもんだな…いったいどうしたらここまでなるんだか」
「いやぁ、デスクワークって案外疲れるからな…ああ、そこそこ♪」
「よっと…どうだい、もうちっと強めでもよくないか?」
「そやね、もうちょっと強めにしてもらえるとありがたいかな」
「…では♪」
ふにょん…
「…ちょお、自分何しとるん?」
「いや、後ろ足のほうが強くできるんすよ…で、足場がいるんで」
「いや、そういうこと言うてるんやな…って、ん?!…ちょ、待ちぃ!」
「よいしょ、そりゃっと」
「ん?!…ちょ、それ反則やて!」
「はやてちゃん、資料もってきま…って、何やってるです!?」
どかっ!!
「ぐぁふっ?!」
パリーン!
「大丈夫ですか?はやてちゃん」
「はぁ…はぁ…おおきにな、リイン」

「ふ、ふふ…なかなか堪能したぜ…その代償もそれなりだったが」
先ほどよりさらにぼろぼろになりつつ、カモは通路を千鳥足で歩いていく
「…さて、次が本命だ」
…以下同文

スバル自室

「99…100!…ふぅ、疲れた」
「自室でもキントレなんて、せいがでるねぇ」
「ん?カモ、まぁこれくらいしないとあの人に追いつけないしね」
(ふふ、この娘はなのは姐さんの名前を出せば問答無用で従うってのはリサーチ済みさ♪)
「で、そのあの人からちょっとした伝言言付かってるんだけど」
「え?!なのはさんから?!」
「ああ、今からおれっちのやる訓練を受けろ、ってさ」
「?どういう訓練なの」
「まぁ、簡単に言えば羞恥をどれくらい我慢できるかだな」
「え?なにそれ」
「ああ、言い方がまずかったな…度胸をつける訓練さ」
「度胸…」
「そう、恥ずかしいことをどれくらい我慢できるかで、度胸を試そうってことさ」
「確かに、いざって時に足がすくんだりしたら意味ないし…やる!」
「よっしゃ♪じゃあまずはこれに着替えてくれ」
「こ、これに?!」
「あの人に近づきたくないんすか?」
「…わかった」

十数分後

「き、着替えたよ」
「おほっ♪似合ってる似合ってる♪」
スバルの服装、それは水着
それも結構きわどいタイプの…
「よし、じゃあ今からおれっちがいろいろするけど、我慢するんだぜ」
「う、うん」
さわり
「きゃん?!」
「おいおい、まだ触れただけだぜ」
「…ぐ」
「そうそう♪…そいじゃあ」
「え?ちょ、それはなしでしょ?!」
「どんなときにも応用を、だぜ♪」
「そんな応用いらないよ?!」
「観念しな、子猫ちゃ〜ん♪」
「いやぁぁぁぁ?!」
哀れ、スバルはカモの餌食に…は、当然ならない
がしっ!
「ん?」
突然、宙に停止するカモ
そして響く、修羅の声
「何を…やってるのよ!!」
「あだだだだ?!割れる、割れる、割れる〜〜?!」
「ティア…」
「スバル、あんたもこんなエロオコジョの言うこと真に受けないの」
「だって、なのはさんが…」
「言うわけないでしょ?!あの人が!」
まぁ、普通に考えればそうなる
「じゃあ…嘘?」
「決まってるじゃない…まったく、あたしがいないとほんとだめね」
「ごめん、ティア」
「ほら、それはいいからさっさと着替えて…こいつに制裁を加えないと」

そしてしかるべき処置をとってもらうため
クロノのところへ来た五人…と、一匹
「なるほど、セクハラを働いたということか」
「そうです、いろいろな理由はありますが、やったことを許すわけにはいきません!」
「まぁ、落ち着け…ところで」
ティアナの言葉を制し、クロノはカモを見る
「一つ質問だ…フェイトにもしたのか?」
「え?」
「聞こえなかったか?フェイトにもセクハラをしたかと聞いている」
「ただのスキンシップっすよ…でも、堪能させていただきました♪」
「そうか…」
クロノは笑顔でカモを捕まえる
「あれ?」
「ゆっくりと話し合おうか…」
「いや、遠慮したい…」
「僕の妹を傷ものにしておいて、逃げられるとでも?」
「え?!」
「さぁて、試してみたい技が結構あるんだよな…一撃や二撃で死んでくれるなよ?」
「いや?!ちょっと待って、執行猶予とかってのは?!」
「あるわけないだろう、極刑なんだから」
「た、助けて〜?!!!!」
無論、その声に応える者など、いはしない

「にゃはは、相変わらずフェイトちゃんのことになると人が変わるね、クロノくん」
「嬉しいんだけど、ちょっと複雑、かな?」
「愛されとる証拠やない、ええことや♪」
「さぁて、これからどうしようかしら?」
「あ、じゃあさこれからケーキ食べにいかない?いいとこ教えてもらったんだ」
「へぇ、いいわね」
「あ、なのはさんたちもよかったらどうですか?」
「私は別にいいよ♪」
「私も」
「うちも特に予定はないし、付き合うわ♪」
「じゃあ、決まりですね♪」
こうして、女性陣は午後のティータイムを楽しむのであった





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あとがき
 はい、というわけでいろいろまずい気もしますが
まぁ、そこはそれ、ということで(笑)
とりあえず、ティアの突っ込み役を生かそうと考えた結果こうなりました
…そういいつつ、なんか別の部分がメインですが
笑って許してね♪



      
 
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