時に人は枷を外す


   


ミッドチルダ某居酒屋
そこにはフェイト、ティアナ、シャマル、ギンガの四人がいた
手にはそれぞれ、お気に入りのお酒が
ちょっとした酒宴…ならよかったのだが…

「まったく、人の気も知らないでさ、ユーノとなのはは
 自分の世界に入っちゃったみたいにイチャつくし」
「それなら、エリオとキャロもですよ…まだ子供のくせして、お風呂はいつも一緒とか
 夜は一緒に寝るとか」
「それくらいいほうよ、はやてちゃんとヴェロッサさんなんて普段会う機会が少ないからか
 平気で医務室のベッド使うんだから」
「それは確かに…でもうちの妹もすごいわよ、大地君と一緒のときは
 四六時中くっついてるから」
「…羨ましい」×4
と、身近なバカップルたちの話をしながら愚痴っていた
「そういえば、ザフィーラとアルフも似たような感じだった
 というか、ピンクオーラって見えるんだね、初めて知ったよ」
「ああ、そういえば…グリフィスとシャーリーも、出してた
 用事あったんだけど、あのオーラに阻まれるかのようにその場をあとにしたし」
「…シグナムとヴァイス君なんかすごいわよ、シグナムが乙女になってるから
 それはもう、甘いというかすごい空気が、ね」
「そういうのスバルと大地君も出してた…お互いしか見えてない、って言って
 間違いないくらい」
「…なんか、私たちの周りってそういう人ばかりだね」
「…そうですね」
「…というより、私たちが…」
「ストップ!シャマルさん…それを言ったら、みんな大変なことになるから」
「…そうね」
そして、彼女たちの周りに淀んだ雰囲気が漂った
それこそ、ず〜ん、という効果音が聞こえてきそうなくらいに

「まぁ、今日は久しぶりにこうして話ができるんだから、そういったのは無しにしよう」
「そ、そうですね、せっかくの席なんですから」
「そうよね、呑みましょう、楽しく」
「ええ、そうですね」

そうして、改めて呑み始めた四人
最初こそ、最近の出来事、楽しいことなど
普通の会話だったのだが、酔ってくると
人は得てして、制御が効かなくなるものだ…

「大体、二人の世界に入りすぎらんれす」
「そのとおり、周りを少しは気にしれくれてもいいはずれす」
「そうれす、いいこと言いました」
「うんうん、みんら周りを気にするべきれす」
「はぁ、彼氏ほしい…」
「…そうですね」
「どうしてできないんですかね、私たち」
「…どうしてでしょう」
「…きっとこういうとこが、じゃないでしょうか」
「…」×3
しばし、沈黙がおりる
「…呑みましょう!呑んで忘れましょう」
「…そうですね、明日以降に持ってかないために」
「うん、今日はとことん」
「呑みましょう」
「おー!」×4

−1時間後

「あはは♪」
「笑いすぎれすよフェイトさん…」
「仕方ないんじゃないかしら、ねぇ?」
「そうれすね、洗顔料と歯磨き粉間違えるなんて」
「仕方ないじゃないれすか、あの時は寝ぼけてたんれすから」
「まぁ、確かにそういう時もあります」
「そうれすね…しかし、なんか暑くないれすか?」
「シャマルさんもそうですか?私もなんれすよ」
「ギンガさんもシャマルさんも、呑み過ぎなんれすよ」
「そういうフェイトさんも、同じようなものれすよ」
「ん〜、そういうティアナもでしょ〜」
「あはは、そうでした〜」
「…暑い」
そう言いつつ、シャマルが上を脱ごうとしたところ
「ちょ、お客さまー!!」
と、血相を変えて店員が駆けてくる
「なんれすか?」
「いえ、申し訳ありませんがそういったことをされると
 ほかのお客様にもご迷惑がかかりますので…」
「…逆に喜ぶのれは?」
「…いえ、そういうことではなく」
と、呆れたような店員に
「…結構かっこいいれすね」
「は?」
意味を理解しかねている店員に、シャマルはもたれかかる
「もうこの際、誰れもいいれす…私と結婚してください」
「はいーーー?!」
「らいじょうぶれす、生娘じゃないれすから…経験ないんだけど♪」
「いえ、意味わかりませんからお客様?!」

そして他の三人はというと…

「あれ?あなたは確か…」
「お疲れ様です、フェイト執務官」
「ああ、いいのいいの、そういう堅苦しいのは」
「は、はぁ」
「それより…」
と、フェイトは服を脱ぎつつ
「…経験、してみない?」
「フ、フェイト執務官?!」
「大丈夫、みんなには内緒にしておくから」
「いえ、そう言うことではなく…って、執務官ー?!」
と、ちょうど呑みにきていた、後輩に絡んでいた

「ほら、呑みなさい♪」
「あ、え?は?」
「何?私のお酒が飲めないとでも?」
「あ、いえそういう意味では…」
「なら、ほらぐっといきなさい…あ、そこの君も、ほら!」
「え?自分ですか」
「そう…何なら、お姉さんが口移し、してあげましょうか♪」
「えええぇぇえ?!」
「あはは、冗談よ♪ほら、コップコップ♪」
と、ギンガは別のグループに混じっていた
ちなみに、このグループも管理局員だったりする

「ちょっと、聞いてるの!」
「あ、はい!…その」
「なにか言いたいことでも?」
「あ〜…いえ」
「…いい、人というのは一人じゃ生きてけないわけよ
 だから人は人を求める…そして、仲良くなるために
 いろいろと手を尽くすの、そして一番
 手っ取り早いのが…これよ!」
そう言って、ばっと、服を…
「わーー!!ちょ、なにしてるんですか?!」
「何って、昔から言うでしょ?裸の付き合い、って…だから」
「いやいや?!だから脱がないでくださいって」
「…何、もしかしてBな人?」
「ノーマルです!!いたって健全な男です!」
「じゃあ、問題ないじゃない」
「いや、ですから!」
と、こちらはこちらでなにやら禁則事項なことをしようと
絡んでいるティアナ
言うまでもないと思うが、こちらも標的は同管理局員である

その後も彼女らは留まることを知らず
結局酔いつぶれるまで男狩り?は続いたという

―後日

「…」
「どうしたの、フェイトちゃん?」
「…なのは」
「?元気ないね、大丈夫」
「なのは〜」
「わ、と…何かあった?」
「実は…」
「…うん、大丈夫だよ、私初めて聞いたから騒ぎにはなってないよ」
「そうかな?」
「うん…それに、今後はちゃんと言ってね?溜め込むの、よくないから」
「うん…ありがと、なのは」

「…はぁ、私はなんてことを」
「ん?どうしたのティア、ため息なんかついて」
「…スバル」
「…なんか、あった?」
「うっ…」
「ほ〜ら、遠慮せずに言う、ちゃんと聞いたげるから」
「…実は」
「…そっか、ティアでもそんな風に」
「…いいわよ、笑っても、お酒に溺れるなんて滑稽でしょ」
「笑わないって…というより、ごめん」
「何で謝んのよ」
「だって、そんなになる前に話し聞いてあげればよかったから」
「スバル…」
「だからさ、今度からは声かけてよ、何でも聞いたげるから♪」
「…そうね、今度からはそうするわ」

「…はぁ、思ってたより溜まってたみたいね」
「なにがや?」
「あ、はやてちゃん」
「どないした?シャマルにしては珍しく沈んどるやん」
「…実は」
「…あ〜、なるほどな」
「セーブしてたつもりだったんですけど…」
「まぁ、そういうこともあるわな」
「あ、ごめんなさいはやてちゃん、変な話しちゃって」
「ええよ…というより、もっと話してほしいな」
「え?」
「だって、家族やろ?悩みとかあるんやったら、しっかり聞いたる」
「はやてちゃん…」
「…ま、解決できるかは別にしてな♪」
「ふふ…ええ、じゃあそのときはお願いします♪」

「うぅ〜…」
「…おーい、若い娘が何してんだ」
「あ、お父さん」
「おいおい、大丈夫か?」
「…だめかも〜」
「…ふぅ、大人になったかと思えばこれか…で、どうした」
「…実は」
「…そりゃ、意外だった」
「…そうかな?」
「ああ、お前はそこらへんしっかりしてると思ってたしな」
「私もそのつもりだったんだけど…」
「…ま、いい経験だったんじゃねぇか」
「?」
「何だってそうだが、限界を知るのはいいことだ。今回は悪いほうに、だったが」
「あぅ…」
「ま、今後は愚痴くらいこぼせ」
「え?」
「はけ口がねぇんだったら親を使え、いずれそういうやつが現れるまでは、な」
「…うん、ありがとお父さん」
「礼はいい…それが親ってもんだ」


その後、彼女らが鬱憤を溜めずにすんだかは…また、別の話だったりする

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あとがき
 はい、長い間お待たせしてすいません。
ようやく書き終わりました…でも、なんか物足りない感じも
しかし、前のようなことをすると規制が入りそうだったんで
今回はソフトに(笑)

      
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