研修終わってその後は…


   




「んー…」
「父さん?どうしたの」
「ギンガか?…ああ、彼女たちの更生プログラムのことでな」
「ああ…で、何か問題でも?」
「いや、問題というかこういうのはどうかと思ってな」
「ん?…無限書庫で一週間の研修…うん、悪くないと思うけど」
「そうか…じゃあ、ま、ためしに相談してみるか」

それから、数日後

「というわけで、よろしくお願いします」
「うん、わかったよ」
無限書庫で一週間の研修を行うため
ギンガはチンク、セイン、オットー、ノーヴェ、ディエチ、ウェンディ、ディード
の7人を連れてユーノのもとへ
もちろん、ユーノは快く受けてくれる
「じゃあ、私はこれで」
そして、自分の仕事もあるギンガはチンクたちに一言
言ってから、その場を後にする

「さて、それじゃあ始めようか…一応、説明はするけど
 わからないことがあれば何でも聞いて?
 それから、失敗しても心配しないでいいからね
 まずは慣れることが重要だから」
初めは、初対面ということで緊張していたチンクたちだったが
そう、優しく言うユーノに安心したのか
すっかり、緊張は解けたようだった

「司書長殿、これはこうでいいのか?」
「ん?…うん、それで問題ないよ」
「わかりました」
チンクはとても素直で、積極的に仕事をこなす

「えっと、こうして…これでいいですか?司書長さん」
「うん、上手上手、その調子でお願いね」
セインはユーノに検索魔法を教えてもらい、すぐに活用
手際もいい

「……」
「…これは、ここ」
「どう?はかどってる」
「ユーノさん…はい」
「問題はありません、スクライア司書長」
「そう、ならいいけど…何かあったら、遠慮なく呼んでね?」
オットーとディードは一緒に仕事を
無口で、あまり感情は表に出さないが、仕事に興味があるのか
嫌々やっているわけではなさそうだ

「…」
「大…丈夫そうだね?その様子なら」
「司書長…うん、問題ない」
ディエチは黙々と仕事に取り組む
見る限り、楽しんでいるようだ

「ユーノっち、これはここでいいんすよね?」
「うん、そこでいいよ…じゃあ、次はこれお願い」
「了解っす♪」
ウェンディはもともとの性格か
ユーノにとても懐き、仕事もほとんどが
ユーノのサポート業務だった

「…くそ、違う」
「ノーヴェ?何か、わからないことでも…」
「う、うるせぇ!てめぇに聞くことなんて何もねぇよ!」
「…そう?遠慮しないでいいよ?別に、できなくても…」
「だから、大丈夫だって言ってるだろ!」
ただ一人、ノーヴェは素直になれないのか
ユーノに辛く当たる
さらには、不慣れな仕事なためイラつき始める

その二日後

「兄上」
「ん?どうしたの、チンク」
「はい、少々理解しづらい点がありまして…」
「どこ?」
「はい、ここなんですけど…」
「ああ、ここはね…」

「お兄ちゃん♪」
「っと…セイン?どうしたの」
「あ、もしかして邪魔しちゃったかな?」
「いや…で、どうしたの?」
「んと、ちょっと手伝ってもらいたいんだけど…」
「わかった、もう少しでこっちも終わるから
 それまで待っててもらえる?」
「うん♪もちろん」

「ユーノ兄さん」
「ん?オットー…と、ディードも一緒だね」
「はい、兄さん」
「それで、何かわからないことでも?」
「えっと…うん」
「できれば、兄さんの手を煩わせたくありませんが」
「はは、気にしないで。僕でできることなら、協力するよ」
「…ありがと」
「ありがとうございます」
「うん…じゃ、早速取り掛かろうか」

「…お兄さん」
「ん、どうしたのディエチ?何かわからないとこでも」
「うん…ここ、なんだけど」
「んっと…ああ、ここはね」

「ユーノにぃ」
「ウェンディ…どうしたの?」
「ちょっと、困ったことになったっす」
「困ったこと?」
「そうっす…えっと、これなんですけど」
「どれ?…ああ、これはちょっと…でも、これくらいなら半日あれば修復できるよ」
「ほんとっすか?」
「うん…もちろん、ウェンディも手伝ってくれれば、だけどね」
「それくらいお安い御用っす♪」
「はは、頼もしいな…じゃあ、始めようか」

「…アニキ、ちょっと」
「ん?どうしたの、なにかあった?」
「あった…というか、その…」
「?」
「…ここ、大丈夫かどうかチェック…して欲しいんだけど」
「はは、それくらいのこといくらでもやってあげるよ」
「…ほんとか?」
「うん…あ、もちろんだめな部分はちゃんと指摘するからね?」
「う…お手柔らかに」

ユーノの人徳のなせる業か
わずか二日ばかりで、彼女たちはすっかりユーノに気を許していた。
最初は、ユーノに辛く当たっていたノーヴェさえも…
しかも、なにやら呼び方まで変わっている。
そしてそれは、彼女たちにとって
ここでの研修が、それほどに意味のあるものだという証拠でもある。

それから数日、彼女たちは楽しく仕事をし
また、ユーノと雑談に興じるなど
とても、楽しく過ごした

しかし、それも期限付きのもの
約束の一週間は、ことのほか早く訪れた

「ユーノさん、ありがとうございました」
「ううん、僕のほうこそかなり助かったよ」
「それならよかったです♪」
笑顔で言葉を交わすユーノとギンガ
しかし、それに反してチンクたちはとても寂しそうだ
それもそうだろう、わずか一週間とはいえ
まるで、兄妹であるかのように接していたのだ
別れ際は、ことさら寂しく感じてしまう
そしてそれは、ユーノとて同じ…だから、笑顔でこう告げる

「そんな寂しそうな顔しないで?みんなのことは
 ほんとの妹のように思ってる…ううん、僕にとっては本当の妹だ。
 それに、もう二度と会えないわけじゃないし、僕は大体ここにいるから
 会いたくなったら会いに来て、歓迎するから」

その言葉に安堵したのか、チンクたちはみな笑顔を浮かべ
”ありがとうございました”と、元気に言って帰っていった

後日…

「…これは、よかった…と、言うべきか?」
「ふふ、よかった、でいいと思うけど?」

ゲンヤとギンガが見ているのは、チンクたちの希望配属先が書かれた用紙
無事、研修も終わり後は彼女たちの希望を聞いて
そこで、精一杯働く、ということになったのだが…

「…ったく、全員同じとこってどういうことだ?」
「でも、みんな仲いいし、ベストじゃない?」
「まぁ、それはな…だが、大変だぞ」
「彼が、ね♪」
「…ふ…ま、問題なし、ってことでいいか」
そう言って、ゲンヤは希望配属先が書かれた用紙を机に置く
そこには、まるで申し合わせたかのように同じことが書かれていた

”希望配属先:無限書庫”

…と

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あとがき
  はい、つーわけでナンバーズの更生話…のつもりだったんですが
いつの間にか、ユーノとの兄妹話に(笑)
まぁ、これはこれで楽しんで書けたんで、いいんですが
もうちょい、ほのぼのっとしたのもプラスすればよかったかなぁ…と、思わなくもない(笑)

      
 
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