決意


   




「う〜ん…」
店のショーウインドウの前でクロノはうなっていた
目の前には煌く宝石の数々
なぜクロノがそんなものを見ているのか、その理由は明日
ホワイトデーのためだ
バレンタインにエイミィにチョコをもらったので
お返しを、と思ったのだが…
「…宝石って、こんなにもするのか?」
そう言って、クロノは財布の中を確認
どうがんばっても後2、3万は必要な状態
「どうする?…どうする、僕?!」
と、意味不明なことを言いつつそれよりさらに一時間
「…クロノ、いくらなんでも怪しすぎるよ」
「ぬ?…ユーノか、こんなところで何を」
「こんにちは、クロノさん」
「アリサまで、ほんとにどうしたんだ?」
「バイトだよ、この近くにアリサのお父さんが出してる店があるからそこで働かせてもらおうと思って
結構時給もいいから、なのはにバレンタインのお返し奮発できそうだし」
「そ、そうか」
「そういうクロノもエイミィさんに、だろ?」
「ま、まぁそうなんだがな」
「?どうしたの、クロノさんがどもるなんて」
「…実はな」
クロノは二人に現状を話した…

「なるほど…よし、協力しよう」
「なに?」
「そうね、せっかくだし協力しますよ、クロノさん」
「いや、しかし…」
「大丈夫、最後に決めるのはクロノだから」
「そうそう、私たちはアドバイスするだけですから」
と、言うことで現状の予算で買える様な物を選ぶことになった

三十分後

「まだ、クロノ」
「待て…こっちのがいいか?…いや、でもこっちも」

一時間後

「クロノさん?」
「もう少しだ、アリサ…あ、こっちのが…しかし予算が」

二時間後

「クロノ〜?」
「まだですか〜?」
「ええい急かすな!…これよりはさっきのほうが…あ、でもこっちのが似合うか?」

と、言った感じで結局決まったのはそれよりさらに三十分後だった…


そして、ホワイトデー当日

「でも、大丈夫だったの?休みとっちゃって」
「ああ…それにどういうわけか勝手に休みにされてたんだ」
「え?どういうこと」
「…まぁ、誰が黒幕かはわかっているがな」


「さてさて、二人はどないな夜過ごすんかな♪」
「でも、大丈夫なの?はやて」
「大丈夫や、局のみんなに話したら喜んで協力してくれたわ♪」
「う〜ん…はめてるように思うのは私だけ?」


「…やっぱりな」
「え?クロノくん何がやっぱりなの」
「いや、こっちの話だ…それより、せっかくの休みだ遊ぶぞ」
「???」
意味がわからないエイミィをつれ、クロノは町を散策する

「ほらほら、クロノくん早く♪」
「待て、エイミィそんなに急がなくても逃げはしない」
「時間がもったいないでしょ、ほらほら♪」
「…ったく、仕方ないな」
と、言いつつ顔が綻ぶクロノだった

その後、二人は食事をしたり、街を見て回ったり、ゲームセンターに入ってみたりと
できる限りの時間、めいっぱい楽しんだ
そして、気づけばすっかり夜の帳が下りていた

「はぁ…楽しかったね」
「ああ、そうだな」
と、ふとクロノは空を見上げる
「…見ろ、エイミィ」
「え?…わぁ〜♪」
クロノに倣いエイミィも空を見上げる、するとそこには満天の星空が
「…綺麗だな」
「うん…」
しばらく、二人は星空を眺める…と、思い出したようにクロノが
「そうだ、これ…」
「ん?…なにこれ」
「バレンタインのお返しだ」
「あ、そっか…開けてもいい?」
「ああ」
その言葉に、エイミィは丁寧に包装を解く
「これ…指輪?」
「…」
箱の中には銀色に輝く指輪が
「まぁ…純銀製だ…給料三か月分かかった」
「え?!そんなに」
「…婚約指輪だからな…安いくらいだ」
「……え?」
エイミィはわが耳を疑った
なにせ、とんでもない爆弾発言があったからだ
冗談では、という疑問は次のクロノの言葉で吹っ飛んだ
「僕は、君を一生愛し続ける…そしてすべての悲しみから護ることを誓う」
「クロノ君…」
「……」
真剣な、嘘偽りはもちろん、からかうつもりなど毛頭無い雰囲気
自然と、エイミィは瞳を閉じる
理由などわかっている…待っていたのだ、この言葉を
「エイミィ…」
「…ん」
そして、触れるだけの…キス
「…すまないな、本来ならこのようなとこでするべきではないだろうに」
「ううん…私はうれしかったよ、クロノくん」
そう言って、エイミィは満面の笑みを浮かべる
「…ありがと」
「それは私の台詞だよ、クロノくん♪」
「はは、そうだな」
笑顔でそう言うクロノ、そして…
「クロノくん、もう一回…」
「…ああ」
星空の下、二人は静かに口付けを交わした




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あとがき
 はい、というわけでクロノの告白物語でした
…いえ、実際はホワイトデーのお話なのですが、リクの内容を盛り込んだらこんな内容に
ま、とりあえず楽しんでいただければいいかなぁ、などという感じで書きました

      
 
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