恋は突然に?


   



「…ふぅ、いったいどうしたというのだ」
そう言ってため息をつくシグナム
それというのも、最近気がつくとある人物の顔が浮かぶ
そしてそのたびに決まって…
「…ふふ♪」
顔を赤らめながらも、微笑んでしまう
無論、自分でもどうかしていると思う
だが、どうしてかこればかりはどうにもできないのだ
「…俗に言う、アレ、なのか?これは」


その人物のことを思うと胸がどきどきしたり
ついつい笑みがこぼれ、ただ話したりするだけでも心が温かくなる
…俗に言う恋の病…

「…やはりそうなのだろうな」
「あれ?シグナム姐さん、なにしてんすか」
「?!!!!」
と、決心、というか気づいたとたん
その人物が目の前に現れた
「き、きさまいつのまに?!」
「いや、いつのまにもなにも、約束してたじゃないすか」
「や、ややややや約束?!」
”約束”という言葉に過剰に反応するシグナム
「そうっすよ、荷物がいろいろ届いたから片づけを手伝え、って
 シグナム姐さんが言ったんじゃないすか」
「そ、そう…だったか?」
「……」
「ん?ど、どうした」
「…ちょいと失礼」
そう言って、ヴァイスはシグナムの額に手を当てる
「☆◆◎!#%@Ω…」
シグナムはわけのわからない奇声を上げる
「別に熱はないっすね」
しかし、ヴァイスは気にせずにそう言うと
「荷物は俺が全部やっときますから
 部屋で休んでてくださいよ」
「い、いや、それは…」
「いいっすよ、シグナム姐さんも疲れてるんでしょ?
 たまにはゆっくり休むべきっすよ」
そう言って、ヴァイスは微笑む
「………………………」
どきゅううぅぅぅぅぅん!!
「…へ?」
まさに脱兎のごとく、シグナムはその場を去っていった

その後…

「あ、シグナム姐さん、ちょっと…」
「用事がある!」
そう言って駆けていくシグナム

「シグナム姐さん、この前の…」
「これからミーティングだ、失礼する!」
「…」

「あ、ちょっと…」
「今は話すことはない!」
「なんすか、ありゃ…」

と、いった感じで、ヴァイスが話しかけようとすると
何かしら理由をつけ話そうとしない…まるで避けているようだ
さすがにこのままでは…と言う訳で

「なるほどな、シグナムが…」
「そうなんすよ、しかも他のやつら…特にティアナなんかが
 何したんだ!…って、問い詰めてくるんすよ」
「あはは、そら難儀やね」
(せやけど、シグナムもさっさと言ってまえばええのに)
当然ながら、シグナムの行動の理由を知っているはやて
だが、もちろんそれを口にはしない…本人から言う事に、意味があるのだから
「まぁ、私からもそれとなく聞いとくわ」
「お願いします」
そう言ってヴァイスは部屋を後にしようとする…と
「あ、ヴァイス君ちょお待ち」
「はい?」
「シグナムは、女の子なんやから、ね♪」
「?はぁ…」
笑顔でそう言うはやてに
ヴァイスは判るような判らないような、複雑な表情だった

そのころのシグナム

「…はぁ、私はこれほど意気地がなかったか?」
そう言って、ため息をつくシグナム
思い起こすのは素直になれない自分の行動
きっと、変なやつと思われただろう
「ふぅ、やはり私らしくないな…よし!」


「ヴァイス!」
「シグナム姐さん、どうしたんすか?」
ストームレイダーの整備も終え
これから読みかけだった本を読もうと自室に戻る途中
シグナムにそう、声をかけられた
「無理ならそう言ってくれてかまわん、ただ、はっきり言葉にしてくれ」
「いや、無理とか言う以前に、なんのことかさっぱりですよ?」
「む…そ、そうだな…ならば、言うぞ」
一度深く深呼吸し、シグナムは告げた
「私は、お前のことが好きだ!」
「……はい?」
しかし、意味が理解できないのかヴァイスは首をかしげる
「…いや、はっきり言ってくれ、そのほうがいい」
「いや、ちょっと待ってください、整理しますから
 …今日は4月1日…じゃないし…それと」
辺りを見回すヴァイス
「ドッキリ、ってわけでもないっすよね…」
「…そんなに私がこういうことを言うのは変か?」
「そ、そういうわけじゃないっすよ…ただ、驚いただけで」
「…しかし、答えはそうなのだろ?」
「いえ、俺まだ何も言ってないんすけど?」
「ふ…言わずともわかる、私のようなかわいげのない女など
 誰も…」
「俺なんかでよければ喜んで」
「………なに?」
「シグナム姐さんほど強くもないし、こんなんすけど
 …それでもいいんなら、喜んで」
「ほんとか?冗談でした、なんて言ったら叩っ切るぞ?」
「さすがにシグナム姐さん相手に冗談なんて言いませんよ」
そう言って、ヴァイスは肩をすくめる
「…ならば、証拠を見せろ」
「い?!」
そう言って、シグナムは目を閉じる
らしくない、というか新鮮な仕草に
ヴァイスは驚きとともに、少しかわいいと思ってしまった
「……ちゅ」
「!…♪」
少し迷った末、ヴァイスはそっと口づけた

その後の二人はというと…


「ヴァイス、こんなものを作ってみたのだが」
「うわ、クッキーっすか、これ?」
「う、うむ…見た目は、悪いが…」
「そんなことないっすよ…ぱく」
そう言って、ヴァイスはクッキーをひとつ口に含む
「…どうだ?」
「…ちと苦いっすけど…うまいですよ♪」
「そ、そうか、よかった♪」

「シグナム姐さん、あした暇っすか?」
「ん?ああ、だがお前の頼みならあっても空けるがな」
「はは、そこまでしなくてもいいっすよ…デート…行きません?」
「!…う、うむ」
「よかった…断られたらどうしようかと思いましたよ」
「そんなはずがあるか、お前の頼みだ、断れるわけなかろう」

「ヴァイス…その、今日は…ずっと一緒に居れるか?」
「…当然です、本音はいつも一緒に居たいっすから」
「そ、そうか…うん、私もそうだ♪」

「…二人きりは、その…照れるな」
「そうっすね…」
「…」
「…」
「あの!」×2
「…」
「…」
「…ふふ♪ハモってしまったな」
「そうっすね♪」


という感じで、二人の世界に浸っていた
…ここに新たなバカップル誕生


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あとがき
 はい、というわけでちと異色?な、ヴァイス×シグナムでした
まぁ、とりあえずラブラブに、ってことだったんで
シグナムにしてはかなり女の子っぽくさせました
おかげでユーなのに負けないバカップルになりました(笑)


      
 
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