呼び方(なのは編)


  




「う〜ん…」
「あれ?なのは、何か悩み事?」
「あ、フェイトちゃん。ちょうど良かった」
「ん?なに」
「フェイトちゃんってクロノ君のこと”にいや”って呼ぶよね?」
「え?!」
なのはの言葉にフェイトは一瞬で顔を赤くする
「な、いや、それは、その…たまに、で……その」
「えと、それでね…どう、なのかな?」
「え?……どう、って…」
「クロノ君の反応…喜んでた?」
「えっと…う、うん。喜んでた、と思う」
「思う?」
「えと、そう呼んだとき思いっきりこけたから…」
「…それって、驚いたから?」
「だと思う、その後そう呼んでもいいって言ってくれたから」
「そうなんだ…」
フェイトの言葉になのはは考えをまとめるように何度かうなずいた
「それで、どうしたの?いきなりそんなこと聞いて」
「えっとね、お兄ちゃん・・・って呼び方はどうかなぁ?って」
「?どこかおかしいの?」
「ううん、そういうわけじゃないけど…私も違った呼び方をしたほうがいいかなぁ?って」
「そうかな?なのははずっと恭也さんの事そう呼んできたんでしょ」
「うん…」
「なら、そのままがいいと思うよ?」
「そう…かな」
その後、なのははフェイトと少し話をして別れた

それからなのははまた同じことを考えていた
「…やっぱり、違った呼び方のほうがいいかな?」
「クロノくんも違った呼び方だとうれしかったみたいだし…」
「僕が何だって?」
「はわぁぁ?!」
いきなり後ろから声をかけられてなのはは飛び跳ねた
「す、すまない…そんなに驚くとは」
「う、ううん。驚いたけど、大丈夫」
「そうか?…それで、どうしたんだ。僕に何か用でも?」
「あ、えと…」
「言いにくいことか?」
「……」
「……」
しばらく黙っていたが、意を決したようになのはクロノに問いかけた
「クロノ君は、フェイトちゃんに”にいや”って呼ばれてどうだった?」

ドガッ!

「ク、クロノ君?!」
なのはの言葉にクロノは思い切りこけた
「な、何をいきなり…」
「どうだった?うれしかった?」
「……まぁ、うれしくないとは、言わないが」
「やっぱり?普段と違った呼び方されるとうれしいの?」
「それはそうだろう?新鮮、というか親しみを込めて言ってくれると思うとな」
「そっか……」
「それがどうしたんだ?」
「う、ううん。なんでもない…ありがと、クロノ君」
そう言ってなのははさっさと帰っていった

「……なんだったんだ?」


「ただいまー」
「おかえり、なのは」
「なのはちゃん、お邪魔してます」
「あ、お兄ちゃん帰ってたんだ、忍さんもいらっしゃい」
「今日は早かったんだな?」
「うん、特にお仕事もなかったから」
なのはの言葉に忍が少し不思議な感じで問いかけた
「そういえば、なのはちゃんもう働いてるんだよね…辛くない?」
「ん〜と、辛い、と言えばそうですけど…でも、フェイトちゃんたちもいるし、結構楽しいですよ」
「…そう、なら良かった」
「あ、そうだ。ねぇ、お兄ちゃんちょっといいかな?」
「ん?なんだ」
「今度から”おにいちゃま”って呼んでもいい?」
「……………………………」
「き、恭也?」
「おにいちゃま?」
と、今まで沈黙していた恭也の目が光った
そして……

なのはーー!

「うにゃぁぁぁぁ〜〜?!」
そのまま、恭也はなのはに抱きついた
「お、おにいちゃま、ちょ、ちょっと、待って〜」
「なのは、おにいちゃまがいろいろと教えてあげよう…さぁ、俺の部屋……ぐるぶぁっ?!」
そこまで言って、恭也は吹っ飛んだ……忍の手によって
「ぐ…な、なにをする月村」
「……恭也、別に女の子に手を出すなとは言わないけど」
そう言いながら忍の目が光る
「なのはちゃん…実の妹に手を出すのはだめよ」
「い、いや、待て月村。誤解だ、俺はただなのはに一般教養を身につけさせようとだな」
「ふ〜ん……じゃあ、それは何?」
「それ?」
忍の言葉に恭也も視線を移す
そこは男にとってもっとも重要な……まぁ、そういうことだ
「まったく、説得力ないね♪」
「いや、待て…話し合おう、暴力はいけない、何より女の子が手を出すのは…」
「安心して……”死なない”程度にぼこってあげるから♪」
「いや、それこそ待って……」
「問・答・無・用♪」

どかっ!ばきっ!ぐしゃっ!ばぐっ!

「ふぅ…」
「ぐ…が……」
「えーっと……」
目の前で繰り広げられた惨事に、なのはは言葉もない
そして、先ほどとは打って変わって優しい表情で忍はこう言った
「なのはちゃん、恭也のことは今までどおりおにいちゃんで…ね♪」
「?!は、はい…」
顔は笑顔なのに逆らいがたい異様な雰囲気に、なのはは素直にそううなずいた




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あとがき
 えー、なんか最後がオチてない気もしますが…呼び方(なのは編)です。
”おにいたま”、のほうが良かったかなぁとも思ったんですが、ちびリインのほうがあってると思って
”おにいちゃま”、にしました。
つーわけで、暇があったら次はちびリインでも書こうかな…










 
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