キャロ初めてのお使い 「…」 その日、キャロは日用品の買出しに出ていた 部屋に置くものなど欲しいものがあったからだ 「えっと、これはどこに…」 しかし、今まで街の中を一人で歩いたことはないため 多少迷っていた 「おう、お嬢ちゃん何か入りようかい?」 「ぴっ?!」 「おっと、驚かせちまったかい、いやわりぃな」 「い、いえ」 「まぁ、なんか欲しいもんがあるんだったら言ってみな、うちの品揃えは結構なもんだぜ」 「えっと、その…あの、これ」 「ん?…ああ、鉢だね…サイズは…これくらいか?」 「あ、はい」 「よし、じゃあ特別だ、おまけしてやろう」 「え?あの、いや、いいですいいです?!」 「遠慮すんなって、安もんだしな」 そう言って、店の店主はキャロに小さな髪留めを渡す 「あ…ありがとうございます」 「あはは、おう♪」 と、そんなキャロを見ている者が 「ああ、もうかわええなキャロは♪」 「はやて、これって覗きじゃ…」 「見守っとるんや、キャロのことを」 「あはは…」 その後、店主に礼を言いキャロは次の店に 「えっと次は…?…くん」 不意に香ばしい香りがキャロの鼻をくすぐる 「いい匂い…」 「いらっしゃい、焼き立てだよ!…おや、お嬢ちゃんどうだい?ひとつ」 「おいしそう♪」 「ああ、うちのタイヤキはおいしいよ、なにせ全部手作りだからね 生地も餡も、焼き方だって昔と一緒のやり方なんだ」 「…う〜ん、でもごめんなさい、買えません」 「ん?お金がないのかい」 「ううん、そうじゃないんだけど、お買い物の途中で」 「おや、お使いかい?えらいねぇ」 「あはは、そういうわけじゃないんだけど、似たようなものかな」 「そうかい…よし、ほら食べな」 そう言っておばちゃんはタイヤキをひとつキャロに渡す 「え?!いえ、いいですよ。というか頂けません、売り物なのに」 「気にしないでいいよ♪がんばってるお嬢ちゃんにご褒美さ♪」 「えっと…ありがとうございます…ぱく…おいしい♪」 「うんうん♪その笑顔がお代さ、また来ておくれ」 「はい、ありがとうございます♪」 「いやぁ、やっぱそうなるわな♪」 「ついついキャロは甘やかしちゃうんだよね」 「かわいい妹、って感じだしね♪」 そして、またキャロは次の店に 「えっと…」 「いらっしゃい、何か必要なものでもあるかな?」 「えっと、これ、ありますか?」 「ん?…種類がいくつかあるけど、どれにする?」 「えっと、うんと…これで」 「はい、かしこまりました…お使いかなにか?」 「あ、はいそんなようなものです」 「えらいねぇ…よし、ちょっとだけだが安くしたげよう」 「え?いえ、悪いですよ」 「言ったが、ちょっとだけ、だからな…それくらいもらってくれ♪」 「…はい、ありがとうございます♪」 「う〜ん、やっぱいろいろと得なんやね、ちっちゃいんは」 「まぁ、そうだろうね」 「キャロの場合はさらに、だもんね♪」 そして、キャロは次の店へ 「えっと、次は…」 「いらっしゃい、いろいろと取り揃えてるよ!…おや、お嬢ちゃんお使いかい?」 「あ、えと…はい、まぁ」 「そういうことなら、うちで買ってってくれよ、いろいろいいもの揃えてるぜ」 「えっと、それじゃ、これ…」 「ん?…おし!わかったよ、ちっと待っててくれ」 そう言って店主はいったん店の中へ…しばらくして 「ほい、これでいいかい?」 「あ、はい」 「しかし、こんなものまで買うなんてねぇ…よし、特別だ、こいつも持ってけ♪」 「え?いえ、いいですよ、そんな…」 「遠慮すんなって、これくらい安いもんさ」 「…すみません、じゃあいただきます…ありがとうございます」 「おう♪お使い、がんばれよ」 「はい♪」 「ふむふむ、なかなかいいもんくれんな、あのおっちゃん」 「というより、どう考えてもひいきしてるよね」 「あはは♪あのおじさん子供好きそうだったし」 と、そんなこんなでキャロは目的のものをすべて買い揃えた 「よいしょ…でも、何でこんなにいっぱいになっちゃったんだろう」 そう、目的のものは買い揃えられたのだが 行く店行く店でいろいろとおまけをもらい、いつの間にか両手に抱えるくらいになっていた 「なんか申し訳ないな…でも、ご好意を無下にはできないし…いつかお返しに来なきゃ」 そう言って、キャロは帰路へとついた 「ふぅ、何とか無事終わったみたいやね」 「まぁ、ただの買出しだし」 「そうだよね、これくらいできる歳だよね」 「せやけど、何かと不安ならん?」 「あぁ…それはわかるかな」 「うん、なんか目が離せないって言うか、そんな感じがね」 おまけ その後、キャロのことは街中に広がり 彼女が街に買出しに出ると、必ずと言っていいくらいおまけをもらったそうだ ---------------------------------------------------------------------------------- あとがき はい、というわけでStrikerS小説第一弾 キャロの初めてのお使い、と言うことで楽しんでいただけたでしょうか なんか、この娘見てるとこう思わないっすか?絶対はじめてのお使いシリーズに出るって(笑) まぁ、途中似たようなキャラも出てきましたが、そこはそれ、と… なにはともあれ、これからStrikerSネタをどんどん書いてきたいと思いますんで どうぞよろしく♪ | ||