親ばかで何が悪い


   




その日、クロノは一枚の写真を見ていた
「…ふ♪」
そしてにやける
「…提督、いったいどうしたんですか?」
「ん?なにがだ」
さすがに不思議に思った部下の一人が問いかける
「いえ、なんか写真を見てにやけてらして…その、正直…」
さすがに面と向かって気持ち悪い、といえず言葉を濁す
しかし、そんなことは気にならないのか、もしくは気づいていないのか
クロノは笑顔で話し始める
「いや、子供たちの写真なんだが…親の俺から言うのもなんだが、かわいくてな」
「は、はぁ」
そう言って、クロノは写真を部下に見せる
写真には愛らしい笑顔を浮かべた男の子と女の子
「男の子がクロード、女の子がエミリーといってな」
「確かに、かわいらしいですね」
「そうだろう?もう、家に帰ると抱きついてきてな」
「は、はぁ」
「最近パパということが多くなってな、もうかわいくてな♪」
その後、一時間クロノは最愛の子供について語った

一方、クロノ家

「ああん♪もうかわいいわね、二人とも♪」
「どうしたの?まま」
「クロードがかわいいからよ♪」
「ねぇ、まま私は?」
「もちろんエミリーもかわいいわよ♪」
「よかった♪」
「ああ、もう♪絶対お嫁になんていかせないから♪」
そう言って、エイミィはエミリーを抱きしめる
「いいなぁ…」
「ああん♪クロードもお婿になんていかせない♪」
そう言って、エイミィはクロードも抱きしめる
「まま、苦しいよ」
「むぎゅ…」
「ああ、ごめんねついかわいくて♪」
そう言いつつも、抱きしめることをやめはしないエイミィだった


その後、クロノは報告のため
ミーティングルームへ向かっていた
「あれ?クロノくん」
「ん?なのは、それにはやてか」
その途中、なにやら歓談しているなのはとはやてを見つけた
「何話してたんだ?」
「うん、局の女の子が子供の写真を持ってきてね」
「かわいいからって焼き増ししてくれたんよ」
「へぇ」
そう言いながらクロノも写真を見る
確かにかわいい女の子だ、間違いなく将来美人になるだろう
「確かにかわいいな…だが、うちの子達のほうが上だな」
「え?」
「クロノくん?」
「ほら、うちの子たちのほうが数倍かわいい」
そう言って、クロノは懐から写真を取り出す
「わ、ほんとかわいい♪」
「せやね、確かにかわええな♪」
「そうだろう♪」
「男の子の方はクロノくんによう似とるな…名前は?」
「クロードだ」
「女の子のほうはエイミィさん似だね…」
「名前はエミリーだ」
「ん?ほなら名前は、二人の名前からもじっとるんやね」
「エイミィがそのほうがいいと言ってな、もちろん俺も大賛成だったからな」
「へぇ…でもほんとかわいいね♪」
「そうだろう?クロードなんかもう計算を三の桁でもできるんだ」
「え?もうできるん?」
「ああ、しかも二桁までなら掛け算もな」
「それはすごいね」
「だろう?エミリーもかわいいんだ♪」
「どんなとこが?」
「お風呂で背中を流すって言ってくれるんだが、一生懸命なとこがかわいくてな♪」
「そ、そか」
「他にもあるぞ、クロードは何も言わなくても後片付けをするし
 エミリーは率先して手伝いをするんだ」
「う、うん」
「あとな…」
(クロノくんって、以外に親バカなんやね)
(あはは、みたいだね)
その後、クロノのわが子自慢は一時間の間続いた


そして、その後いろいろと業務をこなし、クロノは自宅へ
「ただいま」
「ぱぱお帰り〜♪」
「エミリー♪」
出迎えてきたエミリーを抱き上げるクロノ
「お帰り、クロノくん」
「ただいま、エイミィ…クロードも、ただいま」
「お帰り、ぱぱ」
「ねぇねぇぱぱ、お風呂にする?ご飯?それとも私?」
「ぶはっ?!」
エミリーの言葉にのけぞるクロノ
「…エミリー、そんな言葉どこで?」
「ままが言ってあげたらパパ喜ぶよって♪」
「エイミィ…」
「あはは、でもよかったでしょ♪」
「ああ、最高だ♪」
普通ならば犯罪っぽい言葉だが
この二人にとっては日常茶飯事なのだ…まぁ、それもどうかという意見もあろうが
そして、そんな光景見てクロードも同じように…
「ねぇ、まま」
「ん?なにクロード」
「世界一大好きだよ…ちゅ」
「…」
そう言ってクロードはエイミィのほほに口づけ
一瞬時が止まるエイミィ…そして
「ああん♪もう私も大好きだよクロード…ん〜♪」
お返しにとばかりエイミィはクロードのほほに口づける
「ねぇ、ぱぱえみりーにも」
「ああ、好きなだけしてあげるよ♪」
そう言って、クロノも同じようにエミリーのほほに口づけ
「エミリーも…ん♪」
「あはは、ありがと♪」
と、そんな感じで親子のスキンシップは三十分ほど続いた

その後、夕食も終わり子供たちも寝たころ

「はい、お疲れ様クロノ君」
「ありがと」
「…いつも大変だね」
「まぁ、仕方ないさ…それに、なのはたちもがんばってるし」
そう言って、クロノはグラスを傾ける
「あはは、よく聞くよ…なんかすごいがんばってるみたいだね」
「ああ、新人たちも入ってきたし…あと事件についても、な」
「…そっか」
「それに、子供たちのためにも生半可なことはできないよ」
「はは、そうだね…でも、すごい親ばかぶりだよね」
「君が言うか?」
「あはは、お互い様か♪」
クロノの言葉に、エイミィは屈託なく笑う
「…いいじゃないか、親ばかでも」
「あらま、認めるんだ」
「かわいいんだから仕方ない」
そう言って、クロノは微笑む
「そうだね…なんたって二人の愛の結晶だし♪」
「…そういうことを素で言うか?」
微笑みながら言うエイミィに、クロノは少し呆れたように言う
「だって、そのおかげでクロードとエミリーに会えたんだし」
「まぁ、それはな…」
「だから感謝♪…クロノくんにも、生まれてきてくれたあの子達にも」
「…そうだな」
笑顔で言うエイミィに、クロノもうなずきながら微笑む


その後、クロノの親ばかぶりは加速し
周りの人間からこう呼ばれるようになった

”親ばかキング”と…



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あとがき
 はい、というわけでクロノとエイミィの親ばかぶりを描いてみました
まぁ、いろいろ突っ込みどころもあるでしょうが…
あ、子供の名前については松丸大地様より案をいただきまして
結構気に入ったんでそのまま使わせていただきました♪


      
 
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