その手にあるのは…


   




「ん…ママ?」
目を覚ましたヴィヴィオは、そばになのはがいないことに気づく
「ママ…どこ?」
そして、なのはを探そうと部屋を出て行く
だが、当然ながらまだ局内の地理を覚えていないヴィヴィオは
迷子になってしまう
「…ふえ…ママ…どこぅ?」
そして…
「うわぁぁぁぁぁん?!」
泣き出してしまった

「ここも久しぶりだなぁ…ん?」
休みを利用し、久しぶりに六課の隊舎にきていたユーノは
廊下で泣く少女に気づいた
「あの娘は確か…」
なのはから"ヴィヴィオ"という少女の世話をしている、と聞いていたので
もしかしたら、と思い声をかける
「こんにちは、ヴィヴィオちゃん…かな?」
「ふえ?…ひぐ…」
「えっと、泣いてたらどうしたのかわからないんだけど…」
「ふええぇぇぇん!」
「たっ?!…まいったなぁ…あ」
と、ちょうどお土産にと買ってあったぬいぐるみがあったのを思い出し取り出す
「こんにちは、僕フェレットのラック、ねぇ、どうして泣いてるの?」
「ふえ…?」
「ねぇ、泣かないで、ほら見て僕こういうことできるんだ」
そう言ってラックは踊りだす
「わぁ♪」
「ほら、泣き止んで…ね?」
「…うん」
「いい子だ、はい」
そう言って、ユーノはぬいぐるみをヴィヴィオに渡す
「…ありがとう♪」
「うん…で、どうしたの?」
「ママがね、いないの…」
「ママ…なのはのことかな?」
「なのはママ、知ってるの?」
「うん…そうだ、一緒に探そうか?」
「ほんと?」
「うん、ほんと…そうだ」
そう言って、ユーノはヴィヴィオを抱えて肩に乗せる
「ほら、こうすれば遠くまで見渡せるよ」
「わぁ♪高〜い」
「じゃあ、いこうか」
「うん♪」

そのころのなのはたち――

「ヴィヴィオー!どこー?!」
「なのは、落ち着いて闇雲に探してもだめだよ」
「そうですよ、子供の足ではそう遠くに行かないでしょうし
 局員が保護してる可能性だってあります」
「そうですよ、私たちも探すの手伝いますし」
「まずは、ヴィヴィオが行きそうなところをあたってみましょう」
「念のため、フリードに外を見てきてもらいます」
「キュ」
「…ごめんね、みんな」
「ヴィヴィオは家族みたいなものですし」
「スバルの言うとおり、あんな娘をほっておけませんよ」
「僕たちは子守もしましたしね」
「うん」
こうして、ヴィヴィオ捜索隊が発足した

一方ユーノ&ヴィヴィオ

「まずはここから探してみようか」
「???」
「くんれんしつ、なのはママも使ってるんだよ」
「くんれんしつ」
「よくできました…でも、中には誰もいないようだね」
「いない…」
「だ、大丈夫、ほかのとこも見てみよう」
そして移動

その十分後

「ヴィヴィオ!」
「…いないみたいだね」
「…」
「だ、大丈夫、ほかのとこも見てみよう?」

ユーノ&ヴィヴィオ

「食堂…にもいない、か」
「おなかすいた」
「え?…参ったな、めぼしいものは…あ、あった」
「…これは?」
「チョコバーって言う携帯食」
「けいたいしょく?」
「ちょっとしたときに食べられる食事…はい」
「…もぐ…おいしい♪」
「良かった…じゃあ、次行こう」

さらにその数分後

「ヴィヴィオ」
「…いないみたいだね」
「ったく、どこいったのかしら」
「次行こう、ティア」
「そうね」

ユーノ&ヴィヴィオ

「雑談室…にもいない」
「…」
「ほら、元気出して、絶対見つけるから」
「…うん」

数分後

「ヴィヴィオ」
「…いないみたいですね」
「ほんと、どこいったんだろう?」
「とにかく、探しましょう」
「うん」

ユーノ&ヴィヴィオ

「ミーティングルーム…ここもいないか」
「ママ…」
「ほ、ほら、ここは結構広いから、どっかにいるよ」
「…ほんと?」
「うん、ほんと…だから、もうちょっと探そう」
「…うん」

数分後

「ヴィヴィオ!」
「ここにもいないみたいだね」
「…ヴィヴィオ」
「…大丈夫だよ、ヴィヴィオもしっかりしてるし」
「フェイトちゃん…」
「さ、次行こう」
「…うん!」

その後も、奇妙なすれ違いは続き
ついに…

「ふえぇぇぇぇん!!ままぁ!」
「うわっ?!ヴィヴィオ、泣かないで」
「ままぁ!どこぉ?!」
「ああ、えっと…そうだ!ほら、ラック君だよ?」
そう言って、フェレットのぬいぐるみであやす
「うわあぁぁぁん」
「だめ?!」
最初とは違い、これくらいでは泣き止まないヴィヴィオ
その後もいろいろ試すがなかなか泣き止んでくれない
「ままぁ!!」
「参ったなぁ…」
そう言って、ユーノはヴィヴィオの頭を優しくなでる
「ねぇ、ヴィヴィオ。なのはママならこんなときなんていうかな?」
「ひっく…ふえ?」
「泣いてばかりじゃいけない、って言うんじゃないかな」
「…」
「きっとなのはママもヴィヴィオを探してると思うよ?会ったとき泣いてたら
 なのはママは心配するし、ヴィヴィオもそんなのいやでしょ?」
「ぐす…うん」
「じゃあ、泣き止もう?笑顔が一番、私は大丈夫だよ、ってなのはママに見せてあげよう」
「…うん」
「いい娘だ♪」
「ヴィヴィオ!」
と、ちょうどなのはがこちらにやってくるのが見えた
フェイトたちも一緒のようだ
「良かった…ユーノ君が保護してくれてたんだ」
「うん…で、どうしたの?」
「ちょっと目を離したすきにいなくなっちゃって、ずっと探してたんだ」
「そっか、無事で何よりだったね」
「うん、ありがとユーノ君…さ、ヴィヴィオ行こう」
「…」
しかし、なぜかヴィヴィオはその場を動こうとしない
「…かたぐるま」
「え?」
「かたぐるま、して」
「あ、ああ、うんいいよ」
そう言って、ユーノはヴィヴィオを肩車する
「えへへ♪」
「…もう」
仕方ないな、となのはもしばらく黙っていた
だが、その後数分経っても離れようとしないため
仕方なく、そのままで今日一日過ごすことになった

その後、休憩もかねて全員で食堂へ

「なのはママ♪」
「わ、ありがとヴィヴィオ♪」
「上手いねぇ、よく特長捉えてるよ」
「えへへ♪」

そんな三人を見ている六課メンバーは一様にこう思った

「どっからどう見ても、仲のいい親子だ」

と…


夜…なのはの自室ではすっかり遊びつかれたのか
ヴィヴィオは安らかな寝息をたてていた
「す〜…す〜…」
「…かわいいね」
「うん…」
「…ねぇ、なのは」
「うん?」
「いつか…子供ができたらさ、こんな風に過ごせたら、いいね」
「…うん、賛成♪」
「なのは…」
「ユーノ君…」
静かに、二人は口づけを交わした

そんな二人に見守られ、笑顔で眠るヴィヴィオの手の中には
なのはが贈ったうさぎと、ユーノがあげたフェレットのぬいぐるみが抱かれていた



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あとがき
 まぁ、子供の寝てるとこでんなことやんな、って言われそうですが(笑)
一応メインはユーなのとヴィヴィオ…というかヴィヴィオになってるような気も…
ま、終わりよければすべてよし、ってね♪

      
 
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