スバルの恋模様


  


「はっ…はっ…はっ…」
その日、スバルは訓練の時間に遅れそうになっていた
「やばっ?!また遅れたらティアになんて言われるか!」
そう言って、またスバルは速度を上げる

「よっ…ちょっと持ちすぎたか?」
ユーノはそう言いながら持っている本を持ち直す
無限書庫の整理をかねて、不要な本を倉庫へ持っていく途中だ
「こんなとき前から誰かきたら気づかないな」

「はっ…はっ…」
「まぁ、そんなこともないか」
そして、曲がり角を互いに曲がった時…
「え?!」
「って?!」
どん!
「きゃっ?!」
「うわっ?!」
ぶつかって、本が舞う
一瞬見えた人影に対し、咄嗟にユーノは魔法を唱える
「!…?」
「あ、ごめん大丈夫?」
「あ、は、はい…あ、本が」
「ああ、それよりも怪我とかしてない?」
「あ、はい」
「ふぅ、よかった…間に合ったみたいだ」
「あ、その…ありがとうございます」
「いいよ、こっちこそ前を見てなかったから」
そう言いながら、ユーノは散らばった本をまとめる
「よ…っと…ごめんね、次からは気をつけるよ」
「あ、いえあたしこそ…あ、あたしスバル・ナカジマです」
「ユーノ・スクライア…無限書庫の司書長をしてるから、何か探しものがあったら手伝うよ」
「はい、そのときはお願いします」
「うん…じゃあ」
そう言って、ユーノは歩いていった
「ユーノ・スクライアさん…か」

「せいっ!」
「あいた?!」
どさっ
「あいたた…ティア、ちょっと手加減してよ」
「はぁ、あのねぇスバル、訓練中にぽけーっとしてるほうが悪いのよ」
「ぽけーっとなんて…」
「…ふぅ、今日はおしまいにしましょ、これ以上やっても無駄よ」

訓練後、スバルはある感情に気づいていた
「…これ、そうだよね?」
初めての感情、しかしそれがどういったものかはさすがにスバルも知っていた
「…よし、決めた!」
そう言って、スバルは行動を開始する

翌日

「すいませーん!」
「はーい…あ、スバル」
「こんにちは、差し入れ持ってきました」
「え?いいのに、そんなことしなくても」
「いえ、この前のお礼もまだでしたし」
そう言って、スバルは買ってきたお菓子を広げる
「疲れたときとかは甘いものがいいですからね」
「へぇ、なんかいろんなのがあるね」
「はい、適当に買ってきたんですが、大丈夫ですか?」
「うん、ありがたくいただくよ」
そう言って、ユーノはスバルが買ってきたお菓子をつまむ
「うん、おいしい」
「…あの、ユーノさん!」
「ん?」
「あ、あの、その、えっと…」
(さりげなく、さりげなく…)
「?スバル」
「その、ユーノさんがす、す、すすすす…スイーツはお好きですか?!」
「え?」
「えっと、その…」
「うん、結構甘いものは好きだよ」
「あ、あたしも好きなんです♪」
(って、違うーーー?!)

また別の日

「ユーノさん、ご飯食べにいきませんか?」
「え?ご飯」
「はい、おいしいお店を教えてもらって、どうですか?」
「うん、いいね」

そして…
「へぇ、確かにおいしい」
「そ、そうですよね」
(今度こそ…)
「あ、あのユーノさん」
「ん?」
「そ、その、す、すすすす…酢豚にパイナップル入れますか?!」
「え?…僕はあまり入れないけど」
「あ、あたしは結構入れますよ、ちょっとしたアクセントに」
「そっか、僕も今度入れてみようかな」
「ぜ、ぜひそうしてみてください♪」
(って、ああぁ〜?!あたしの馬鹿、違うのにぃ〜?!)

そいでまた別の日

「あ、ユーノさん」
「ん?スバル、このごろよく会うね」
「そ、そうですね…」
(今なら誰もいないし、チャンス)
「あ、あのあたしユーノさんがす…」
「あれ?スバルじゃない」
「…ーっとするものっていりませんか?」
「え?」
「ミント飴、持ってるんです、どうですか?…あ、ティアもどう?」
「あ、ありがと」
「ん、まぁ貰っとくわ」
(ああん?!また駄目だったー)

また別の…

「ユーノさん」
「あ、スバル」
「ユーノさん、あたし、す、すすすす…スキューバダイビング始めようかと」
「え?…いいんじゃないかな」
(ふみ〜ん?!)

別の…

「あたし、ユーノさんが、す、すすすす…スジ煮っておいしいですよね?!」
「え?…渋いね、まぁおいしいけど」
(うぅ…どうして、こうなるんだろう)

そしてまた…以下同文

「えっと、その、ですね…」
「うん」
「…」
(がんばれ、あたし!…よし!!)
深呼吸、そしてゆっくりとスバルは言葉をつむぐ
「あたし、ユーノさんが…好き、です…一人の男性として」
「…」
「あたしと…付き合って…くれませんか?」
「…」
(い、言えた…)
しばしの静寂…そして
「…ごめん」
「!」
静寂は、その一言で破られる
「スバルの気持ちは本当にうれしい…でも、僕はそれを受け入れることはできない」
「理由を…聞いてもいいですか?」
「…僕は、なのはが好きなんだ…だから、君の気持ちはうれしいけど…受け取れない」
「そう…ですか」
「…今後、君に本当に心から好きな人ができたら、そのときは精一杯応援するから」
そう言って、ユーノは微笑む
そして、スバルも顔を上げ、微笑みながら言葉をつむぐ
「ありがとうございます…ユーノさん、なのはさんのこと幸せにしてあげてくださいね
そうしないと、全力全開、容赦なしの一発お見舞いしますからね!」
「うん、誓うよ」
「えへへ、よかったです…なのはさんなら、あたし…」
「スバル…」
「行ってください…あたしは、もう少しここにいますから」
「…うん、それじゃお先に」
そう言って、ユーノはスバルに背を向け歩いていった


「……」
「ったく、相変わらず意地っ張りなんだから」
「ティア…」
声のしたほうを向く、そこにはティアの姿
「…まぁ、あんたの気持ちを理解するなんてことできないけど
…あたしでよければ、貸すわよ?…見なかったことにしてあげるから」
「ティア…あたし、あたし…」
「よく頑張ったわよ、あんたは…大丈夫、もっといい人見つかるわよ」
「ティア…うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
「ほら、泣きたいだけ泣きなさい、ずっといてあげるから」
「うぅぅぅ、ぐす…わぁぁぁん!」
「よしよし…」
スバルはティアの胸の中で号泣した…そして、ティアはそんなスバルを優しく抱きしめた

「ぐす…ごめん、ティア、汚しちゃって」
「ああ、もうなんか母親の気分だわ…ほら、拭きなさい」
「う、うん…」
まだ少し泣いているスバルに、ティアはそう言ってハンカチを渡す
「…あのさ、ティア」
「ん?」
「あたしさ、初恋、だったんだと思う」
「…」
「結果は…残念だったけどさ…これでよかったと思う」
「どうして?」
「お似合いだもん、ユーノさんとなのはさん」
そう言ってスバルは笑顔を浮かべる
まだぎこちないが、少なくともその言葉に嘘偽りはなさそうだ
「だからね、二人のこと上手くいくように応援する」
「…いいの?それで」
「うん…だって、好きな人が幸せになれるんだもん…それが一番だよ」
「ま、あんたがそれでいいならいいけどね」
「うん♪」



初恋は、苦い思い出になった
でも、後悔はない…だって、心から好きになれたから
だから、祝福する…
そして願う、心から好きになった人の…

幸せを…



----------------------------------------------------------------------------------
あとがき
 はい、というわけでいかがだったでしょうか
まぁ、ハッピーエンドがベストでしょうが、こういうエンドもありなのでは…と
あ、多少リクとは違った感じの部分もありますが、そこはちょっとご容赦を
とりあえず楽しんでいただければ幸いです、では


      
 
inserted by FC2 system