契るは永久の約束


  


その日、ユーノは自室でうなっていた

「う〜ん、何がいいかなぁ?やっぱりあれだけのものをもらったし、それなりのものを返さないと」
何を悩んでいるのか、答えは簡単もうすぐ3月14日
そう、ホワイトデーだ。バレンタインにかなりいろんな意味で、なのはにプレゼントをもらったので
生半可なものでは示しがつかない
「妥当に食べ物…だめだ、なのはに敵うわけがない、市販のものなんてそれこそどうかしてるし
…じゃあ、書物…は僕が好きなだけでなのはもそうとは限らないよね…アクセサリーなんて買えないし
……って、なんか甲斐性ないなぁ、僕」
と、不意に扉をノックする音
「あ、はーい、どうぞ」
考えるのを一旦中止し、そう応える
「お邪魔するで♪」
「ユーノ、荷物届いてるよ」
「はやて、フェイト。ありがと」
と、いきなりはやてが
「なんや女の子の名前やけど、もしかして浮気か?」
「え?!」
「ユーノ、なのはを泣かせたら…わかってるよね?」
「と、ととと当然だって…っていうか、いいじゃないか、僕にだって女の子の友達の一人くらいいるって」
「あはは、まぁそやね、悪いな最近の面白いことなくて」
「ふふ…」
「もう、二人とも人で遊ばないでよ」
そう言いつつも、ただの冗談だということは理解しているので別に怒こったりはしない
「ほなら、うちらはもういくな」
「ごめんね、ユーノお邪魔しちゃって」
「ううん、僕のほうこそ荷物持ってきてもらってありがと」
ユーノの言葉に二人は別にいいよ、と言って出ていった
「さて…あ、レンカ姉からか」
レンカ・フィナンシャ、ユーノの友人で物腰の穏やかな女性だ
なにかとユーノのことを気にかけてくれて、友人というよりお姉ちゃん、といった感じの人物だ
「うわ、これは?」
荷物を開けてみると中には食べ物、本、服、その他もろもろ、箱一杯に入っていた
そして、何通かの手紙
「あ、ランガから、こっちはバイス、懐かしいな、みんなどうしてるんだろ…あ、長老からも」
手紙はユーノの友人やスクライア部族の長老からのもので、内容は最近の出来事や愚痴、自慢など
また、一度は帰って来い、なんていうものまであった
「みんな…ありがと」
手紙の一つ一つを読みながら、ユーノは部族のみんなに感謝していた
と、ふと一枚の手紙に気になることが書いてあった
「あ、そうか結婚するんだ、リートのやつ」
リート・グラン・スクライア、ユーノの幼馴染で昔はよく喧嘩した仲だ
無論、嫌っていたというのではなく、よき競争相手だった
その幼馴染が結婚するという手紙だった
「…あ、そういえば…」
結婚、という言葉にユーノはあることを思い出した
それは、スクライア部族に伝わる風習のひとつで
いわゆる告白のときに行う大事な儀式のことを…
「…うん、時期だよね、ちょうどいいし…よし!」
気合を入れ、ユーノは作業に取り掛かった


ホワイトデー当日
運良く休みの取れた二人は、デートをすることにした

「ねぇ、どこいく?」
「なのははないの?いきたいところ」
「う〜ん、ユーノ君と一緒ならどこでもいいんだけど」
「な、なのは?!」
「えへへ♪」
うろたえるユーノとはにかみながら笑うなのは
第三者から見れば立派なバカップルに見えるだろう
「じゃ、じゃあ適当に周っていくってことでいい?」
「う、うん、それでいい」
顔を真っ赤にしながら、二人は歩き出す…無論、手はつないで


その後、なんだかんだと店を周りに周り
気づくと、日は傾き始めていた
もう後数時間もすれば夜の帳が下りるだろう

「はぁ、楽しかったね♪」
「うん、そうだね」
二人は公園のベンチに座っている
場所は最初に二人が会った近く
いつからか、デートの後は大抵ここで休んでから帰るのが
二人のデートコースとなっていた
「あ、そうだこれ」
「ん?」
ユーノはひとつの箱をなのはに差し出す
「これは?」
「今日ホワイトデーでしょ、バレンタインのお返し」
「あそっか♪ありがと、ユーノ君」
「ううん」
「ね、開けていい?」
「もちろん」
「……あ」
箱の中には腕輪が入っていた
だが、見るからに市販されているものではないことがわかる
「もしかしてこれって…」
「うん、僕が作ったんだ」
「すごい!ユーノ君こんなの作れるんだ」
「スクライア族では当たり前なんだよ、子供のときに教えてもらうんだ」
「へぇ…でも、どうして?」
なぜ腕輪を、それも子供のころに習うのか
当然ともいえる疑問に、ユーノは静かに答える
「…契るは永久の約束、捧げるは愛の証、想いあれば腕に証をつけよ」
「え?」
「スクライア族で婚約の儀式の時の言葉、意味は永久にあなたを愛し、決して違えることなく
その身滅びるまで伴にあります、って言うおまじないみたいなもの」
「…」
「そして、その証として自らが作った腕輪を渡し、その想いに応えてくれるならば腕輪をはめる」
「それって…」
ユーノはゆっくりと深呼吸をしてから、言葉をつむぐ
「僕…ユーノ・スクライアは高町なのはが好きです…想いを受け取ってくれるなら、腕にその証を」
「…」
「…」
二人の間に沈黙…どれくらい経っただろうか
静かに、なのはが口を開く
「…私ね、ずっと待ってたんだ」
「え?」
そう言って、なのはは腕にその証をつけた
「…はい、私高町なのはは喜んで、ユーノ・スクライアと生涯を伴にします」
「なのは…」
「えへへ♪…」
笑うなのは、そして二人は自然と距離を縮め…
「なのは…」
「ユーノ君…」
静かに、口付けを交わす



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あとがき
 はい、というわけでいかがでしたでしょう
正直なとこいろんな意味で疲れました…
まぁ、とりあえず結構な部分で勝手な設定してるんで
ちょっとしたお遊び程度で呼んでいただければ楽しめるのではと思います


      
 
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