その二人、止める者無し


  

「スー…スー…」
「ふふ、かわええ寝顔や♪」
隣で静かに寝息を立てるヴェロッサに、はやては笑みをこぼす
「…こういう時、やっぱお約束で起さなあかんよな」
そう言って、はやてはヴェロッサに近づく
「朝やで、ロッサ…起きんのやったら、実力行使するで?」
「スー…」
「…しゃあないな♪」
言いつつも、笑顔のはやて
そして、静かにヴェロッサに口付ける
「ん♪…ふ…?!…ぷは…起きとるんやったら、そう言うてや」
「はは、ちょっと期待して待ってたんだ♪」
「ロッサったら…ま、ええけどな♪」
「それじゃ、続き、しようか♪」
「そんな時間ないで?」
「大丈夫…愛の時間に、制限はないから♪」

「いやぁ、朝ごはんの時間はもうちょっとゆっくり取りたかったね」
「それはしゃあないやろ?ロッサが狼さんになってたんやから」
「あはは、耳が痛いねぇ」
「ま、一緒に楽しんだ私も人のこと、言えないけどな♪」
「相変わらず可愛かったよ、はやて♪」
「ロッサも、普段よりたくましかったで♪」
「はやて…」
「ロッサ…」

しばらくお待ちください…

「いやぁ、僕としたことがとんだ失態だね」
「それが言い訳ですか?」
「いや、ほら、わかるだろシャッハ?愛する人の前では…」
「気持ちは理解します…しかし、それとこれとは別です」
「…容赦ないね」
「飴と鞭、という言葉があります…はやてさんが飴なら、私は鞭です」
「…」
「理解いただけたようでなにより…では、早速ですが」
「…これは、帰りがいつになるか」

「う〜ん、私としたことが失敗したなぁ」
「いい訳です?」
「いや、そういうんやなくてな?」
「じゃあ、なんです?」
「…ええか、リイン、人は愛する人のためなら何でもできるんや」
「…」
「せやから、例え後になにが待っていようと、後悔はせんのや」
「じゃあ、問題ないですね」
「…」
「急ぎのものも含め、今日中に処理するものがあるので、よろしくです」
「容赦ないな、リイン」
「それもサポートのひとつです」
「…帰り、いつになるかなぁ」

「ふぅ、遅くなった」
「はぁ、まさかこないな時間になるなんて」
「ん?」
「あ」
「…はやても、今帰り?」
「そういうロッサも…ほなら」
「ペナルティ?」×2
「…」
「…」
「あはは♪」
「はは♪」
「なんというか、大変だねお互い」
「せやね、立場もあるし」
「でも、今日はもう終わりだし」
「うん、ここからはプライベート♪」
「じゃあ、食事して帰ろうか?」
「…それだけか?」
「ふふ、はやてはそれだけだと思うのかい?」
「そうだったら残念かな、とは思っとるよ?」
「それはよかった…もちろん、食事の後はご休憩タイムだ♪」
「ふふ、それは嬉しいな…なんて言うのは、問題か?」
「どうだろうね…僕個人としては、問題なしだけど」
「ほならええわ♪ロッサがいいなら、問題なしや♪」
「はは、それじゃ行こうか?」
「うん♪」

そして、二人は夜の闇へと消えていった


翌日

「んー!…いい朝やなぁ♪」
「…はやて」
「ん?どないした、ロッサ」
「僕は一向に構わないのだけど…窓際にいて大丈夫かい?」
「?どういうことや」
「…昨日のままだから服、着てないよ?」
「服…!!?」
いわれて気づく、今自分が一糸纏わぬ姿だということに
「わー?!わー?!さすがに、これは恥ずかしいわ!」
「仕方ないね…はい、タオルでも巻いておこうか」
「うう、なんか余計恥ずかしなった…」
「じゃあ、観察会でもするかい?」
「…バカ」

「さて、あまりゆっくりしていると昨日の二の舞になるからね」
「せやね、ぱっぱと朝食作ってくるわ」
「ああ、ほんと簡単なのでいいからね」
「了解や♪…あ、そうだ」
「?」
なにやら思いついたのか、はやてはそのままキッチンへ
「あ、ロッサ5分位したら、リビングのほうに来てな♪」
「???」
と、いうはやてに、余計わからなくなるロッサ

-5分後

「はやて、きた…よ…」
「時間ぴったりやな♪さすがロッサ」
「…」
「?どないした」
そう聞いてくるはやて、いつもならすぐに応えるのだが
今は少々思考が停止している…と言うのも
「おかしいな、喜んでくれる思うたのに」
「いや、まぁ…」
と、言葉を濁すヴェロッサ
それもそうだろう、いきなり裸エプロン姿のはやてを見せられれば
「それとも、ロッサはこういうの嫌いか?」
「いや、単に驚いたというか…うん、まぁ」
「せやったら、好き?」
「大好きです」
と、今度は即答する
「それはよかった♪ほなら、ちょっと待っててな?すぐ朝ごはんの支度するから」
そう言って、はやては調理に取り掛かる
「…」
「♪〜♪♪」
しばし、眺めるヴェロッサ
はやては、鼻歌を歌いつつ、手際よく調理していく
当然、動くわけだからちらちらと精神衛生上よろしくないものも見える
「…はやて」
「ん〜?なんや、朝ごはんならもうすぐやで」
「…その前に、つまみ食いしたくなっちゃった」
「?…きゃ?!な、なんや?」
いつの間にか傍によってきていたのか
抱きしめられるはやて
「危ないで?」
「だって、目の前に美味しそうなものがあれば、飛びついちゃうものだろ?」
「せやけど…」
「ちなみに、それははやてなんだけどね♪」
「…」
「♪」
無言のはやて、そして満面の笑みのヴェロッサ
「…朝、やけど?」
「う〜ん、あんまり気にしないな」
「ご飯、作ってる途中やけど?」
「ほとんどできてるみたいだし、後でも問題ないでしょ?」
「…はぁ、ロッサって結構狼さんなんや」
「ま、可愛い赤ずきんちゃんがいるからね♪」
「…しゃあないな、狼さんに抵抗する術なんてないし」
「別にしてもいいよ?」
「…ばか、そないなことするわけない、って気づいてや」
「はは、じゃあ遠慮は要らないってことだね♪」
「…ロッサ」
「はやて」
「大好きや♪」
「僕も大好きさ、はやて♪」

想いを伝えあい、二人は夢の国へ…

そして、ここから始まるダ・カーポ…



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あとがき
 はい、ということで遅れましてすみません…
さて、いかがでしたでしょう、とりあえずお惚気で、ということで
お約束やロマンを入れました(を
もうちょいやってしまおうか、と思いましたが
そうすると未成年お断り、になりそうだったんで止めました(笑)
      
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