罪な男、ここに…


   




「♪〜♪♪」
その日、午後から非番だったスバルは
同じく、非番だと言う大地をデートに誘おうと
午前の間に、必要な仕事をすべて片付け
大地の元へ…ちなみに、鼻歌+スキップ込みで

「あ♪大ちゃ…?!」
その後、大地を見つけたスバル
場所はオフィス、休んでいるのかと思っていたが
なにやら話をしているようだ、見るとそこにいるのはセイン
(は?!なんで隠れてるんだろ、私)
と、思うスバルだったが、タイミングを逃してしまったのか
そのまま二人の話を聞いてしまうことに

「いやぁ、最近忙しくて」
「はは、そうみたいだね、何度か見かけるし」
「そっちはどう?いろいろ請け負ってるみたいだけど」
「はは、とりあえずなんとかなってるよ」
「そっか、心配する必要はなしか」
「いや、そこはしてほしいかな?」
「…素直だね」
「まぁね♪」

「…」
楽しそうに話す大地とセイン
そんな二人を見ていると、不意に
ズキン、と小さな痛みが胸に走った
「…よし」
そして、スバルは決意を固めた
大地の後をつけ、好みのタイプを探ろうと…

その後、大地はオフィスを出て廊下をぶらぶらと
そして、そんな大地の後をつけるスバル
しばらくすると、見知った二人に遭遇
「ん?大地か」
「…」
「あ、チンク、ディエチ。任務帰り?」
「ああ、これからディエチと風呂に入るつもりだ」
「…お風呂♪」
「そっか、じゃあ、邪魔をしちゃ悪いね」
「?遠慮など無用だ、別に急ぎではないし…なぁ?」
「うん…」
「そう?ならいいんだけど」
「それより、最近いろいろと忙しいらしいな」
「なんで知ってるの?」
「お前の噂はいやでも耳に入る…いい意味でな」
「はは、それはなんというか」
「もし大変なときは言え、手伝い位してやる」
「悪いよ、そっちもいろいろあるのに」
「気にするな、というよりそんなのはお前らしくない」
「はは…」
「…チンク姉の言うとおり、根つめるとよくないよ」
「ん、ありがと」
「…ううん、当然だから」

「…もしかして、大ちゃんってチンクみたいな頼れるタイプがいいのかな?
 それとも、ディエチみたいに無口な子?」
と、物陰から観察していたスバルは
なにやら呟きつつ、メモを取っていた

その後、またも見知った二人に遭遇

「あ、ノーヴェ、ウェンディ」
「…ん?」
「あ、お疲れっす」
「うん…二人は訓練でもしてたの?」
「だったら、なんだっていうんだ?」
「いや、別に他意はないんだけどさ」
「あ、そ…んじゃ」
「ちょーっと、待った」
「…なんだよ」
「いくらなんでもその態度はないっすよ、恥ずかしいからって」
「な?!だ、誰が!」
「おんや?訓練中、大地のやつは、なんて言ってたのにっすか?」
「え?」
「わー!わー!…な、なんでもねぇ!別にお前なんか気にしてなんかいない!」
「え?あ、うん」
「可愛いっすね♪」
「うるせ!黙れ」
「おー、こわ」
「…」
「ん?どうしたっすか」
「あ、いや、別に」
「…あ、もしかして」
「な、なにか?」
「胸、見てたっすね?」
「な?!」
「なに?!こら大地、本当か?!」
「いや、まぁ…ま、待て!早まるな、男の悲しい性なんだ!!」
「それがいい訳か?!」
「まぁまぁ、ノーヴェ抑えるっすよ…別に、それくらいいじゃないっすか」
「え?」
「おまえ、なにを!」
「だって、それって魅力があるって事でしょ?なら問題ないっす♪」
「…」
「いや、まぁ…」
「…おい、大地」
「ん?」
「…見たきゃ、好きに見ればいいじゃないか」
「え?!」
「か、勘違いすんじゃねぇぞ!このままじゃ他のやつに迷惑掛かるから、仕方なくだ、いいな?!」
「…はは」
「こら、なに笑ってやがる?!」
「いや、なんでも♪」

「大ちゃんって、もしかしてツンデレ好きなのかな?
 …それとも、ウェンディみたいに胸がおっきい子が好きなのかな?」
前者は無理だと諦め、後者を目指そうと自らの胸を確認
それなりに大きいほうだとは自覚しているので、いけるかなと思ったが
「……負けた」
比較した結果、少しばかりウェンディのほうが大きいことに気づき
がっくりと項垂れる

その後、出会ったのはヴィヴィオ
「あ、こんにちは」
「こんにちは…それは本かな?」
「うん、これから返しにいくの」
「そっか…よければ、ついてっていいかな?」
「うん♪」
「ありがと…そういえば、本は結構読むの?」
「うん、難しいのはだめだけど、絵本とか文学小説」
「え?難しいのだめじゃないの?文学小説って結構」
「うんと、ユーノパパに薦められたの、でもそのままじゃ読めないから
 ユーノパパがわかりやすく編集してくれたの」
「あ、なるほど」
「大地さんは?」
「え?」
「本は読むの?」
「あ、あはは…まぁ、人並みには」
「そうなんだ♪」
「とはいえ、ヴィヴィオくらいの年は漫画ばかりだったな」
「ヴィヴィオ、漫画も読むよ?」
「しか、読まなかったんだよ、俺は」
「…Aボーイ、だっけ?そういうの」
「…よく知ってるね、そんな言葉…いや、別にそこまでじゃないから」
「ふ〜ん」
「あっと、着いたね」
「あ、ほんとだ」
「…そうだ、えっと…ああ、あった…はい、ヴィヴィオ」
「わぁ、うさちゃん♪」
「ゲーセンで取ったんだけど、俺はいらないかさ、よかったらどうぞ」
「うん、ありがとう♪大事にするね」
「うん、喜んでもらえて何より」

そんな二人を見ていたスバルは一言
「…大ちゃん、ロリコンだったんだ」


次に出会ったのはシャマル
「あら、大地君」
「こんにちは、休憩ですか?」
「まぁね、さすがにずっといなきゃいけないほど、怪我人とかいないし」
「はは、そうですね」
「ああ、怪我と言えば大地君」
「はい?」
「あなたには力があるけど、万能じゃないの」
「あ、はい」
「だから、無茶なまねはしないこと、自分が傷ついても助けられれば、なんて偉くもなんともないんだから」
「…」
「…ふふ、ちょっと言い過ぎたかしら」
「あ、いえ…そのとおりだな、と」
「自覚するのはいいことよ…でも、きっと止まらないでしょ?」
「あ…えっと」
「…もう、みんなそうなんだから…ま、いいけどね」
「いいんですか?」
「だって、言って聞くようなら楽だもの…それに、そういうときのために私がいる」
「…」
「勘違いしないで、傷ついていい、なんて言ってないの…ただ、そうなってしまったら
 私が治してあげる、ってだけ」
「はい、そのときはよろしくお願いします」


「大ちゃんって、年上が好きなのかな?…シャマル先生、優しいしな」
二人を見つめていたスバルは、そう呟く


その後、廊下でギンガに出会う
「あら、大地君」
「こんにちは、今からお昼ですか?」
「ええ…大地君は?」
「あ、午後から非番なんで、外ででもと」
「あら、そうなの…やっぱり、お相手は?」
「あ、えっと…はい」
「ふふ、そう…でも、そろそろいいんじゃないかしら?」
「え?なにが、ですか」
「私のこと、お姉ちゃん、って呼んでもいいのよ?、ってこと♪」
「え?!あ、その…」
「ふふ、可愛い♪真っ赤になっちゃって」

「大ちゃん、もしかしてギン姉のほうが好きだったとか?!」
二人を見ていたスバルは、軽くショックを受ける
「…でも、確かにギン姉は面倒見がいいし、綺麗だし…勝てる要素、ないよ」
そう呟き、ギンガの言葉に照れている大地を見て、しょんぼりとするのだった


その次に…以下略…ティアナだった

「こんにちは、大地君」
「こんにちは」
「どう?最近、忙しい?」
「まぁ、ぼちぼちかな…そっちは?」
「同じ感じかしらね、選り好みはできないし」
「確かに、俺らの仕事柄ね」
「それはそれでやりがいもあるし、楽しいけど♪」
「はは、それはなによりだね」

「ティアは頭言いし、私なんかよりずっと可愛いしなぁ…やっぱり、私には魅力ないのかな…」
ティアナと楽しそうに話す大地を見て、自信を喪失するスバル

「…ところでさ、あのコは一体なにしてるわけ?」
ティアナの指差す先には、特徴的なアホ毛がぴこん、と
それは、柱の陰に隠れているスバルのもの、本人は隠れきっていると思っている為、気づかないが
「…さぁ?俺のこと尾行してるみたいだけど、なにがしたいのかは」
「…あ、もしかして」
「ん?なにかわかった」
「まぁ、大地君の答え次第ね」
「俺の?なに」
「簡単なことよ、今日私以外の女の子に会ったか、よ」
「?会ったけど…」
そして、大地は今日会った女の子について話す
それを聞いたティアナは
「…なるほど、ね」
「わかったの?」
「…これでわからないって、ここまで鈍感だと呆れを通り越して笑えるわ」
そう言って、苦笑を浮かべるティアナ
ますます訳がわからず、頭にはてなマークを浮かべる大地
「ま、とにかく頑張んなさい♪…私は、馬に蹴られる前に退散するわ、じゃ」
そう言って、その場を去るティアナ

「頑張れって…まぁ、そういうことなんだろうな」
ティアナの言葉を、大地なりに理解し、一言
「もういいでしょ、スバルん」
「?!」
気配から、スバルが驚いたのがわかった
「…ばれてたんだ」
そう言いながら、気まずそうに出てきたスバル
「逆にアレで気づかないと思ってるほうが不思議に思うよ?スバルん」
「あうぅ…」
「…で?どうして後をつけたりしたの」
「!そ、それは…」
「ん?」
「…ごめんなさい」
「え?!」
泣きそうな顔を伏せながら、そう言うスバルに
大地は驚く
「いや、別に怒ってるわけじゃないんだよ?その、ね」
「ううん、そうじゃなくて…大ちゃんって、かっこいい上に優しいし」
「そ、そんなことはないと思うけど?」
「ううん、そんなことあるよ…それに比べて、私なんて魅力ないし、大ちゃんの隣にいていいのかな、って」
「…」
「もっと、大ちゃんに相応しい人がいるんじゃ…?!」
「…ありがと」
「…」
そんなスバルを、大地は優しく抱きしめる
突然のことに、スバルは頬を赤く染める
「そんなことない、俺はスバルんが大好きなんだ。他の誰でもない、スバル・ナカジマって女の子が」
「…大ちゃん」
優しく、静かに語り聞かせるように言葉を紡ぐ大地
そんな大地の言葉に、驚くスバル
「スバル以上の女の子なんて、世界中捜してもいないよ…なにより、俺がスバルを選んだんだ。
 俺は、スバルの良いところをたくさん知ってる…元気で、可愛くて、強く、優しい
 そして、頑張り屋…後は、明るい笑顔で俺のことを癒してくれる♪…そんなスバルが、大好きなんだ」
「…」
「なにより、俺の隣は永遠にただ一人…スバル・ナカジマって女の子のものだから♪」
「!」
その言葉に、スバルの瞳からは、一粒の雫が
「…ありがとう、大ちゃん…あと、ごめんなさい」
「別に謝る必要はないって」
「ううん、私が言いたかっただけだから…大好きだよ、大ちゃん♪」
「うん、俺もスバル…スバルんが大好きだ♪」
「…大ちゃん」
「スバルん…」
そして、二人は見つめあい、静かにその距離が縮まり
「ん♪」
「ん…」
熱い口付けを交わす…それは愛を確かめ合うためか
長く、とても情熱的でさえあった
「はぁ…えへへ♪」
「…はは♪」
口付けを交わし終え、二人は互いの額を合わせつつ微笑む
「ね、大ちゃん、せっかくだしこれからデートしよ♪」
「賛成♪じゃあどこ行こうか?行きたいとこある?」
「どこでも…大ちゃんと一緒ならどこでも楽しいもん♪」
「はは、それじゃいろいろと回って、考えようか♪」
「うん♪」


こうして、なんだかよくわからないうちに始まった
大きいのか小さいのかよくわからない騒動は収まった
始まりが曖昧なら、終わりも曖昧
だが、そんなものは関係ないのだろう

より一層、その絆を深めた一組のバカップルにとっては…


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あとがき
 はい、まぁどうですか、とは聞く勇気のない今日この頃(を
なんていうか、いいのかなこれで?って気がしまくってるんですよ…
前似たようなの書いたんですが、そっちは基本ダークサイドだったんで、好き勝手できましたが(笑)
まぁ、こういうのはこういうのでいいんじゃないかな、と


     

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