伝えるべき想い

   




あの激動?のキス事件より数日
エリオとキャロはまだぎこちなさがあるものの、普通の会話ができる状態になっていた
ただ、二人ともある事実に気づいていた
そして、その事実に二人は戸惑いと不安、そして期待といった不可思議な気持ちになっていた

「…はぁ、どうしようキャロは一緒に戦うパートナーだ、なのにこんな感情を抱くなんて」
そう言って、エリオはまたため息を吐く
「…やっぱり、このままじゃいけないよね」
そして、エリオは部屋を後にした

「…どうしよう、なんかドキドキが治まらない」
そう言って、キャロは自分の胸に手を当てる
「…でも、いつまでも悩んでても仕方ないし…よし!」
小さく気合をいれ、キャロは部屋を後にする


「…なるほど、それで俺たちのとこへ来た、と」
「はい」
エリオはこの気持ちをどうするべきか
ヴァイス、グリフィス、そしてたまたま六課へ来ていたユーノとヴェロッサ
また、グリフィスと話をしていたギンガに相談した
「それで、僕はどうしたらいいんでしょう?」
「…まぁ、俺たちが何か言うべきことじゃないよな?」
「そうですね、我々が何を言おうとエリオ君には関係ないですから」
「うん、気持ちは伝えるもの、だよね」
「第一、女性に対してそういう感情は当然ですよ?むしろ黙っているほうがおかしい」
「あはは、まぁ要するにエリオ君がどうしたいか、ってことよ」
「僕がどうしたいか…」
その言葉をつぶやいたとき、エリオは自分が考えていたことがどれほど
無意味なことであるか気づいた
「…そうですよね、ありがとうございました!」
そう言って、エリオはヴァイスたちに礼を言って部屋を後にする


「…うん、事情は大体理解した」
そう言って、なのははうなずく
この気持ちをどうしたらいいか、キャロは六課女性陣
なのは、はやて、シグナム、リイン、ヴィータ、シャーリー、
シャマル、スバル、ティアナに相談しにきていた
「それで、その…正直、どうすればいいのかわからなくて」
「簡単だよ、伝えればいいだけ」
「せやね、だまっとったら何も伝わらん」
「主のいうとおり、何事も言葉にするべきだ」
「リインも伝えるべきだと思うですぅ」
「あたしは難しいことわかんねぇけど、当たって砕けろだ!」
「砕けちゃだめですって…まぁ、悪い結果にはならないと思いますよ」
「そうそう、それに言ってみたら”実は僕も…”な〜んてことになるかも知れないし♪」
「気持ちが固まってるなら、言わなきゃ損だよ?」
「損、って…まぁ、でもキャロがその気持ちを嫌に思ってないなら悩む必要はないんじゃない?」
「そ、そうですか?」
なのはたちに言われると、不思議とそんな気がする
何はともあれ、やはりこの気持ちは伝えたほうがいい、というのはわかった
「ありがとうございました。頑張ってみます」
そう、礼を言ってキャロは部屋を後にした


「…あ」
「…あ」
エリオとキャロは、同時に言葉を発した
ここはフェイトの自室前
やはり、決心がつかないエリオは最後にフェイトに相談しようとやってきた
そして、キャロもまた最後にフェイトに相談しようとやってきたところ鉢合わせたのだ
「えっと、あの…」
「…」
気まずい沈黙
どれくらいそうしていただろう、それを最初に破ったのはキャロだった
「あのね、エリオ君…」
「う、うん、なに、かな?」
「まず、お礼を言いたくって」
「お礼?」
「うん、いつもエリオ君には助けてもらってばかりで
 気がついたら、いつもそばにいてくれて」
「そ、それはパートナーだし、仲間だから」
「うん…でも励ましてくれたことはほんとのことだし、そのおかげで今の私がある」
「そんな、大げさだよ」
「ううん、私にとってはエリオ君がいてくれたから、ここにいられる」
「…」
「でね、そう考えたらなんかどきどきして、落ち着かなくて…それで、言おうと思ったんだ」
「なにを?」
エリオの言葉に、キャロはにっこりと笑みをこぼし
「エリオ君のこと、大好きだって♪」
「え?!」
「も、もちろん、一人の男の子として、だからね?」
「キャロ…」
その言葉を聞き、エリオは改めて考える…キャロのこと
すると、自然なくらい気持ちが固まるのがわかった
だから、言葉も自然に出てきた
「…それは、僕も同じだよ」
「え?」
「キャロのおかげで、僕も今ここにいられる…いつも、支えてくれたから」
「そんな、私は…」
「ううん、キャロがいたから…キャロを守りたい、って思ったから
 だから、強くなれたと思うし、これからも頑張っていこうって思える」
「エリオ君…」
「だから、ありがとうキャロ…それから」
恥ずかしそうに、でもはっきりとエリオは言葉にする
「僕も、キャロが大好きです…一人の女の子として」
「…」
「…えっと?キャロ?」
「ひっく…ぐす…」
「え、ええええ?!ど、どうして泣くのキャロ?!」
「ごめんなさい…ひっく…うれしくて」
「キャロ…」
「えへ、ありがとうエリオ君♪」
「…ううん、僕こそ、ありがとうキャロ」
「…エリオ君」
「キャロ…」
そして、二人は顔を赤くしつつも、微笑みながら抱き合った


ちなみに、六課メンバーはそんな二人を柱の陰から微笑みつつ見守っていた
また、フェイトはすべて知っていたようで「よかったね♪」の、一言だった


「キャロ…大好きだよ」
「私も…大好き♪」

そして、二人は再度お互いの気持ちを確認の意味をこめ、伝えたのだった



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あとがき
  はい、つーわけでいかがでしたでしょう
まぁ、甘さ加減でいうといまいちかもしれませんが
あと、短いのもなんかやっちゃった、かな?(笑)

      
 
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