生まれし絆の名は…

  


「…ええな、これはサプライズやからこそ意味があるんや」
「うん、大丈夫」
「みんなにもちゃんと言ってあるから」
「よし、ほなら配置につくんや」
「了解」
はやての言葉に、なのはとフェイトはそう言ってうなずく
隊長陣が集まっていったいなにをするのか…

次の日

『あら、それはいいわね♪』
『ふむ、確かに』
「そういうことやから、二人にはちょい、っと操作してもらえんか、とな」
個人回線を使って、はやてはクロノとリンディに連絡を取っていた
なにやらよからぬことを、と思うが実はそうではない
『通常そういうのはご法度だが…まぁ、バースディパーティということなら、な』
『そうね、それに幸い今は急ぎの仕事もないしね♪』
そう、実は今日ユーノの二十歳の誕生日なのだ
そこではやてはサプライズパーティを行おうと計画したというわけだ
「ほなら、そういうことでよろしゅうな」
そう言って、はやては通信を切る
「さて、みんなはどうかな?」

そのころ、六課隊舎では…

「おい、シャーリー、これはここでいいのか?」
「あ、はい…ヴィータ副隊長、ついでにそっちのもお願いできます?」
「ん、任せろ」
「でも、こんなことするのいつ以来でしょうね?」
「確かに、こっちに着てこういうのってなかなかやりませんからね」
「というより、こういうイベント自体ありませんでしたよね」
「ふふ、でもこういうのってなんか楽しいわよねぇ♪」
「…シャマル、はしゃいで壊すなよ」
「ザフィーラひどい、そんなどじっ娘じゃ…って、きゃわ?!」
どがしゃ、と見事にこけたシャマル
ちなみに、今ので紙の輪っかがいくつか破けた
「シャマル、そういうお約束はいらないです」
「うぅ、私だってしたくてしたわけじゃないのに…」
と、多少のトラブルはありつつも部屋の飾り付け作業は進んでいった

「姐さん、どれくらい買ってけばいいっすかね?」
「そうだな…結構いるし、何よりうちの連中はよく食べるからな」
「ま、確かに」
そう言って、ヴァイスはフォワード陣の面々を思い浮かべる
「多少、余分に買っておいたほうがいいだろう…足りなければ自腹だな」
「うっす♪」
と、いう感じで買出し作業も順調に終了

「フェイトさん、大きさはどれくらいですか?」
「そうだね…20キロくらい…かな?」
「…それ結構大きいですよ?」
「キュウ…」
「え?そうかな」
「ええ、そんな大きさの鳥なんて…」
と、エリオが肉屋の前を通ると大きな看板が

”20キロ調理用チキンあります”

「あった♪」
「…」
「…」
見事?目的のものを見つけたフェイトたちだった

「ねぇねぇ、ティアこれどう?」
「鼻メガネって…あんた、宴会じゃないんだから」
「だめ?」
「だめ…クラッカーとか、そういうのを買ってくの」
「面白いと思うんだけどなぁ…」
「面白い必要はないんだって…」
と、多少の相違はあったものの
スバルとティアはパーティの飾りつけ用品を買った

「…ん、いい感じ♪」
そう言って、なのははオーブンの前で微笑む
「後はデコレーションして…あ、時間あるしちょっと凝ったのでもいいかな?」
と、どうやらなのはは特性のケーキを作っているようだ
「ふふ、ユーノ君喜んでくれるかな♪」

「……」
「あ、そこはもうちょい優しくな」
「う、うん」
「上手い上手い、その調子♪」
「…がんばる」
と、ヴィヴィオははやてとギンガに習いながら何か作っているようだ


無限書庫

「…あれ?なんか今日仕事少なくないかな…それに、局員も少ないような」
「仕事が少ないのはいいことじゃないか、局員だっていつもいるわけじゃないだろ?」
「そうだけど…」
「ほら、さっさと仕事終わらせようぜ」
「う、うん…」
と、なにやらいまいち納得のいかないユーノだったがアルフの言うことももっともなので
そのまま作業を続ける
ちなみに、ほかの局員もユーノの誕生日パーティの手伝いをしていた

その後、時間も過ぎ時刻は夜の8時

事前に、六課隊舎のほうへ着てほしいと言われていたユーノは
一緒だったアルフ、そして途中であったクロノ一家、リンディと伴に
六課隊舎へ
「でも、何でこんな時間に?」
「それは、用意があるからさ」
「用意?」
「そ、みんなにも事情があるのさ♪」
「まぁ、とりあえず10分位したら中庭に来て」
「え?中庭ですか」
「いいな、10分後、だからな」
「う、うん」
その後、ユーノは言いつけを守り10分後に中庭へ…

パパーン!!
「うわ?!なんだ」

「ハッピーバースディ♪」

と、破裂音の後にその一言
それで、ユーノは初めて今日が自分の誕生日だったと思い出す
「…そういうことか」
「あかんねぇ、自分の誕生日くらい覚えとらんと」
「はやて、君がこれを?」
「そういうことや、つーわけで早速やけどプレゼントタイムや♪」
はやての言葉にその場にいた全員からユーノへプレゼントが配られる
人数が人数のため、量もそれなりのことになった
だが、やはり自分のためにということが嬉しいのかユーノは少し泣きそうになっていた
「みんな、ありがとう…なんか、すごく嬉しい」
「さ、じゃあろうそくを吹き消そ♪」
そう言って、なのはが持ってきたのは特製ケーキ
お決まりのチョコ板に”ユーノ君お誕生日おめでとう”の文字、そしてその横にはユーノの顔も描かれていた
「わ、すごい…さすがなのは」
「えへへ♪そんなことないよ」
そうは言うが、やはり嬉しいのかなのはは笑顔だ

その後、呑めや歌えの大騒ぎ
終わったのは2時間後、はやてやクロノらはまだ仕事が残っていたのでオフィスのほうへ
他の者は疲れ果てたのか、それぞれの自室へ

そして同じく自室に戻ったユーノ、なのは、ヴィヴィオの三人はというと
「あはは、なんかすごかったね」
「ふふ、楽しかったね♪」
「楽しかった〜♪」
そんな感じで、ほのぼのと過ごしていた
と、ヴィヴィオがユーノの袖を引っ張った
「ん?どうしたの、ヴィヴィオ」
「これ、あげる♪」
そう言って手渡されたのは小さな箱
「くれるの?僕に」
「うん、お誕生日プレゼント♪」
「ありがと…開けてもいい?」
「うん♪」
「…あ」
きれいに包装を解いていくと、中からはユーノの似顔絵とお守り
お守りは多少いびつな形のため、市販されているものではないことがわかる
ふと、ヴィヴィオの手を見てみると所々に絆創膏
「ヴィヴィオ、これって…」
「えっとね、はやておねえちゃんと、ギンガおねえちゃんに教えてもらったの」
「そっか…ありがと、がんばってくれたんだね」
そういうユーノに、ヴィヴィオは笑顔で
「ユーノ”パパ”のためだもん♪」
「え?!」
「なのはママと”恋人”なんだよね?だったらヴィヴィオの”パパ”だよね?」
「あ、あはは、参ったな」
ヴィヴィオの言葉に、ユーノは照れつつも悪い気はしないのか笑顔だ
「じゃあ、なのはママからもユーノ”パパ”にプレゼント♪」
そう言って、笑顔でユーノに箱を渡す
「もう、なのはまで…でも、ありがと…開けても?」
「もちろん♪」
そして、ヴィヴィオのときと同じくきれいに封を解く
中に入っていたのは小さな宝石のついたペンダント
「わ、ありがとなのは」
「ううん、安物だし」
「十分だよ」
「…でも、まだあるんだよ♪」
「え?」
笑顔で言うなのは、そしてよくわかっていないユーノの右側に座る
それに倣うように左側にヴィヴィオが座る…そして
ちゅ…
二人から、頬へのキス
「…」
「ハッピーバースディ、ユーノ君♪」
「はっぴ〜ば〜すでぃ、ユーノパパ♪」
「あ、あはは、ありがとう、二人とも」


もとは他人、だが今は間違いなく他人ではない
心を通わせ、笑顔で触れ合える、小さくも強い絆がある

そう…”家族”という絆が



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あとがき
  というわけで、なにがなにやらわからんうちに終わりました(笑)
いや、正直ここまでいろいろ出すことになるとは…辛かった
でも、個人的にこういうの嫌いじゃないし、気ぃ向いたら続編でも書くかね
…気ぃ向いたらな(笑)

      
 
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