ヴィータの想い


  




「・・ん」
「・・・起きた?」
「・・はやて、おはよう」
「うん、おはよう」


「みんな、おはよう」
「おはようございます」
「おはよう、はやてちゃん」
二人が居間に行くとすでにシグナム、シャマル、ザフィーラがいた
「すぐ朝ごはんの用意するな」
「はやて、わたしも手伝う」
そういってヴィータははやてとともに台所へ向かった


「・・果たして、我々のやっていることは正しいのだろうか」
はやてと楽しく朝食の支度をするヴィータを見ながらシグナムが呟いた
「どうした、シグナムらしくない」
「いや、我らの使命についてではない・・・ヴィータのことだ」
「ヴィータがどうしたの?」
「・・我らの運命に抗おうとしている」
「・・・」
「・・・」
シグナムの”運命に抗う”という言葉にシャマルとザフィーラは黙ってしまった
「われらは闇の書とともにあり、そしてその主を護るために存在する」
「・・・そうだな」
「・・・・」
「だが、ヴィータはそれ以上を望んでいる」
「・・でも、それはいけないこと?」
シグナムの言葉に珍しくシャマルは反論した
「好きな子と、この暖かい時間を生きていきたいと思うことはいけないこと?」
「シャマル・・」
「・・・無論私もそれができればと思う」
「じゃあ、なぜ?」
「・・今まで、幾多の主とともに歩んできた。だがすべて結末は決まっていた」
「!」
そう、彼女たちは今まで何度か闇の書完成を目指した
しかし、必ず最後は主が死ぬか、途中で封印されるかのどちらかだった
「・・今までの主は戦士だった、だから我々も変に惑わされはしなかった」
「しかし、はやては戦士でもなければ戦えるものでもない・・・」
「・・だから、護らなければならないのよね」
「そうだ、だがそれ以上を願うのは・・」
「・・・・」
話がひと段落したと思ったのかそこでザフィーラが口を開いた
「・・良いのではないか、夢くらいは見ても」
「・・・ザフィーラ?」
「たとえ結末が分かっていても、そうなるまでは夢を見てもいいのではないか、とな」
「・・・その結果今まで以上に辛い思いをすることになってもか?」
「・・・そうなりたくないからヴィータは足掻いているのではないか?」
「・・・」
そんな深刻な雰囲気を吹き飛ばすかのようにはやての明るい声が響いた
「シグナム、シャマル、ザフィーラ、ご飯できたよ」
「あ、はい。今行きます・・ねぇ、シグナム、ザフィーラ。今はいいじゃない」
「・・」
「・・」
「今だけは、この場所が私たちのあるべき場所だと思っても」
「・・・そうだな」
「・・・うむ」


「さーて、早いとこ全部のページ埋めるよ」
「ヴィータ」
「・・何、シグナム」
「あせるなよ」
「分かってるよ!先行く」
そういってヴィータは飛び去った
「・・・」


分かってるさ、私が想ってる願いは叶わないことくらい
だけど、それでも私ははやてと一緒にいたいんだ
シグナムやシャマル、ザフィーラとも
みんなで静かに暮らしたい・・それが私の願い
そのためならどんなことだってする、たとえこの身が傷つこうとも・・・

「絶対、叶えてみせる」

そしてヴィータは今日も小さな身体で戦い続ける

小さな、そして大切な願いを叶えるために・・・・



おしまい
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あとがき
  というわけで、シグナムに続いてヴィータのssです。
内容としてはシグナムのときのヴィータ版、という感じで
ヴィータの願いについてのお話です。
ある意味ヴァルケンリッターの中ではヴィータが一番頑張ってるような気がします。(あくまで私の所感ですが)

 
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