私からあなたへ

  


「…はぁ」
「どうしたのよスバル、ため息なんかついて」
「あ、ティア」
「…ははぁ、愛しのダーリンがいないから腐ってるんだ♪」
「な?!そ、そそそそんなんじゃないよ!!」
「でも、大地君がらみでしょ?」
「あう…」
ティアナの言葉に、顔を真っ赤にするスバル

松丸大地、スバルの恋人で本局のエース魔道士
Sランクの上、特殊武装により一時的ではあるが
常人以上の素早さで動くことができる
そのため、結構いろいろなところへ赴くことが多く
なかなか、スバルと会う時間が取れないらしい

「…あのね、誕生日なの明日」
「?誰の」
「大ちゃんの」
「へぇ、そうなんだ」
「うん」
「でも、本人がいないじゃない」
「そ、そうなんだけど…やっぱり、お祝いはしてあげたいでしょ
 遅れてもさ」
「う〜ん、まぁ、確かに」
「だからさ、どういう風にお祝いしたら喜んでくれるかな?って」
「どうって…別に、プレゼント渡して普通にすればいいんじゃないの?」
「だって、ほら、なんていうかさ、それじゃ友達にするのと同じだし
 こう…恋人らしい、と言うかさ、その、えっと…」
わたわたとうろたえたように言うスバルに
「ぷっ…あはは、あんた変わったわねぇ♪」
「え?え?私、なんかへんなこと言った??」
「ふふ…ううん、うらやましいな、ってね」
「??」
「恋は盲目、よく言ったもんだわ」
そういって自己完結するティアナ
さらにはてな顔なスバル
しかし、しっかりとティアナはアドバイスをして
応援もしてくれた
なんだかんだ言っても、親友なのだ

その二日後

「大ちゃん、お帰り♪」
「ただいま、スバルん♪」
周りなど目に見えていないのか
二人は熱く抱きしめあう
「でも、どうせなら昨日帰ってきてくれればよかったのに」
「?なにかあったのか」
「…大ちゃんらしい」
「?」
スバルの言葉に、わけがわからず首をかしげる大地

その後、他愛もない話しをしつつ
二人の愛の城…もとい、普段使っている貸家へと

「ここも久しぶりだな」
「私はそうでもないよ」
「え?なんで」
「だって、いつ大ちゃんが帰ってきていいように
 定期的に掃除しに着てたもん」
「スバルん、そんなことしてくれてたの?」
「うん、だって大ちゃんが帰ってきたとき
 いちいち掃除なんかしたくないでしょ?」
「そんなスバルんが、大好きだ!」
「きゃっ?!ちょ、大ちゃん?!」
そんなことを言うスバルを、大地は抱きしめる
「こういうのも、できなかったしな」
「…う、うん、そうだね」
「…さて、ずっとこうしてたいけど、そうもいかないね」
「うん…えっとね、よければ今日は外で食べない?」
「ん?どうして」
「んっと、理由は、あるんだけど…えっと、その…だめ?」
そう、上目で見てくるスバルに大地は笑顔を浮かべ
「スバルんがそのほうがいいなら、いいよ」
「うん、ごめんね理由はちゃんと後で話すから」
こうして、二人はちょっとした準備をして家を出た

二人が向かったのは、ちょっと洒落たレストラン
通常のレストランより、多少値が張るという点以外は
変わりがないので、比較的庶民的でもある

「乾杯」
「乾杯…それと、お疲れ様」
「はは、ありがとう」
杯を交わす二人
ちなみに、二人ともまだお酒が飲めないので
ソフトドリンクだ
「そういえば、スバルのほうはどう?」
「うん、何とか。なのはさんたちに鍛えられたからね
 ちょっとやそっとのことなら大丈夫」
「そうか、それはよかった」
「大ちゃんのほうは…聞かなくてもわかるね」
「そう?」
「うん、だってなのはさんと模擬戦で引き分ける実力持ってるんだもん
 余程のことがなきゃ、大丈夫でしょ」
「はは、そんなことないけどね…なのはさんと引き分けたのも
 特殊武装を使ったおかげだからね、しかも完全には通用してなかったし」
「それでも、すごいよ。私なんか手加減されても勝てないもん」
「まぁ、スバルだって強くなってるからそのうち勝てるよ」
「だといいけど…」
と、話しをしていると、料理が運ばれてきた
その後は、食事をしつつ
近辺に起こったことや、近況などを話しながら
楽しく過ごした

食事も終わり、帰路につく二人
そこで、スバルが行きたいところがある、と言うので
ついていくと…

「風が気持ちいい…いいとこだね」
「でしょ♪」
二人がいるのは展望台の上
いわゆる屋外型で、今の時間星がきれいに見える
「…ねぇ、大ちゃん」
「ん?」
「昨日、何の日か覚えてる?」
「?なんかあったの」
「…はぁ、これくらいは覚えててほしいな」
「え?俺、なんかへんなこと言った?」
深々とため息を吐くスバルに、大地は少しうろたえながら聞き返した
「まぁ、わかってて黙ってる人よりはいいか」
そういいながら、スバルは懐からひとつの箱を取り出す
「はい、誕生日おめでとう…一日遅れだけど」
「…」
そういって、スバルから手渡された箱を見る
きれいなラッピング、だが普通に市販されているものとは少し違う気がする
「もしかして、手作り?」
「う、うん…へ、下手だからどうしようかと思ってたけど
 ティアがそんなの関係ない、って言うし、その…」
そう、どもりつつ言うスバルの顔は真っ赤になっていて
改めて、かわいいと思う
そして同時に…
「…なんか、悪いな」
「?何が、誕生日を祝うのは普通でしょ」
「まぁな…でも、この歳で、ってのもあるし
 別に歳を重ねた、ってだけのものだしな」
「そうなんだけど…大ちゃんって、意外に現実的だよね」
「意外に、って何だ?何も考えてないとでも思ったのか?」
「違うの?」
真顔で言うスバルに、大地は大きくため息を吐いた
「確かに、最初のころはそうだったけど
 今は護るべきものが増えたしな…いろいろ考えもするさ」
そういって、スバルを見る
「…私、のこと?」
「ほかに誰がいる?スバルも強いけど女の子なんだからな
 いざと言うときは頼ってくれ、それが男の役目でもある」
「!」
そう、真剣な瞳で言う大地に
スバルの鼓動がどくん、と高鳴った
そして改めて、スバルは大地のことを大好きなのだと気づく
「…なんか、敵わないな」
「ん?誰にだ」
「教えな〜い♪」
そういいつつ、スバルは大地の腕に自分の腕を絡ませる
「お、おい」
「いいでしょ?今日くらい♪」
「…仕方ないな」
そういう大地も、どこかうれしそうだ
「…大ちゃん」
「ん?」
「改めて、誕生日おめでとう…それと」
そこで、スバルは大地のほほに軽くキスをした

「大好きだよ♪」





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あとがき

  はい、というわけでまっちゃんハッピーバースディ♪
しかし、なんか別段甘くないし、誕生日ネタっぽくもないし
…あれ?なんか、どっかで間違えたか…?
と、とりあえずお誕生日おめでとう♪


…いいのかな、これで?


      
 
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