ヴィータのホワイトデー


  




3月14日はホワイトデーという日らしい
バレンタインデーのお返しをする日だと聞いた
だからはやてにお返しをするためにあたしは知り合いのところに来ている

「・・理由はわかった。だがなんで僕のところなんだ?」
そういって黒髪の青年、クロノは目の前の少女、ヴィータに問いかけた
「いいじゃねぇか、別に暇だったろ」
「あのな、こう見えてもいろいろと忙しいんだぞ」
「ふ〜ん・・」
しかし、クロノの言葉を聞いていないのかヴィータは準備に夢中だ

「よし、準備オッケー♪」
そういってヴィータはエプロンをつけた
「何を作るんだ?」
「クッキー。教えろ」
「は?」
「は?じゃねぇよ、クッキーの作り方教えろって言ってんだ」
教えてもらう態度とは思えない言い方でヴィータはクロノを見た
「だから、どうして僕が」
「知ってんだろ?エイミィに聞いたぞ」
「エイミィか、原因は・・」
クロノはそう言ってため息をついた

「それじゃあ、始めるが・・大丈夫か?」
「大丈夫に決まってんだろ」
ヴィータはそう言ってクロノを睨む
クロノがそう言うのも身長が足りず、完全に爪先立ちなことだ
「台、使ったほうがいいぞ」
「うっせぇ!さっさとやる・・・ぞ?!」
と、言ったそばからヴィータは転びそうになる
「・・と、ほら。転んで怪我されるほうが迷惑だ」
「・・・・・」
しぶしぶ、といった感じでヴィータは近くにおいてあった台に乗った


「じゃあ、まずは小麦粉とバターを混ぜる」
「バター硬ぇぞ」
「それが解けて玉になるまでこねるんだ」
「うへぇ〜、時間かかりそう」
「そういうものだ。ほら、喋ってる暇があったら手を動かす」
「へぇ〜い」
こうして、ヴィータの初めてのクッキー作りは始まった


「あ〜、違う。それは後だ」
「え?じゃあ何だ」
「少しずつ牛乳を入れるんだ」
「牛乳?」
「ああ、だが入れすぎるなよ?あくまで繋ぎのようなものだから」
「分かった・・」

それから2時間後

「出来た・・」
「うん、初めてにしては上出来だ」
クロノはそう言ってヴィータの頭をなでた
「な、なにすんだ?!」
「うまく出来たら褒めるものだろ?」
「・・・今だけだかんな」
そう言ってヴィータは目を細めた


「ただいまー」
玄関を開けてヴィータが帰ってきた
「お帰り、どうしたん?今日は遅かったね」
「うん、ちょっと・・」
「?」
そこではやてはヴィータが後ろ手に何かを隠してるのに気づいた
「何や、それ?後ろ手に持ってるもの」
「えと・・・はい!」
意を決したようにヴィータはその手に持っているものをはやてに渡した
「なんや?これ」
「クッキー。今日、ホワイトデーでしょ?」
「ああ、そか。今日はそやったな」
「初めて作ったから形ばらばらだけど・・・」
「え?ヴィータが作ったん?」
「・・うん」
ヴィータは顔を真っ赤にしてうなずいた
「そうか、うちのためにそないなことしてくれたんか」
「だって、はやてもいつもしてくれてるから」
「ふふ、それはうちの義務みたいなもんやからな」
そう言ってはやてはヴィータの頭をなでた
「うちはヴィータたちに毎日を楽しく過ごして欲しいんよ」
「はやて・・」
「せやけど、こういうことしてくれるんもすんごく嬉しいわ♪」
「えへへ、良かった」

その後、リビングに戻ったはやての前にはシグナムたちが箱を持って立っていた
「・・えと、これは?」
「バレンタインのお返しです」
「ホワイトデーはそういう日だとお聞きしましたから」
「・・ヴィータの様に手作りではありませんが」
シグナム、シャマル、ザフィーラはそう言ってそれぞれの箱をテーブルに置いた
「・・なんや、申し訳ないな。うちはただのチョコケーキやったのに」
「そのようなことはありません。これは我々からのお礼です」
「お礼?」
「シグナムの言うとおりです。私たちははやてちゃんのおかげで今こうしていられるんですから」
「シャマル・・」
「日ごろ我々にいろいろと気を使っていただいている、そのせめてもの感謝の気持ちです」
「ザフィーラ・・」
「そうだよ、全部はやてのおかげ。あたしたちははやてに助けてもらったんだ」
「ヴィータ・・」
はやては改めて四人を見た
皆、優しく微笑んでいる

「みんな・・ありがとな・・・うちのほうこそ、みんながいてくれて助けてもらうことばかりや」
「・・・」
「せやから、もうそないなことは言いっこなしや。な♪」
そう言ってはやては微笑んだ



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あとがき
 はい、というわけでホワイトデーss「ヴィータのホワイトデー」です。
まぁ、はやてのバレンタインのホワイトデーバージョンだってすぐ分かりますね(笑)
さらに、正直に言うとこれ2時間くらいで仕上げたんでところどころ穴もありますが
クッキーの作り方とか・・・・ま、暇つぶしにでも読んでみてください(笑)






 
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