手作り


  




「フェイト、クッキーの作り方教えて」
「え?」
アースラの食堂でおやつを食べていたフェイトに
ユーノがそう話しかけてきた
「・・どうして?」
「いや、なのはにバレンタインのお返しを・・」
「ふ〜ん・・・」
「えと、一応フェイトにももらってるから筋違いかもしれないけど」
「義理だから」
ユーノの言葉にフェイトははっきりとそう言った

「・・まぁ、カットチョコを渡されて本命だなんて思う人はいないよ」
「それもそうか、でも、どうしてそれでクッキー?」
「えと、できれば手作りでお返ししたいなぁ・・と」
「でも、だったらはやてのほうが・・」
「はやてに言ったらどうなると思う?」
「・・・・・」
ユーノの言葉にフェイトは想像する


『え?じゃあついに愛の告白?』
『あ、それとももうそこまでいってるん?』
『いややわぁ、それならとびっきりを教えたる。これでいちころや♪』
『ええか?古来より好きな相手には・・・自分をプレゼントするんが一番や!』


「・・て、なるだろうね」
「うん。きっと・・・」


「くちゅっ!」
「はやて?風邪か?」
「大丈夫や、きっと誰かが噂でもしとるんやろ」


「ちょっと時間のあいたときでいいんだ」
「・・・うん、いいよ」
「ホント?」
「ちょうど仕事も終わったとこだし、今からやろうか?」
「うん」
こうしてユーノのはじめてのクッキー作りが始まった

「あ、そこはもう少しゆっくり」
「え?えと、こう・・かな」
「うん・・そこで牛乳を少し入れて」
「これくらい?」
「・・もう少し・・うん、それくらい」
「・・・・・」
「で、後は形を整えてオーブンで焼くだけ」
「案外簡単だね」
しかし、その油断が命取りとなった
振り向いた際腕が小麦粉の袋にあたった
そして運悪く口は開いたままだった・・・・

ドサッ!

「あ・・・」
「・・・・」
こうしてクッキーの生地は粉まみれになった・・・・


その後、悪戦苦闘しながら・・・ほとんどはフェイトの冷たい視線から・・・
何とか仕上げることができた
「やっとできた・・・」
「・・もう夕方だね」
「・・・」
「ほら、早くいかないと今日が終わっちゃうよ?」
「う、うん。ありがとうフェイト」
そう言ってユーノは走っていった


「あれ?ユーノ君」
「やあ、なのは。魔法の練習?」
「うん。習慣かな?やってないと落ち着かなくて」
「そうか」
「ところで、ユーノ君はどうしてここに?というよりよく分かったねここにいるって」
なのはがそういうのもここは海鳴の山のほう
そんなに奥にある場所ではないが、用のないものはほとんどこない
「これでもいろいろ回ったんだ、それにここは魔法花火を打ち上げたところだし」
「そっか、そういえばそんなこともあったね」
「あの時はホント焦ったよ、まさか結界を張り忘れるとは」
「にゃはは、確かに」

ジュエルシードの事件が解決し、フェイトが時空管理局で判決を待つ間
ビデオメールでお互いの近況を報告しあっていた
そして、アルフとの契約日の話を聞き、魔法で花火の真似事をしたのだ
特例でそのときだけリアルタイム通信で・・

「でも、喜んでたみたいでよかったよ」
「うん。ユーノ君のおかげだよ」
「そんな、僕はちょっと手伝っただけだよ・・・て、そんなこと話に来たんじゃないんだ」
「?」
「えと、これ、バレンタインのお返し」
そう言ってユーノは先ほどフェイトと作ったクッキーの入った袋を渡した
「そんな、気を使わなくても」
「ただのお返しだよ、それにはじめて作ったから形がいびつだし」
「え?ユーノ君が作ったの?」
「うん、フェイトに教えてもらいながら・・途中散々だったけど」
「・・そっか・・」
「ああ、もちろん無理にとは言わないよ、食べたくなければ捨てても・・」
いいよ、という前にすでになのはは袋を開けてクッキーを食べていた
「むぐ・・むぐ・・・うん、おいしい」
「なのは・・」
「形は悪いけど、味はいいよ」
「はは、そう言ってくれると嬉しいよ」
その後、数分もしないうちになのははすべてのクッキーを食べ終えた

「はぁ、おいしかった。ありがと、ユーノ君」
「僕のほうこそ、全部食べてくれてありがと」
「あはは・・」
「はは・・」
「なんか、不思議だね」
「そうだね、最初のころはこんな風になるなんて思ってもなかった」
「私も・・そういえば最近ユーノ君かっこよくなったよね」
「え?!」
なのはの突然の言葉にユーノは素っ頓狂な声を上げた
「そ、そんなことないよ、なのはたちに比べたら僕なんて」
「ううん、この前無限書庫にいったんだ」
「え?そうだったんだ」
「うん、そこでユーノ君が周りの人たちに指示をしてるところ見て、かっこいいなって」
「・・・・」
「私も似たようなことやってるけど、全然様になってないから」
なのははそう言ってはにかむように笑った
「でも、なのはにはすごい才能がある、それこそ僕なんかよりずっとすごい才能が」
「そんな・・」
「大体、今日までに二回もロストロギア関連の事件があったのに死者はゼロ」
「加えて、次元世界への干渉もゼロ。全部なのはがいたからだ」
「・・・」
「理由ややり方、考え方が違ってもその結果は今までで最高の結果なんだ」
「ユーノ君・・」
「だから、もっと自信を持とうよ。なのはなら大丈夫」
そう言ってユーノはなのはの手を握った
「・・うん・・そうだね」
「ありがと、ユーノ君。私いつも助けられてばかりだね」
「それはお互い様、だからこの話はもう終わり。明日からまた頑張ろう」
「うん♪」




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あとがき
 ダイキ様よりホワイトデーssリクエスト、なのは×ユーノです。
内容はお任せということだったんでこんなんなりました。
なんとなくオチが弱い気もしますが・・・・
まぁ、楽しんでいただければ幸いです。


 
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