闇の中の光…


  

私は闇の書

本当の名は忘れた、永き時に渡りそう呼ばれ
それが私の名となった

私を手にしたものは、世界を思うままにできる力を得る
今まで私を手にした主はみな、その力を欲した
だが、それら主が皆、その力を手にしたわけではない
あるものは病に倒れ、あるものは力に溺れ狂喜し
またあるものはその力を欲するものに殺された…


人は愚かだ
自らの欲望のため、平気で人を陥れる
そんな人の闇を私は永き時に渡り見続けてきた
だから、此度の主もそうだろうと思った
だが……


「うちはそんな力なんかほしない、みんながいてくれるだけでええ」


そう言って、此度の主は微笑んだ

そして、その言葉に偽りはなく


「ほら、そないにがっつかんでもおかわりあるからな♪」

「だめやで、悪いことをしたら謝る…よし、ほならアイスでも食べよか♪」

「…ほんとにありがとな、こないに暖かい家族をもてたこと、うちのところに来てくれたこと…
本当に、感謝してもしきれんわ♪」

本来、ページの蒐集のために存在する騎士たちに優しく接した
そして…

「あなたとも、彼女らと同じように過ごせたらええのにな」

私にまで、そう言ってくれた

永き時を生きてきて、初めて主のことを心から護りたいと、そう思った


だが、やはり人の闇は決して晴れることはないのだ
いかに暖かな光も、すべて飲み込んでしまう

そして、繰り返される…


「…お前も眠れ、夢の中で」

「眠るよ、でもそれは今じゃない…私も、はやてちゃんも…そしてあなたも!」

「なぜ拒む、今ならば安らかな眠りと暖かな夢に抱かれるのに」

「確かにそうかもしれない…でも!今じゃない、私たちには明日がある
みんなそうだよ、いつかは眠る…でも、今を精一杯生きるからいつか眠るんだ
だから、今じゃない…明日がある限り、私たちは生きていく…たとえ、辛くても!」

「…なぜそこまでする?自らが傷ついてまで助ける理由があるのか?」

「決まってるよ…助けたいから、助けるんだ!理由なんかそれで十分だよ」

「助けたいから…助ける」

「あなたもそうでしょ?はやてちゃんたちを護りたい、助けたい…だから泣いてるんでしょ?!」

「?!」

泣いている?私が、泣いているだと…

「…大丈夫だよ、助けるから…はやてちゃんも…あなたも!」

なんと、暖かで安心できる眼差しか
まるで……


「…夢は夢、いつかは覚めるんや」

「?!」

「もうええ、あなたは十分戦った…後はうちに任せとき」

「主…」

「言ったやろ、家族を護るんは当たり前や…そして、あなたも”家族”や」

「私が…家族?」

「そうや…そして、もう闇の書なんかやない、うちが呼ばせん…」


そう言って、私に名を与えてくれた

そのとき、私は知った
たとえ闇の中にあろうと、光が届かないわけではないのだと
暖かな光は、たとえ漆黒の闇の中でも輝く

そう…想いという光は、何者にも消せはしないのだ…



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あとがき
 はい、いかがでしたでしょう
隙間多くてすんません、構成上仕方なかったんです(汗
えっと、とりあえずシリアスめでA'sの最終回のほうから抜粋しました
いくつか相違点あると思いますが、オリジナルなんで流していただければと(笑)


      
 
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