やさしい時間


  




願い・・・

私の願いは
シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラとずっと静かに暮らすこと
他には何も望まない、ただ、みんなが一緒にいてくれればよかった
だけど・・そんな幸せな時間は長くは続かなかった

「どうして?何でみんなが消えなあかんの」
「すべては主のため、我等が留まれば主の命を奪ってしまう」
「シグナム・・」
「はやて、ありがとう。はやてに逢えてとても楽しかった」
「ヴィータ・・・」
「はやてちゃんにはいろいろ心配をかけちゃったけど、もう大丈夫」
「シャマル・・・」
「我等が主のためにできるのはこれ位しかないが、許して欲しい」
「ザフィーラ・・・」


はやての病は闇の書の呪いによるものだった
放っておけばはやての命を奪ってしまう
はやてを助けるためには闇の書を封印すること
そして、それは闇の書と一体となっているシグナムたちの消滅も意味する


「そんなの、うちそんなの望んでない。みんなが消えることなんて・・」
「・・主、われらは闇の書の一部です」
「だから、私たちは人間じゃないんだ」
「ただ、あるべき場所に戻るだけ」
「それが主のためでもある」
「そんな・・私は・・」
「・・・主、どうか分かってください。我らの願いを」
「みんなの・・・願い?」
「うん、私たちははやてに元気になって欲しいんだ」
「それが、私たちのただひとつの願い」
「・・・・」

そして、ついに別れのときは訪れた
「・・お別れです」
「シグナム!?」
「本当にありがと、はやて」
「ヴィータ!?」
「本当はもっといろいろとしてあげたかったんですけど」
「シャマル!?」
「我等は幸せだ、主があなたで」
「ザフィーラ!?」
そしてみんなの姿が薄れだした
「主、いろいろとありがとう」
「そんな・・」
「はやて、楽しい思い出をありがとう」
「いや・・」
「もう心配いらないから、これからは自分のために時間を使って」
「いやや・・」
「今まで、世話になった」
「だめや、うちを一人にしないで!」
しかし、はやての悲痛な叫びもむなしく、シグナムたちは消えた
そして、あとにははやてがみんなに送った服だけが残った
「う、うう・・」

はやてはその服を抱きしめ、泣き続けた



それから半年後

「主、これは私にはあわないと思うのですが・・」
「そんなことないって、シグナム。よう似合っとるよ」
「・・そうですか」
「ねぇ、まだ?はやて」
「ごめんな、ヴィータ。もうちょい待ってて」
はやてはそういって今度はザフィーラのところへ・・
「主、いくらなんでも俺はこれではないほうがよいのではないか?」
「何言ってるの、せっかく男前なんやからそっちで出かけな」
「うむ・・主がそういうのならば」
「しかし、これではいざというとき主を守ることが・・」
シグナムはそういって自分の服装を改めてみた
その格好はいつものパンツ姿ではなく、藍色のスカートとベージュのカーディガンを羽織っている
それこそ世の男どもが群がりそうな格好だった
「もぉ、せやから言うてるやろ?みんなはもうそんなこと気にせんでええって」
「しかし・・」
「シグナム、もうそういったことはいいっこなし。ね」
「シャマル・・」
「ああ、もう、そろそろ行こうよ」
「そやな、いい加減いかなみんなも待っとるし」
そういってはやては玄関へと歩いていった


「あ、きたよ」
すずかの声にみんなは振り向いた
「ごめんな、お待たせ」
「ううん、元気になってよかったね」
「うん」

「テスタロッサ」
「シグナム」
「・・・その、あの時はすまなかった」
「ううん、気にしてないよ」
「・・そうか」

「ヴィータちゃんも良かったね」
「・・・・」
「ヴィータちゃん?」
「・・ありがと・・・なのは」
「え?・・・うん♪」

「まぁ、なんだ。おめでと」
「・・・すまない」
「な、なんだよ、いきなり」
「いや、なんとなくだ」
「・・ま、いいか」

「その、ありがとうございます」
「礼を言われるようなことはしてないよ」
「でも、またこうしてはやてちゃんと一緒にいられるようにしてくれましたから」
「それは、闇の書・・夜天の書を復元しただけだ」
「でも、私たちを残してくれました」
「・・・まぁ、なのはたちがどうしてもって言ったからな」
「じゃあ、彼女たちにもお礼をいわきゃいけませんね」

闇の書、正式名称は”夜天の書”という。が封印された後なのはたちはそれじゃはやてがかわいそう
何とか直せないかといってきた
無論、簡単なことではないが不可能という訳でもないのでクロノたちは修復を試みた
その結果、何とか修復に成功し、シグナム達はまたはやてと共にいられるようになった

「よーし、じゃあ行くわよ」
「おー♪」
アリサの一声にみんなは元気よく返事をして、今日の目的地プールへと歩き出した

「・・みんな、もう黙っていなくなったら許さへんからな」
「・・・・」
はやての言葉にシグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラの四人は口を閉ざし・・・そして
「はい、もう二度とそばを離れません」
「ずっと、一緒にいる」
「ええ、ずっと・・」
「われらの居場所は主のそばだ」
「うん♪、それでええ」

そしてはやては歩き出す
自らの足で、自らの意思で
これから先なにが起ころうと、乗り越えていける
なぜなら・・・

「みんな、ずっと一緒にいような」

大切な人達がそばにいるのだから・・・

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あとがき
 というわけで、なにがなんだか分からなかったかもしれませんが
なのはA'sのエンド予想ssです。
まぁ、予想なんでこうはならないでしょうが、やっぱりはやてたちは一緒にいられたらと思いますよ
なんで、こうなればという感じで書いてみました。

 
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