湯けむりぱらだいす!?

  

「ほんと、フェイトちゃんの肌ってきれいだよね」
「きゃん?!もぅ、なのはったら」
「ふぅ、ええお湯やね♪」
「はい、癒されますね」
「ねぇねぇはやて、背中流したげる♪」
「お、それはええな♪じゃあ、頼むでヴィータ」
「うん♪」
「いつもはこうしてゆっくり入ることもないし、いいわね」
「うん、仲良し仲良し♪」
「あはは、そうですね」
「…」
と、なんかほのぼのとした会話の中硬直する人物が…エリオだ
なぜ、エリオが女性陣とお風呂にいるかというと…


いつもの訓練を終え、宿舎に帰ってきた機動六課の面々
「お、みんなお疲れさん」
「はやてちゃん?」
「どうしたの?また本部に用」
「いんや、みんなを待っとったんよ」
「え?」
はやての言葉に、皆わけがわからず?顔だ
「みんなこれからお風呂やろ?せっかくやしみんなで入らんか思ってな」
「みんなで?」
「どうして」
「コミュニケーション言うか、そないな感じ…どや?」
「あ、なるほど♪」
「いいね…みんなはいい?」
「はい、私はいいですよ」
「私も別に問題ないです」
「私も」
「あたしは言わずもがなだしな」
「あ、じゃあ僕は先いってますね」
と、当然ながら男であるエリオは別なので
先に、といったのだがはやてのとんでもない一言で足を止めた
「あ、エリオ君も一緒にどうや?」
「はい?!」
「あ、それもいいかも」
「そういえば、最初のときは背中とか流してあげてたしね」
「フェイトさん?!それは小さいときですし、当然一緒には入りません!」
そう言って、エリオはさっさと浴場へ

「ふぅ、なんか最近僕の立ち居地が微妙になってきた気が…」
そういいつつ浴場の扉の前へ
「…ん?」
と、ふと看板が立っているのに気づく
それにはこう書かれていた

”現在熱機器の故障により使用中止
  修理終了まで他の浴室使用のこと

         管理局生活推進課”

「え?他の浴室って…」
「ん?エリオか」
「あ、シグナムさん」
と、ちょうど風呂に行くつもりだったのか
シグナムがこちらに歩いてきた
「お前も風呂か?」
「はい、そのつもりだったんですが」
「ん?…ああ、そういうことか」
シグナムも看板に気づき、状況を理解する
と、そこではやてたちがやってきた
「あ、シグナムも今からお風呂か?…って、エリオ君はまだ入っとらんかったん?」
「はい…あと、どうやら熱機器が故障しているみたいで入れないようです」
その言葉にはやての瞳が文字通り光った
「ほならしゃあないな、エリオ君♪」
「?!いえ、本部のほうに行ってきますから!」
はやての考えを理解し、いち早く移動しようとするエリオ…しかし
「シグナム、エリオ君捕まえて!」
「は?…はい」
そう言って、即座にエリオを捕獲する
「シ、シグナムさん?!」
「すまんな、エリオ」
「そいじゃあ、いこか♪」

と、言う経緯を経て今に至る
「あ、そういえばエリオ君」
「は、はい?」
なのはの声にエリオは返事するものの振り向きはしない
「?どうしたの」
「いえ、な、なんでしょうか?」
「…そうだ♪」
何か思いついたのか、なのははエリオの下へ
「ねぇ、背中流したげようか?」
「ふぇ?!あ、いえ結構です」
「まぁ、そう遠慮しないで♪」
そう言って、なのはは強引にエリオを座らせる
「ちょっと、なのはさん?!」
「いいからいいから♪」
「いや、だから…?!」
そう言って振り向くエリオ、しかし一糸纏わぬなのはの姿に
赤面しながらあわてて目をそらす
「痛かったら言ってね?」
「は、はい…」
静かに、エリオはうなずく
そして、顔を上げるととんでもない光景が飛び込んできた

「よいしょ…はやて、気持ちいい?」
「うん、ええよ♪」
「えへへ、良かった♪」
「今度はうちが洗ったげる」
「やった♪」
はやてとヴィータは位置を変わる
「やっぱちっちゃいな、ヴィータは」
「そ、それは…ひゃん?!…は、はやて」
「どした、ヴィータ♪」
「ど、どうしたじゃ…きゃう?!」
「ああ、もぅかわええな♪ヴィータは」

「シグナム、背中流そうか?」
「ん?…では、頼もうか」
「あ…」
「ん?どうしたテスタロッサ」
「えっと、やっぱりおっきいな、って…胸」
「…お前もか、テスタロッサ」
「だって、やっぱり同じ女としては気になるというか…」
「大丈夫だ、おまえはまだ成長途中なのだから、いずれ大きくなる」
「そ、そうですか?」
「ああ…そろそろ始めてもらってもいいか?」
「あ、ごめんなさい!今します…」

「ねぇ、ティア」
「ん?なによ」
「きれいな肌してるね、どうしたらそんな風になるの?」
「は?!…知らないわよ、普通にしてるだけなんだから」
「ええ?!ずるいよ、ティアだけ」
「ずるいってあんた…きゃう?!…ちょっ、何してんのよ」
「いや、つい♪」
「ついって…ひゃう?!く、くすぐったいわよ」

そんな女性陣のあられもない姿に、エリオはたじたじになっていた
ちなみに、全員タオルなどは巻いていない
と、そんな感じの中、一人だけ湯船で静かにしているキャロになのはが問いかける
「キャロ、のぼせちゃうからちょっと湯船から出たら?」
「え?!…は、はい、その、それは、えっと…」
「?…あ、そっか、エリオ君、ちょっと目つぶっててくれる?」
「え?あ、はい」
事情を理解したなのははエリオにそう言う
当然意味を理解してはいないが、エリオは素直に目をつぶる
「さ、これで問題ないでしょ、キャロも私が洗ってあげるから」
「は、はい…」
なのはの言葉に、キャロはおずおずと湯船からあがる
ちなみに、タオルは巻いて、だ
「あの、僕はいつまでこのままで?」
「あ、もう大丈夫だよ」
なのはの言葉にエリオは静かに目を開ける
「きゃ?!」
「え?あ、いや、ごめん?!」
タオルを巻いているとはいえ、やはり恥ずかしいのか
キャロは顔を真っ赤にする
それにつられたのか、エリオも顔を真っ赤にしながら横を向く
「ふふ…?!」
と、微笑んだなのはが一瞬で表情を引き締める
それはその場にいたほかのみんなも同じだった
全員が立ち上がると同時に、その異変は起こった
ザバアァァァァ!!
「なに?!」
「あぶない、なのは!!」
襲ってくる奔流に、全員ただ逃げるだけだ
まるで壊れたかのように冷水や熱湯が襲い掛かる
「なんや?!ただ壊れただけやないみたいやけど!」
「確か、以前捕獲したロストロギアに液体を操る類のものがありました!」
「考えたないけど、何らかの理由で暴走したみたいやね!」
と、熱湯の渦がキャロに向かい迸る
「きゃあぁぁ?!」
「キャロ!」
とっさに、エリオがキャロをかばう
しかし、その熱さに耐え切れずエリオはくず折れる
「エリオ君?!」
そんなエリオにキャロが駆け寄る…しかし、それが悪夢の始まり
「…」
ちっ…
「…え?」
はらり…
運悪く、倒れるエリオの手がキャロの巻いているタオルの合わせ目に触れてしまった
そして、当然ながら結び目の解けたタオルは重力に従い落ちる
「…………………………………」
しばしの沈黙…そして
「き…きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」
キャロの悲鳴が上がり、その周りに魔力の渦が…
「?!あかん、キャロ!」
はやての静止もむなしく、それは始まった

「わっ?!ちょっとキャロ!」
なのはに魔力の槍が飛ぶ、とっさに避ける
「ちょ?!あぶない!」
フェイトに魔力の塊が向かう、盾を出し防御
「いや?!それなしやて!」
はやてに鉄の鎖が向かう、魔力弾でそれをはじく
「く?!落ち着け、冷静になれ!」
シグナムに四方より魔力弾、持ち前の俊敏さで上手く相殺させる
「だぁー?!これだから新人は!」
ヴィータに魔力刃が飛ぶ、頑強な防御で防ぐ
「えぇぇっ?!無理!私じゃ捌けないよ?!」
スバルは四方からの魔力流に追い立てられる
「スキルアップのチャンス…なわけないわよ!無理に決まってるでしょ、こんなの?!」
勇敢に立ち向かおうとしたティアナもやっぱりスバルと同じオチ

その後、なんだかんだとありながらも落ち着きを取り戻したキャロ
ちなみに、ロストロギアはキャロの魔力流により活動を停止していた

そして、みんな着替えて部屋に
エリオはまだ意識が戻っておらず、キャロが団扇で扇いでいる
「…」
「…」
団扇で扇ぎつつ、キャロはエリオの顔を覗き込む
「…なんだか、エリオ君には助けてもらってばかりだね」
「……」
「いつもありがと、エリオ君♪」
感謝の言葉を口にするキャロ
「ん…」
「あ…」
と、エリオがうっすらと目を開ける
「エリオ君?」
「…は!」
そして意識を取り戻し、先ほどのことを思い出したエリオは飛び起きる
しかし、それがまずかった…
ちゅ…
「……………………」
「……………………」
エリオとキャロの唇が重なる
しばしの間、その場の時が止まる
「あ…」
「…」
そして、二人は静かに離れる
当然ながら二人の顔はこれでもか、というほど真っ赤だ
そして数秒の後…
「きゅう〜…」
「……」
ばたん!と、倒れる

そんな二人を見て…
「あう…」
スバルは顔を真っ赤に
「…」
ティアナは唖然…
「……」
ヴィータは呆然と立ち尽くす
「な、なんという…」
シグナムはその行為に愕然とする
「おお♪こら今夜はお赤飯やね…というかそのまんまいってまえばよかったのに、もったいない」
はやては一人だけ見当違いのセリフを…
「ふふ、かわいい♪」
なのはは微笑む
「や…やっちゃった」
フェイトはびっくりして少し放心状態


後日

「あ…」
「!」
真っ赤になって横を向くエリオ
真っ赤になって、真後ろを向くキャロ



と、いう感じで二人ははしばらくの間、まともに顔をあわせられなかったとさ…


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あとがき
 なんとなくだらだらと長くなってしまいましたが
いかがでしたでしょう
ちと最後が強引な終わりになってしまった点は反省…
まぁ、メインじゃないからいいか…って、よくないわな(笑)




      
 
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